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説得のテクニックとしての「言語的フレーミング操作」とは

 
部下を説得する上司のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

説得のテクニックとしての「言語的フレーミング操作」とは

 

「君は東北出身だから粘り強いよね」と言われると否定しにくくなる理由

人を説得し、納得させ、行動に導くことは、管理職や営業職にとって重要な仕事です。論理的な説明が必要であることは当然ですが、実際の現場では論理だけでは人は動かないことも事実です。説明や説得で使う言葉の選び方や表現の仕方によって、ゆるぎないと思っていた相手の考え方が変わることがあります。説得や指示のうまい人は、日常の会話や指示の中に、説得のテクニックを潜ませていることがあります。
例えば、
「君は東北出身だから粘り強いね」
という言葉です。この表現は、一見すると褒め言葉のように聞こえます。言われた方は、相手が自分の出身地を知っていて、なんだか期待されているように感じます。その結果、「頑張ろうか」という気にしてしまいます。しかし、中身をよく見ると、「東北出身」という事実に、「粘り強い」という暗示を結びつけているだけです。なんの論理性もありません。しかし、相手を動かしてしまうことがあります。
心理学的にいうと、これは「言語的フレーミング操作」と呼ばれる手法です。言葉の組み合わせによって、相手の認知の方向を操作する技術です。管理職が部下を動かす場面や、営業マンが顧客を説得する場面で、日常的に使われています。
言語的フレーミング操作には、2つのタイプがあります。それは、
1)二項連結タイプ
2)分離タイプ
です。「二項連結タイプ」は、先ほど例に挙げた
「君は東北人だから粘り強いよね」
といったように、事実と暗示を結びつけることで、相手は自分の性質が決まっているように感じさせるテクニックです。その結果、相手はその性質に沿った行動を取りやすくなります。
「分離タイプ」は、
「建前ではなく本音で話してほしい」
「言葉ではなく行動で示してほしい」
いったように、相手の言動を分離して扱う手法です。分離タイプは、相手の行動や意見を分解し、どこか一部分でも味方にすることで、説得の糸口を作る技術です。
これらの手法を使うことで、部下を動かしたり、顧客を説得したりする際の会話が有効に働き易くなります。

この記事では、言語フレーミング操作の2つのタイプについて、考えます。

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二項連結タイプ

二項連結タイプは、二つの要素を連結して意味を作る手法です。この連結は、論理的な因果関係がなくても成立してしまうことがあります。人は、言葉の並びによって、因果関係を感じてしまうことがあるためです。管理職や営業マンが使う場面は多く、日常的な会話の中に自然に紛れています。
二項連結タイプには、いくつかの種類があります。

(事実)+(暗示)

「君は東北出身だから粘り強いね」
という表現が典型です。東北出身という事実に、粘り強いという暗示を結びつけています。この暗示は、事実から論理的に導かれるものではありません。しかし、聞き手は、事実と暗示が自然につながっているように感じます。そのため、暗示が自分の性質であるかのように受け取ってしまいます。管理職が部下に対して使うと、部下はその性質に沿って行動しようとします。営業マンが顧客に使うと、顧客は自分の判断が正しいように感じます。

(暗示)+(暗示)

「最近疲れているようだし、仕事も大変だよね」
という表現で代表されるものです。前後どちらも暗示であり、事実として確認されているわけではありません。しかし、暗示が連結されることで、聞き手は全体として納得してしまいます。この手法は、雰囲気を作るために使われます。営業マンが顧客の心理を柔らかくする場面で使うことがあります。管理職が部下の気持ちを理解しているように見せる場面でも使われます。

(要求)+(要求)

「この資料を確認してほしい。ついでに、次の会議の準備もお願いしたい」
という表現があります。要求を連結することで、相手は断りづらくなります。要求が一つだけなら断ることができますが、二つが連結されると、全体として受け入れやすくなります。管理職が部下に仕事を依頼する場面でよく使われます。営業マンが顧客に複数の条件を飲んでもらう場面でも使われます。

(暗示)+(要求)

「あなたならできると思うので、この仕事をお願いしたい」
という表現があります。能力があるという暗示を先に提示し、その後に要求を結びつけています。暗示によって相手の自己イメージを誘導し、そのイメージに沿って行動させる手法です。管理職が部下のモチベーションを高める場面で使われます。営業マンが顧客に決断を促す場面でも使われます。

二項連結タイプは、言葉の並びによって意味を作る技術です。 論理的な因果関係がなくても、聞き手は自然に納得してしまいます。そのため、説得の場面で強力な効果を発揮します。

 

分離タイプ

分離タイプは、相手の言動を分離して扱う手法です。相手の行動や意見を分解し、どこか一部分でも味方にすることで、説得の糸口を作ります。人は完全に矛盾のない存在ではありません。そのため、分離によって一部を切り出すと、そこから説得が進むことが期待できます。
分離タイプには、いくつかの方法があります。ここでは、行動、時間、量の3つを取り上げて、ご紹介します。

行動の分離

「言葉ではなく行動で示してほしい」
という表現が代表的です。これは、相手の言葉と行動を分離して扱っています。言葉と行動は一致しているとは限りません。そのため、行動だけを切り出すことで、相手の矛盾を浮かび上がらせることができます。管理職が部下に対して使うと、部下は行動を重視するようになります。営業マンが顧客に使うと、顧客は自分の判断を行動で示そうとします。

時間の分離

「今は難しいかもしれないが、後で考えてほしい」
という表現があります。これは、時間の分離です。人は、将来、今とは異なる判断をすることがあります。時間を分離することで、相手の判断を柔らかくすることができます。営業マンが顧客に使うと、顧客は決断の負担を軽く感じます。管理職が部下に使うと、部下は後で行動する余地を持つことができます。

量の分離

「全部は難しいかもしれないが、一部だけでもお願いしたい」
という表現が代表的です。これは、量を分離して扱っています。人は、全体を受け入れることが難しくても、一部なら受け入れることがあります。そのため、量を分離することで、相手の抵抗を減らすことができます。営業マンが顧客に使うと、顧客は一部の条件を受け入れやすくなります。管理職が部下に使うと、部下は仕事の負担を軽く感じます。

分離タイプは、相手の矛盾を利用する手法です。人は完全に矛盾のない存在ではありません。分離によって一部を切り出すと、そこから説得が進むことがあります。管理職や営業マンが使う場面は多く、日常的な会話の中に自然に紛れています。

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まとめ

説得や営業において、「言語的フレーミング操作」が使われることがあります。
この手法には、「二項連結タイプ」と「分離タイプ」があります。
二項連結タイプは、言葉の並びによって意味を作る手法。分離タイプは、相手の言動を分離して扱う手法です。
いずれも、管理職や営業マンが使う場面で強力な効果を発揮します。

参考記事:説得力のある人が持っているアリストテレスの「説得の3原則」

「売れる販売員」が持っている高い「接客力」の3つの特徴

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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