「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

マスコミの情緒的報道が社会の混乱を拡大させている(報道について その1)

 
インタビュー報道を見る人のイラスト
記事一覧

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

マスコミの情緒的報道が社会の混乱を拡大させている(報道について その1)

 

マスコミの情緒的報道が社会の混乱を拡大させている

「スーパーの棚から、コメが消えた」
「ナフサ不足で、建設業者にペンキが入らない、システムバスが入手できない」
そんな報道が流れれば、
「自分も何かしなければ・・・」
との思いで、買いだめに走りだす人が現れます。
日本では、社会的な混乱が生じるたびに、マスコミの報道姿勢がその混乱を拡大させているのではないかという疑問が浮かびます。特に、昨年(2025年)のコメ不足、最近のナフサ不足といった供給不安に関する報道では、マスコミや政府が「定量的な実態」を示さず、「関係者へのヒヤリング」を中心に状況を説明する傾向が顕著に見られます。この報道姿勢が、社会の不安を増幅し、結果として混乱を拡大させているのではないかとまで考えたくなります。
マスコミに限らす、政府の短期的調査も、「関係者へのヒヤリング」が中心です。日銀の短観も企業に景気をヒヤリングして、「良い」から「悪い」を引いただけという数字です。(対象にしている会社数が多いのが救いですが。)
マスコミや政府の調査に関して、次の4つの課題があります。
1)マスコミや政府の調査は、短期的な問題ほどヒヤリング中心。
2)マスコミは「異常」を、政府は「問題ない」を強調する。
3)「モノ不足」の原因は、「安全・安心のためのストック増加」。
4)受け手は、冷静に受け止めること。
情緒的報道は、社会の混乱を拡大させる傾向があり、私たちが情報の受け手としてどのように向き合うかが、社会全体の安定に大きく影響します。

広告


マスコミ堕落論-反日マスコミが常識知らずで図々しく、愚行を繰り返すのはなぜか (SEIRINDO BOOKS)

 マスコミと政府の調査が、「ヒヤリング中心」である問題

本来、コメやナフサのような基礎物資については、生産量、入荷量、在庫量、出荷量、消費量といったデータは、サプライチェーンの各段階で定量的に把握することが可能です。技術的には、日次レベルでの入出荷データを集計することも難しくありません。
ところが、実際の報道では、こうした定量データが示されることはほとんどなく、
「農家の○○さんは入荷が減って困っている」
「あるスーパーでは棚が空になっている」
「一部の業者は問題ないと言っている」
といった「個別の声」が、あたかも全体を代表するかのように扱われます。
ヒヤリングは現場の空気を知るには有効ですが、統計的には偏りが大きく、全体像を示す手法としては不十分です。それにもかかわらず、マスコミも政府も短期的な問題についてはヒヤリング中心の説明に依存しており、これが社会の認知を歪めています。

マスコミは「異常」を、政府は「問題ない」を強調する風潮

報道の傾向として、マスコミは視聴者の注意を引くために「異常事態」を強調します。
「棚から商品が消えた」
「生産現場が悲鳴を上げている」
「このままでは深刻な事態に」

といった情緒的な表現が多用されます。
一方で、政府系の発表は、
「問題ない」
「供給は安定している」
というメッセージを繰り返す傾向があります。これは行政として当然の姿勢ではありますが、定量データを示さずに「安心しろ」と訴えるため、国民の不信感を招きやすいということになります。
この「マスコミは危機を煽り、政府は安心を強調する」という二極化した情報環境が、受け手の混乱をさらに深めています。
米不足、ナフサ不足のマスコミ、政府の発表は、まさにこのパターンです。

「モノ不足」の原因は、「安全・安心のためのストック増加」である可能性

1973年の石油ショック、昨年のコメ不足、今回のナフサ不足に共通する特徴として、流通関係者や消費者が「念のため」「安心のため」にストックを増やしたことが、供給不安を実際に引き起こした可能性があります。
この時、トイレットペーパー等が店頭から消え、休日のガソリン販売を中止しました。ところが、日本への原油輸入量は実質的に減少していなかった(むしろ微増)ことを示す公的なデータや統計資料が複数存在します。
例えば、財務省(旧大蔵省)の「貿易統計(通関統計)」によれば、「年度」ごとの原油輸入量の推移を見ると、石油ショックが起きた1973年度は、前年よりも輸入量が増加していたことが分かります。具体的には、
1972年度:約2億4,600万キロリットル
1973年度約2億8,900万〜2億9,000万キロリットル(過去最高を記録)
1974年度(昭和49年度):約2億7,800万キロリットル
といった具合です。参考)資源エネルギー庁資料(2025年)
総量としては、不足していないのに「モノ不足」が発生するのは、
1)少しずつの買いだめが積み重なる
2)流通在庫が一時的に減少する
3)「棚が空」という映像が報道される
4)さらに買いだめが加速する
という「ループ」が発生することに原因があります。
マスコミはこの因果関係を定量的に検証しようとせず、在庫データや入荷量の推移を示す報道もほとんどありません。結果として、社会的混乱の本質が見えないまま、情緒的な報道だけが拡散してしまいます。更に最近は、SNSがセンセーショナルな表現で「不足」の情報を拡散させて、人々の買いだめを後押しする結果を生み出します。

受け手に求められる姿勢(定量性の要求と冷静な行動)

このような情報環境において、私たち受け手が取るべき姿勢は二つあります。
1)マスコミや政府に対して、定量的なデータの提示を求めること
「どれだけ不足しているのか」「在庫は何日分あるのか」といった具体的な数字がなければ、状況判断はできません。
2)必要以上の買いだめを避け、冷静に行動すること
社会的混乱の多くは、実際の不足ではなく「心理的な不足感」によって引き起こされます。
こう言っても、社会の流れが出来てしまうと、これに抗えないのが悲しいところです。精々冷静に対処していくだけです。

マスコミの情緒的報道は、投資家のチャンスかも

ところで、マスコミの情緒的報道で短期的に動く金融市場も、投資家が冷静に対応すると逆にチャンスが巡ってくることがあります。
株式市場や商品市場、金利に対して、マスコミの情緒的報道が影響を与えます。短期的には、報道のトーンに市場が反応し、価格が大きく動きます。
しかし、投資家が、実際の在庫量、入荷量の推移、消費量の変化、流通のボトルネックの有無といったことを定量的に把握できれば、混乱が収束した後の価格の戻りを高い確度で予測できる可能性があります。
つまり、情緒的報道に振り回されず、データに基づく判断を行うことができれば、投資家にとって大きな利益を生むチャンスが潜んでいることになります。

広告


マスコミ亡国論

まとめ

マスコミや政府の調査に関して、次の4つの課題があります。
1)マスコミや政府の調査は、短期的な問題ほどヒヤリング中心で定量性に欠ける。
2)マスコミは「異常」を、政府は「問題ない」を強調し、情報が二極化する。
3)「モノ不足」の原因は、「安全・安心のためのストック増加」である可能性。
4)受け手は、冷静に受け止めること。
情緒的報道が社会の混乱を拡大させる構造があり、私たちが情報の受け手としてどのように向き合うかが、社会全体の安定に大きく影響します。
参考記事:戦争もコロナ禍も「災害」と考える日本人の「災害死史観」とは

「子どもの問題」の根源にある「親の問題」「社会の問題」「行政の問題」

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
スポンサーリンク




スポンサーリンク




Copyright© 改革志向のおっさんブログ , 2026 All Rights Reserved.