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「危機感のない社員」が目を覚ます、上司に必要な言葉の使い方

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「危機感のない社員」が目を覚ます、上司に必要な言葉の使い方

 

「危機感のない社員」が目を覚ます、上司に必要な言葉使いのポイント

「昨年は、創業以来の最悪の決算。なんとも思わんのか!」
「そんなぬるま湯につかっている気持ちでは、まさに『ゆでガエル』だ!」
こんな風に、やる気が見えない「危機感のない社員」に向かって、上司や経営者が、奮起を促す話をすることがあります。社員に、何とか奮い立ってもらいたく、言葉はどんどんエスカレートしがちです。最近では、言葉や態度が強圧的であれば、すぐにパワハラで訴えられかねません。
上司が、
「部下と危機感を共有して、頑張っていきたい」
そう思い、話をしても、その社員には伝わりにくいものです。上司は、うまく伝わらないと、言葉は極端な表現となります。「最悪」「給料泥棒」などといった過激な言葉を連発しても、部下は上司に反発をするだけです。危機感を持たせるには、それなりの言葉の使い方が必要です。
部下に危機感を持たせる言い方のポイント3つを紹介します。
1)「最悪」「めっちゃ」など極端な言葉を避ける
2)「過去形」ではなく、「現在形」で話す
3)行動を指摘しても、人(人格)を批判しない
危機感は、改善・改革の大きなエネルギーです。トヨタがカイゼンし続け発展してきたのは、「常に危機感を持っている」と説明している本やネット記事が数多くあります。
社員に健全な危機感を持ってもらうことで、企業の健全な発展が期待できます。この記事は、長年「危機感」が希薄な社員と向き合った体験と心理学をもとに書いたものです。


トヨタ 仕事の基本大全

「最悪」「めっちゃ」など極端な言葉を避ける

極端な言葉を使うのは、自分の伝えたいことが、相手に伝わらない、物足りなさを感じているからです。
「チョー、気持ちいい」
「私史上、最悪の結果」
「めちゃ、忙しかった」
など、極端な言葉を若者がよく使うのは、自分の気持ちを伝えたい強い気持ちと、ボキャブラリーの少なさが原因でしょう。同じ調子で、上司か部下に話すと反発がでます。
「目をそむけたくなる成績だな」
「給料泥棒と言われるぞ」
こんな極端な言葉で、叱咤された部下は、
「そんなことはない!」
「それが、どうした!」
と反論、反発する心が先に立ってしまいがちです。
極端な言葉を避け、事実を具体的に丁寧に話すことが大切です。
「先月の売上は、前年比40%減。この20年間で最も減少率が最大」
「売上減の金額は、人件費とほぼ同額である」
こんな風に、まず会社(職場)の事実を伝えることです。
人に対しては、
「○○さんの仕事は、進捗が30%遅れているようです」
とまず事実から入ることです。間違っても
「給料泥棒」「チンタラしていていいのか」
といった極端な表現は避けることです。極端な言葉は、反発を招き、その後の上司の言葉に耳をふさぎます。
社員が危機感を抱かない第一の原因は、会社の状況、自分の状況を理解していないからです。極端な言葉の表現より事実や予想される今後を理解させることが、健全な危機感を作ります。

 

「過去形」ではなく、「現在形」で話す

同じ話でも、「過去形」で話すのと、「現在形」で話すとでは、相手に全く違う印象を与えます。
「最近、つらいことがあってね」
と現在形で訴えてきた人に、
「つらいことが、あったのですね」
と過去形にして返すと、相手の身持ちは和らぎます。悩んでいるのは、今であり、過去形にすることで、苦しさから逃れられます。これは、心理学的なカウンセリングの手法です。
逆に危機感を持ってもらいたければ、過去形でなく、現在形で話をすると効果があります。実際に私が経験した話をご紹介します。
「昨年、この事業部は、3億円の赤字でした。」
こう本社からきた経営幹部が、社員に説明しました。
「この事業部が赤字でも、会社全体では、なんとかなるだろう。」
「世の中、景気が悪いので、こんなものか。」
と多くの社員は思いました。私も含め、
「去年は、ダメでも、今年はなんとかなるのでは」
と漠然と考え、危機感など湧きません。ところが、常務が言い方を変えました。
「今も毎日100万円の赤字が、たれ流されています。」
「このままだと、あと6か月で資金が底をつき、金融機関に融資をお願いせねばなりません」
この言葉は、その場の雰囲気を変えました。「今も赤字がたれ流されている」「6か月で資金が尽きる」との言葉は、「現在形」です。「過去形」で、「昨年の赤字」と話をされるのとでは、リアリティが全く違います。

行動を指摘しても、人を批判しない

危機感のない部下に対して、その行動は指摘しても、人(性格)を批判してはいけません。
「君の仕事が、予定より遅れている」
そんな、行動に対する指摘はいいのですが、
「皆が頑張っているのに、平気なのか」
こんな性格に関わるような批判をしても、相手に自覚は生まれません。更に、この例では問い詰めるような言い方になっています。これでは、上司に対する反感を醸成するだけです。また、
「『ゆとり世代』には、緊張感がない」
これもいけません。改善できない非難は、どうしようもありません。「女性だから・・・」「若い人は・・・」なども同様です。本人を集団ごとけなすようなことは、下手をすると心に傷を負わせることになります。
「危機感を持たせる」とは、「そのまま何もしない、同じ行動をしていると今後悪い事態に陥る」という気持ちを持たせることです。何もしない、その行動を続けることが、危機を招く可能性があることを自覚させることです。人(人格)を批判して、変えようとしても難しいことです。

&
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まとめ

上司が、部下に危機感を持たせるには、それなりの言葉の使い方が必要です。
そのポイントは、
1)「極端な言葉」を避ける
2)「過去形」ではなく、「現在形」で話す
3)行動を指摘しても、人(人格)を批判しない
危機感は、改善・改革の大きなエネルギーです。
社員に健全な危機感を持ってもらうことで、企業の健全な発展が期待できます。

参考時事:上司の言葉が「上から目線」と感じる3つの理由とその対策

中間管理職に「改革が必要」との危機意識が生まれない3つの理由

 

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