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説得力のある人が持っているアリストテレスの「説得の3原則」

2021/10/15
 
アリストテレスのイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

説得力のある人が持っているアリストテレスの「説得の3原則」

 

アリストテレスの「説得の3原則」とは 

「契約を取るために顧客を説得する」
「幹部を説得して企画を通したい」
「家族を説得してゴルフクラブを新調したい」
こんな風に誰かを説得しなければならないときがあります。相手に伝える内容は同じでも「説得力」のある人ない人がいます。どしても相手を説得したいとき、説得力のある人に頼むことは賢明な方法です。しかし、いつも人に頼むことができるわけでもありませんし、だいたい人に頼むこと自体、説得力が必要です。

説得力について2000年以上も前、ギリシャの哲学者アリストテレスが、「説得の3原則」を説いています。それは、
logos(ロゴス、言論) – 理屈による説得
pathos(パトス、感情)- 聞き手の感情への訴えかけによる説得
ethos(エトス、人柄)- 話し手の人柄による説得
です。時代が変わっても、人はこの原則の中で説得したり、されたりしています。ただし、社会の変化で具体的な手法は、変化しています。
1)ロゴス:相手が信じる「事実」を示す
2)パドス:感情に訴える
3)エトス:相手に信頼される話し手になる
「説得力のある人」
は、これらをうまく利用して、お客様にモノを売る、上司を説得して企画を通すなどしています。2000年以上にわたり普遍性を持ち続けるアリストテレスの「説得の3原則」を仕事や生活に適用することで、「説得力のある人」になれることが期待できます。


説得するには、相手が信じる「事実」を示す

世間で議論されること、お客様に買っていただくなどの説得を必要とする場面では、それほど明確な理屈がないものばかりです。「ピタゴラスの定理を証明する」といった明確な理屈があればいいのですが、大抵「風が吹いたら桶屋が儲かる」といった理屈を述べることになります。そこで、ロゴス(理屈)により相手を説得するには、「事実」が必要です。「風が吹いたら桶屋が儲かった」事実があれば、説得力がでます。

営業の場面で、お客様にモノの良さを理屈で説明しても、それだけでは納得してもらえません。掃除機の吸引力を原理から説明するより、掃除機でゴミを吸引する実演の方が説得力を持ちます。あるいは、
「これが、日本で一番売れている掃除機です」
と販売員がささやくことが、説得力となります。

ここで注意したいのは、説得に使われる「事実」は、「事実のように思えること」でも十分ということです。
ウブロ(HUBLOT)という150万円以上の超高級ブランド時計があります。1980年創業という比較的新しブランドで、2000年代中頃の日本では極めて知名度が低くほとんど売れていませんでした。そこで、この会社が取った戦略は、取扱い店を絞り込みでした。絞り込んだ取扱い店に行くと
「この店で、一番売れ行きを伸ばしている高級時計は、ウブロです」
と説明します。全国で同じ個数売れても、取扱い店を絞り込んでいるので、各店では売れ筋に見えます。ウソではありませんが、「一番売れている高級時計がウブロ」は事実に思えます。この戦略は、大きな成功を収めその後ウブロは、ブランドとして定着します。(ウブロジャパン元社長高倉豊著書より)

いかにも「事実らしく思えるもの」は、いくらでもあります。選択肢を絞った世論調査、都合のいい意見ばかり流す街頭インタビューなどが、マスコミでは多用されています。SNSなどで流れる情報も部分を切り取って全体がそうであるがのように「事実らしく」粉飾されているものがあります。

また、理屈で説得するには、相手の理解するレベルや先入観を考慮する必要があります。説明が「事実らしいこと」であると見ぬける相手には、本当の「事実」しか通用しません。ただし、そんな理性的な人に対しては、理屈をキッチリ説明することで説得できます。そんな人は、手ごわいですが、しっかり理屈を準備すれば突破できます。


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相手の感情に訴えて説得する

パドス(感情)に訴えて説得する方法は、赤ん坊が一番得意かもしれません。とにかく、相手に好きになってもらう、同情してもらう、共感してもらうなど感情が説得力の源泉になります。

マスコミの説得力は、感情に訴える方法が主流です。1枚の写真、数分の映像は、理屈抜きで人々に同情や感動を与えます。時には憎悪さえ植え付けます。

理屈で相手を説得しているときも、相手には「好き」「嫌い」の感情があり、「好き」であれば、大抵のことが好ましく思えます。

相手の感情に訴えて説得するには、相手の状況を見極める必要があります。相手が、「意気に感じてくれるタイプ」「共感してくれるタイプ」などによって説得の方法が変わります。私の職場によく来ていた事務機器メーカーの営業マンは、阪神タイガースの帽子をかぶっていました。調子よく阪神の話をしながら注文を取っていきます。ところが、たまたま彼を知っている他社の人と話をすると、「奴は、巨人ファンだよ」と言います。もちろん他社の方は、巨人ファンです。そう彼は、取り引き先によって巨人ファンと阪神ファンを使い分けていたのです。

相手に信頼されることが、説得力の決め手

エトス(人柄)は、説得力の根源に関わります。特に日本では、話の内容よりも
「誰の発言か」
が、問題になります。有名人、専門家と言われ人の発言が、世間では説得力を持って受け入れられます。会社では、地位が高い人、先輩社員でしょう。この力は、その人の信頼度に比例します。世間では、人の信頼度の証明として学歴や資格、経歴がよく使われます。本が売れるかどうかは、内容と同じ位「誰が書いたか」によります。同じ話題をSNSに投稿しても人により影響が全く違います。人による発信力の差であり、そのまま説得力に比例します。

ただし、どんなに実績のある人でも、スキャンダルや事件などを起こすとたちまち信頼を失い、説得力も消滅します。実際にスキャンダルを起こした有名人、政治家がそれを証明しています。特に日本では、不誠実な行動をした人に対して厳しく、これまでの実績や論理までも否定される傾向があります。

社内や取引先など身近で信頼度を上げて、説得力を得るには、実績の積み重ねが大切です。「困難から逃げない」「いつも誠実である」「いつもうまくいく」といったことの積み重ねです。そして、信頼を失うようなことをしないことです。

 

まとめ

説得力のある人は、アリストテレスの「説得の3原則」を利用しています。それは、
1)ロゴス:相手が信じる「事実」を示す
2)パドス:感情に訴える
3)エトス:相手に信頼される話し手になる
です。これを利用すると顧客にモノを売る、上司を説得して企画を通すなどの説得力が生まれます。2000年以上の普遍性を持つアリストテレスの「説得の3原則」を使うことで、説得力のある人になれることが期待できます。

参考記事:「影響力」がある人が共通に持っている「信頼」の重要性
デジタルマーケティング成功の鍵は、顧客から「信用」を獲得すること

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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