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「後でまとめてやる」ことは、意外に非効率。生産性を上げる3つヒント

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「後でまとめてやる」ことは、意外に非効率。生産性を上げる3つヒント

 

「後でまとめてやる」ことは、意外に非効率。生産性を上げる3つヒント

「数か月分の出張旅費の精算」
「期限ギリギリでの確定申告」
こんな風に「後でまとめてやる」ことは、最後に苦痛を伴います。子供の頃に夏休みの宿題をやっておらずに、最後の1日で仕上げた経験の持ち主の友人が、
「俺が土壇場に強いのは、小学校の夏休み以来だ!」
と自慢していました。その人が、土壇場に追い込まれても精神的に強いのは認めますが、仕事のし方としては感心できません。この方も、
「毎日少しずつでもやっておけば、後で苦労しないのに」
と頭では理解できているのですが、それができません。最後の段階で精神的な苦痛が伴うことを承知で、「後でまとめてやる」というスタイルを貫いています。
やるべき仕事を「後でまとめてやる」のは、単純に「今は、これをしたくない」という嫌なことを先延ばしする心理の他に、「まとめてやる」方が、処理時間が短くなるという気持ちがどこかにあるので、仕事をためて後で一気に処理しようとするのかも知れません。
実は、少しずつ処理した時間を足したものと、まとめて処理した時間を比較すると、手作業の場合は少しずつやった方が短時間で終わる傾向があります。効率(同じ仕事を短時間でやる)という点からみると、むしろ非効率です。(参考:諏訪寿一著「家事から仕事まで使える がんばらない効率化」PHPエディターズ)
仕事をまとめて処理することが非効率になるのは、仕事とまとめることで「仕掛在庫」が生まれ、ムダな時間を使うことになること。まとめて長時間同じことをすると体力・気力が低下しがちになるからです。
「後でまとめてやる」の他にも、「バケツリレー」のような作業分担も非効率になることがあります。
この記事では、仕事のし方により生産性を上げる3つのヒントをご紹介します。
1)「後でまとめてやる」より「コツコツやる」
2)「リレー方式」より「並走方式」
3)仕事のやり方によるリスクをマネジメントする
これらのポイントを押さえることで、生産性の向上や工期短縮が期待できます。

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家事から仕事まで使える がんばらない効率化

「後でまとめてやる」より「コツコツやる」

サラリーマンの方なら経験があるかも知れませんが、出張旅費の精算を1か月分、あるいは数か月分をまとめてやろうとすると、「えらいこと」になります。複数の出張をまとめて精算すると、どの領収書がどの出張にあたるか、そもそもどこで使った金の領収書さえ忘れることもあり混乱を極めます。毎日「コツコツやる」ことが、精算に限らず伝票処理では、絶対に楽であり効率的です。
上記の例で挙げた「出張旅費の精算」というような「後でまとめてやる」方法は、「まとめる」という「在庫積み」が行われています。一般的に「在庫」には、2つの問題があります。
1)在庫品に対して管理する必要がある
請求書や売上に関する伝票の整理、出張旅費の精算など、後でまとめてやろうとすると書類を乱雑に机の上においていては、後でPCなどに入力するのに困るので、整理する必要があります。たとえ、メールや電子情報などペーパーレスの情報でも、整理をしておかないと後で思いがけず時間が必要になります。
モノの生産では、原材料や中間製品の置き場管理が必要です。
2)在庫はコストがかかる
モノの在庫では、置き場の費用、原材料費用などコストがかかります。お金を原料や中間製品に替えているのですから、資金繰りの点でも負担になります。

個人の仕事で「まとめて後でやる」ことの非効率は、工場規模の精算でも同様です。トヨタの有名な「ジャストインタイム方式」の生産は、中間在庫を極力減らすことで、高い生産性を保っています。

リレー方式より並走方式

何かを運ぶとき、「バケツリレー」のようなやり方をして、結局時間が余計にかかったような経験がありませんか。例えば、学校や自治会のイベントで、倉庫からイスなどの備品を出し入れするときなど、自然発生的にやることがあります。しかし、実際は各自が倉庫から設置場所まで運ぶ方が速いとの検証がされています。
ネット記事の中に、本当に「バケツリレー」をしてみて、リレー方式より各自がバケツを運ぶ方法(「並走方式」と呼びます)の方が、20%以上効率的であるとの検証が載っていました。(参考記事:「バケツリレーは本当に効率がいいのか」
これには、いくつかの原因があります。
1)リレーをする際に荷物の持ち替えに時間を取られる
2)メンバーの能力に合った分担ができにくい
3)体力のない(持久力)人が、ボトルネックになって全体の効率を下げる
これは、バケツで水を運ぶ話ですが、実際の仕事をバケツリレー方式で分担しても同様なことが起きます。
例えば、複数の人間で何かの加工をする、箱詰めをするといった作業も、作業者に「何かの工程ができない」といった絶対的技量差がなければ、リレー方式より並走方式の方が効率的です。
実際に分析作業をしていた現場で、採取したサンプルの分析準備作業と分析や観察、レポート作成の各工程の担当者を分けていたものもの(リレー方式)を各作業者が全行程を一人でできるようにしたこと(並走方式)で、効率化したことがあります。
従来型のリレー方式では、朝サンプルを採取して、分析や観察担当に回ってくるのは午後です。分析や観察要員は、午前中は暇で午後は忙しくなります。そこで、分析や観察するサンプルの半分は前日に準備しておきます。仕事としては、平準化できているのですか、サンプルの半分は、結果が出るのに2日かかります。そこで、同じ人がサンプルの分析準備と分析・観察をすることにしました。この並走方式だと、全サンプルを当時中に分析・観察ができます。さらに1日の処理数を比較すると並走方式の方が、2割ほど生産性が上がっていました。前日準備したサンプルを分析・観察する場合、サンプル数と分析・観察する能力に過不足が生じてしまうことが原因でした。この場合も「ためて後でやる」ことの弊害が出ていると言い換えることが出来そうです。ただし、各自が全ての工程が出来るような多能工化の教育と設備や器具が不足しないようにする必要がありました。

仕事のやり方によるリスクをマネジメントする

「後で仕事はまとめてしないので在庫はミニマム」
「並走して仕事をするので効率的」
など、先に挙げた方法にもデメリットはあります。
例えば、災害時に「在庫ゼロ方式」であれば、すぐに原材料不足で生産が停止するリスクがあります。並走して作業する人に技量差があることで、製品の品質にバラつきが生じる恐れがあります。
どんな生産方式にも、メリットと同時にデメリットがあります。常に採用している生産方式のメリットとデメリットを意識して、リスクをマネジメントすることが必要です。
例えば、ジャストインタイム方式の生産をしている工場でも、最近は災害に備えて必要な在庫を持つことが推奨されています。
一方、「メールをため込まないように」と、メールが届くたびにそれを開いて応答していては、仕事がそのたびに中断されて非効率になります。1日に数回、時間を決めてメールをチェックするようにしている人も多いかと思います。
どんな仕事であれ、「まとめて行うこと」「分散してやること」のバランスを取ることで、効率化とリスク低減を図ることが重要です。

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まとめ

仕事のし方により生産性が変わります。生産性を上げるには、
1)「後でまとめてやる」より「コツコツやる」、
2)「リレー方式」より「並走方式」、
3)仕事のやり方によるリスクをマネジメントする、
といったことが重要です。これらのポイントを押さえることで、生産性の向上や工期短縮が期待できます。

参考記事:使い方から考える、役に立つマニュアル(作業標準)の作り方

労働生産性を確実に向上させる5つのステップ(製造編)

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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