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組織改革を進める前に知っておきたい、改革を拒む「3つ壁」とそれを破る方法

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

組織改革を拒む「3つ壁」とそれを破る方法

 

組織改革を拒む「3つの壁」

「長期にわたり売上・利益が低迷している」
「組織に閉塞感が溢れている」
「採用募集しても人材が集まらない」
こんな状態の会社では、経営者や一部の社員は、そのことに気づき何とかしたいと思っているはずです。小手先の改善では限界を感じ、「改革が必要だ」と思うでしょう。そして、いろいろな案を考え改革を進めようとするのですが、そう簡単に行くものではありません。改革が進まないのは、「改革」を阻む3つの壁があるからです。
1)固定観念の壁
2)行動の壁
3)コミュニケーションの壁
「いい仕事をしたい」「良い会社にしたい」と会社の大方の社員は思っています。だからこそ改革の必要性は、感じているはずです。「いい仕事をしたい」、「良い会社にしたい」と思うということは、それなりに「いい仕事」「良い会社」のぼんやりしていてもイメージがあるはずです。世の中を見渡せば、本やネット記事などに改革のヒントが溢れています。しかし、改革の実行となると「日々の仕事に追われて」などと理由を付けては、改革から逃げてしまっていませんか。改革の内容を考える前に、改革を拒む3つの壁を破ることから始めるのが、改革の第一歩です。なお、この記事は、加藤丈博、荒川和久著「最新 組織改革の基本と実践がよ~くわかる本」(秀和システム)を参考にしています。


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固定観念の壁を破る

同じ会社で長く働いていると、気づかぬうちにその仕事に関する見方や考え方、慣習など決まった物事への捉え方が身に着き、縛られます。固定観念(「思い込み」)の壁です。
改革をどう進めるか、そのアイデア段階で、固定観念の壁に拒まれて、全く発想が止まってしまうことがよくあります。
固定観念の壁を破るには、
1)「それは、何の為の仕事か?」
2)「それは、何の価値を生んでいるのか?」
3)「そもそも、その組織のミッションは?」
4)「それをやらなかったら何が起きるか?」
5)「もしこの業界にアマゾンが参入したら?」
などと、第三者的視点で自問自答してみることです。あるいは、チームで会話をしてみて下さい。組織として、もう不要になっている部署、当初の目的から外れた組織や仕事、対費用効果の薄い仕事、時代遅れのビジネスなどが浮かびあがってくると思います。
改革案を作るために様々なビジネス解析手法やフレームワークがあります。これらを利用するにしても、固定観念(前提条件)の壁を第三者的視点での疑問を発することで、突破しておくことです。

余談ですが、今の日本は国レベルで「固定観念の壁」にぶち当たっています。コロナ対策で露呈した行政の柔軟性のなさ、実行性のなさも官僚達の固定観念が災いしています。「タテ割り行政」が染みついて、対策が各省と重なったり、押し付けあったり。もっと言えば、「中央集権的しくみ・発想」が染みついて、なんでも国の指示でやろうとする。国としての指示なないとなにも動けない。例えば、地方に税収権と一緒に権限を委譲し、「地方自治体そのものが稼ぐ」ぐらいの発想がないものかと思います。

行動の壁を破る

「やるべきことはわかっているのに、行動に移せない」
これは、よくあることです。倒産寸前に追い込まれた1990年代の日産を救ったカルロス・ゴーン氏は、
「私がいなくても、日産の社内で既にやるべきことはわかっていた。しかし、行動できていなかった!」
とその著書で述べています。(最近は、レバノン逃走等でゴーン氏の評価は変わっていますが、この当時の言葉は輝いていました。)
わかっていながら、行動に移せないのは、これまでのやり方を繰り返すことが楽だからです。変えることが、怖いからです。
改革とは、大きな行動の変化を伴います。しかし、行動を変えることが習慣化していない組織では、強制力を働かせてもスムーズに行動が変化しません。慣性の法則に従い、変化のはじめには大きな力を必要とします。そこで、小さな変化から行動することをお勧めします。小さなことを
「すぐやる」「やり切る」
ことが大切です。グズグスと躊躇していたことも、やり始めると「意外に簡単なこと」と思えるものです。ただし、始めたたら「やり切る」まで継続が必要です。
ある職場で、生産性改革をチームで掲げ、その為に1日の仕事内容を各自記録することにしました。
「記録するのは無理だ!」「やる意味があるのか?」「面倒だ!」
様々な理由をつけて、チーム員は行動を起こしません。そこで、
「机に座っていたか、現場にいたか、会議をしていたかだけの区別で時間記録をして欲しい」
とリーダーが提案。無理やり記録取りを始めました。記録も30分単位という大まかなものでしたが、これでも1か月もやると十分なデータが集まりました。その後、「会議時間が長いのはなぜ」、「生産部門なのに机に座っている時間が長いのはなぜ」そんな議論がなされ、改革がはじめられています。データを取るという行動を一度経験しているからか、対策の行動とその記録は、チーム員に抵抗なく行動を始めています。
小さな行動を時には強制的にでもはじめることです。始めたら続けることです。一度組織が行動することに慣れれば、あとは勢いがついて、本格的な行動ができるようになります。


コミュニケーションの壁を破る

改革のアイデアを考え、行動に移すには、コミュニケーションが重要です。
コミュニケーションが悪い例には、
1)上司が言いっ放しで、伝わったか確認していない
2)上司の指示が伝わっても部下が行動しない
3)行動の進捗や結果を上司に報告しない
4)状況の変化を上司に報告しない
5)部下の報告に対して、上司が反応しない
等々あります。コミュニケーションは、組織のインフラです。ガス、電気、水などのインフラが整備されない状態での都市や工場は、機能しません。更にコミュニケーションというインフラは、情報インフラですので、双方向に繋がっていないといけません。ガス、電気、水のように一方向ではダメです。
具体的に言えば、上司は部下に伝える。そして、行動を確認する。部下は、状況報告や意見を上司に伝える。上司は、これに反応する。こんな双方向の情報伝達が必要です。
社長自ら改革のビジョンを伝えるのもコミュニケーションです。しかし、それだけでは社員が動けません。上司から、短いメッセージを毎日発信し、部下が毎日これに応えるような風土がつくられて初めて、改革を進めるのに必要なコミュニケーションがつくられます。

まとめ

改革が進まないのには、「改革」を阻む3つの壁があるからです。
1)固定観念の壁
2)行動の壁
3)コミュニケーションの壁
これらは、組織文化ともいうべきものです。これらの壁を突破しなければ、斬新な改革案は生まれません。改革案が実行され継続されることはありません。

参考記事:中間管理職に「改革が必要」との危機意識が生まれない3つの理由

会社の「改革」を進める3つのポイントは、「危機意識」「短期成果」「企業文化」

 

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