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社長の後継者や幹部候補が「経営的視点」を持てない3つの理由

 
後継者を考える社長のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

社長の後継者や幹部候補が「経営的視点」を持てない3つの理由

 

「経営的視点」とは何か、「経営的視点」が持てない理由

中小企業の社長が、後継者と決めている人材に対して
「『経営的視点』が持てていない」
と嘆く声を聞きます。大企業でも将来幹部にしたい人材に「経営的視点」が欠けているという経営層の声を聞きます。
中小企業の社長に対する日本アプライドリサーチ研究所のアンケート調査「平成29年度 中小企業の経営人材の育成に関する実態調査」によれば、経営上の課題の第1位は、人材育成。60%(複数回答)の社長が、人材に関して「問題がある」と答えています。その内容では「社長後継者、役員、部長になる適切な人材がいない」という声が多く上がっています。アンケートからも中小企業の社長が、自社の幹部に「経営的視点」が欠けていると感じている人が多いということがわかります。

ところで、「経営的視点」とは、どんなものでしょうか。ネット記事「社員に経営者視点で仕事を行ってもらうための組織づくりの方法とは?」から引用すると、
「経営視点とは、組織の全体構造を理解し、経営者の立場で判断を行う視点のこと。 経営者のミッションは、『安定経営を実現し、組織を取り巻くあらゆくステークホルダーの利益を守る』ことであり、それを全うするための視点こそが経営視点です。」
とあります。私は、もっと実践的な言葉に言い換えて、
「『経営的視点』とは、会社(自部署)が何をするか(What)という視点」
だと考えます。どうする(How)は、課長以下の視点。経営視点とは、会社(自部署)は、「何をするのか」、「何をしないか」を常に考えていくことです。究極の経営視点は、「この会社は何をするのか」「何のためのあるのか」です。
ところが、部長以上の幹部であってもどうするか(How)に追われて、経営的視点(What)で考えることがなくなりがちです。
「経営的視点」が持てないのには3つの理由があります。
1)自社の基本的情報を把握していない
2)自律的に動けていない
3)数字で考えていない
たとえ会社の幹部でなくても、この3つを克服できれば、「経営的視点」が身に付き、1ランク、2ランク上のレベルの仕事ができ、経営層の信頼を得ることが期待されます。



自社の基本的情報を把握していない

会社の基本的情報が頭に入っていなければ、経営的視点で考えるなど無理です。どんな部署の人間であれ、基本的会社情報を把握しておかなければ、経営的視点など持ちようがありません。
会社の基本的情報とは、
① 創業者、創業年度、創業のポリシー、会社の履歴
② 資本金、主な株主
③ 主要な商品とその特徴、市場シェア
④ 主要な販売先と仕入れ先
⑤ 売上、利益の推移
等々です。
ところが、幹部社員であっても自部署のこと以外あまり知らない人がいます。外部からきた幹部社員、例えば親会社から子会社に出向してきた社員など、1年経っても自社のことを知ろうとさえしない人がいます。こんな人が、経営的視点で考えるなど不可能です。結局、親会社的視点、評論家的視点で考えることになります。
社員に対して、経営的視点で考えることを求めるなら、これら会社の基本的情報の教育からすべきでしょう。この会社は、「何を目指して創立されたか」、「どんな変遷を経て今日に至ったか」などは、過去の「経営者視点」そのものです。これらを知った上で、今日の「経営的視点」が生まれます。

自律的に動けていない

近年「指示待ち社員」と言われる社員が問題になっています。これは、若い社員に限った話ではありません。「指示待ち部長」「指示待ち課長」が沢山います。特に注意が必要なのが、中小企業の幹部社員です。指示待ち社員は、大企業の一般社員に多いと思われていますが、私はむしろ中小企業、それも何んでもできるオーナー社長の下で働く幹部社員においても多いのです。
社長が何んでも細かいこともまで指示することで、いつの間に自分で考えることを忘れた幹部社員になってしまいます。社長や経営幹部は「部下に任せる」こと、部下は「自分で考え行動すること」を心掛けることです。


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数字で考えていない

「経営的視点」といってもやみくもに「勘と度胸」で勝負するのは、マネジメントではありません。「経営的視点」という背景には、「マネジメント」があります。数字で物事を考え、これを基に自分で行動すること、部下をマネジメントすることが大切です。
数字は3つの種類があります。
① 自社の数字
自社の売上、利益、生産性など
② 他社の数字
自社の市場シェア、ライバル企業の売上、利益など
③ 世間の数字
人口動向、景気動向、金利、為替など

これらを過去の経緯とともに把握していることが大切です。自社の数字をどう改善するか、他社や世間の数字をどう活用するかを考えることで、「経営的視点」が出来上がります。


まとめ

「経営的視点」とは、会社(自部署)が何をするか(What)を考える視点。それが幹部社員、幹部候補者にないのには、3つの理由があります。
1)自社の基本的情報を把握していない
2)自律的に動けていない
3)数字で考えていない
この3つを克服できれば、経営的視点が身に付き、経営層の信頼が得られる人材になることが期待できます。

参考記事:企業の「人材育成」を「投資」と考えると見えてくる4つの課題

「エリート社員」をつくっても「エリートコース」はつくるな!

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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