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AI時代のカスタマージャーニーと通販サイトの設計ポイント

 
AIに買い物を相談する人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

AI時代のカスタマージャーニーと通販サイトの設計ポイント

 

AI時代のカスタマージャーニー

ChatGPTやCopilotなど対話型生成AIの普及は、消費者の購買行動に大きな変化をもたらします。つまり、カスタマージャーニーが変化するということです。
カスタマージャーニー(Customer Journey)とは、顧客が商品やサービスを「認知」してから、興味・関心、比較検討、購入・契約、そして利用や継続・口コミに至るまでの一連の体験プロセスです。
これまでは、ユーザーが通販サイトを検索エンジンで探し、商品を確かめ購入といったプロセスでした。そこで通販サイト側は、自社のHPが検索エンジンで上位に表示されることや、ユーザーの目を引く画面内容を重視してきました。ところが、AI時代となると、ユーザーがAIに相談し、商品を選ぶといったプロセスに変っていきます。その結果、通販サイトの設計が変わることになります。AIは膨大な商品情報を読み取り、比較し、要約し、ユーザーの条件に合わせて最適な商品を推薦します。そのため、通販サイト側は、AIが商品を正しく理解し、推薦しやすい状態を整えることが重要になります。
AI時代と言われるような、生成AIを一般消費者が日常的に使う時代になると、商品を提供する側もこれに応じて変化していくことが重要です。
この記事では、AI時代におけるカスタマージャーニーの変化を整理し、通販サイトがどのような対応をすべきかを考えます。

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AI時代のカスタマージャーニーの変化

従来のカスタマージャーニー

従来の購買行動は、ユーザーが自ら情報を探します。商品を比較し、何をどこから買うかを決めます。具体的には、ユーザー自身が検索エンジンで商品情報を調べ、複数のサイトやその商品に関するまとめサイトを閲覧します。そして、価格や性能、デザイン、ブランドを比較します。更に、口コミを確認し、必要に応じて店舗で現物を確認した上で、最終的に通販サイトから購入するというプロセスを踏んでいました。このプロセスは、ユーザーの検索能力や比較能力が必要で、情報収集の負荷が高くなります。

AIが介在することで生じる変化

ところが、対話型生成AIが普及すると、ユーザーの情報収集行動は大きく変わります。AIはユーザーの条件を聞き取り、必要な情報を自動で整理し、比較・推薦します。ユーザーは「自分で調べる」必要がなくなり、「AIに調べさせる」ことで意思決定に集中できるようになります。AIは商品候補の提示、比較表の作成、口コミの要約、リスクの指摘、店舗在庫の確認、最適な購入先の提示などを行い、ユーザーの負荷を大幅に軽減します。

AI時代のカスタマージャーニー

AI時代のカスタマージャーニーは、従来の直線的な流れとは異なります。それは、AIが複数の工程を並列化し、最適化するというプロセスです。ユーザーは「買いたい」と思った段階でAIに相談し、AIが要件を整理し、商品候補を提示し、比較し、意思決定を支援します。購入後もAIが手入れ方法や使用上の注意点を提示し、継続的なフォローを行います。これにより、ユーザーは短時間で高い納得感を得られるようになります。
プロンプトの設計によっては、AIが商品の購入をやめて、代替え策を提示する可能性だってあります。売り手からみると、案外AIは手強い可能性もあります。

 

AI時代の通販サイト設計

商品データの重要性

AIは文章を理解できますが、構造化されたデータの方が圧倒的に処理しやすい特徴があります。そのため、通販サイトは商品情報を構造化する必要があります。サイズ、重量、素材、耐久性などを数値化し、スペック表を統一し、カテゴリやタグを体系化し、画像にメタデータを付与することです。この結果、AIは商品を正確に理解し、比較しやすくなります。構造化が不十分な商品は、AIの推薦候補から外れる可能性があります。
また、最近のAIは意味を理解して推薦することができます。そのため、商品説明の意味密度が重要になります。抽象的な表現ではなく、具体的で定量的な情報が求められます。例えば、「軽量で歩きやすい」という表現よりも、「重量280gで、18ホール歩行でも疲労が少ない」という表現の方が、AIは商品を正確に理解できます。意味情報が豊富な商品ほど、AIはユーザーの条件に合わせて推薦しやすくなります。
例えば、通販サイトでは、選択された商品について、AIを使った質問コーナーが設けられています。そのコーナーで、
「この商品は、停電時に何時間使えますか?」
といった質問をしたとき、
「この商品の説明には、停電時に何時間使えるかの記載はありません」
などといったコメントがあり、ユーザーをがっかりさせることになります。購入に際してユーザーが抱く疑問に対して、AIが回答できる十分なデータを用意しておく必要があります。

口コミ等の商品比較対応

AIは、商品に対する口コミ情報を大量に読むことができます。そして、要約して推薦に使います。人が口コミを閲覧すると、数が多い内容やインパクトの大きい表現の口コミを重視しました。ところが、AI時代では瞬時に大量の口コミを読み内容を確認することから、より口コミの質が重要になります。人が口コミをみても直近の数件しか目に入りません。口コミのうち、使用状況が具体的で、評価が明確、他の商品との比較が含まれる記事は、AIが推薦理由として利用しやすくなります。企業は、ユーザーに具体的な口コミを書いてもらう仕組みを整える必要があります。
また、AIは自動で商品比較を行います。そのため、比較しやすい情報を揃えることが重要です。同一カテゴリでスペック項目を統一し、価格、耐久性、素材などの比較軸を揃えること。競合との差分を明記することで、AIは比較しやすくなします。差分が明確な商品ほど、AIは推薦しやすいものです。

商品コンセプトの提供

AIは「どんなユーザーに向いている商品か」を理解して推薦します。そのため、商品説明に意図情報(コンセプト)を含める必要があります。例えば、ゴルフシューズの場合、初心者向け、雨天プレーが多い人向け、足幅が広い人向け、歩行距離が長い人向けなどの情報です。これらの情報で、AIはユーザーとのマッチング精度を高められます。
また、AIは画像も読み取ることができます。そのため、画像の質と種類が推薦に影響します。正面、側面、底面の画像、素材のアップ、使用シーンの画像、サイズ感が分かる比較画像などを用意することで、AIは用途適合性を判断しやすくなります。画像の構造化は、SEO以上に重要かも知れません。

AIとの連携APIの整備

IT技術力のある商品提供者なら、AIが商品データを直接取得できるようにすることもできます。商品データAPI、在庫API、価格変動API、口コミAPI、商品比較APIなどを整備することです。これにより、AIはリアルタイムで情報を取得し、ユーザーに最適な商品を推薦できます。AIとの連携構造は、今後の通販サイトにおいて重要な競争力になります。
特にB to Bをイメージしたとき、API整備は、重要になると考えられます。

 

AI時代の通販利用例

ここでは、30歳で月に1〜2回ラウンドを行うアスリート系男性がゴルフシューズを購入するケースを例として取り上げてみます。このユーザーは、性能を重視しつつ、価格にも一定の関心を持ち、耐久性やグリップ力を重視する傾向があります。これまでは、複数のサイトを閲覧し、口コミを読み、店舗で現物を確認するというプロセスを踏んでいました。

AIが介在する購買プロセス

AIが介在すると、ユーザーの購買プロセスは大きく変わります。まず、ユーザーはAIに相談します。すると、AIがシューズのトレンドを説明し、使用条件を聞き取ります。次に、商品の要件を整理し、商品候補を提示します。この際、比較表を作成します。比較補表では、口コミの要約情報、リスク、在庫確認、最適な購入先を示します。このようにユーザーは短時間で、すべての情報を得ることができます。
このケースからわかることは、商品データの質がAIの推薦に直結するということです。構造化データ、意味情報、比較可能性、口コミの質、画像の最適化が整っている商品ほど、AIは推薦しやすくなります。企業は、AIが商品を正しく理解できるようにデータを整備することが重要です。
ユーザーが商品を選ぶ場合、従来であれば、分からない部分は、ブランドが補っていました。耐久性は良く分からないが、「○○ブランドなら安心」といった判断です。AIを介した購入では、ブランドの意味付けが変化するかも知れません。高いブランド力を持つ商品の提供者は、ブランドがあるからと安心できません。一方、ブランド力の低い提供者は、商品の具体的価値を示すことで、他社のブランドの壁を突き崩す可能性があります。

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まとめ

AI時代のカスタマージャーニーは、従来の購買行動とは大きく異なります。ユーザーはAIに情報収集を任せ、意思決定に集中します。商品提供者は、AIが商品を正しく理解し、推薦できるように、サイト設計を見直す必要があります。
AI時代の通販サイトは、ユーザーの目だけではなく、AIの理解を考慮して設計されるべきです。

参考記事:インターネット革命時の失敗を繰り返すな!つかめAI革命チャンス

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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