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若手社員の抱える「悩み」の本質とマインドフルネスを活用した自己認識

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

若手社員の抱える「悩み」の本質とマインドフルネスを活用した自己認識

 

悩みの本質は、理想と現実のギャップが埋まらないこと

「このままでいいのだろうか?」
「自分は何を目指しているのだろう?」

これは、入社4年目のAさんが打ち明けてくれた言葉です。
入社して数年が経ち、仕事にも慣れ、ある程度の成果も出せるようになってきたものの、ふとこんなことを感じる瞬間があるとのこと。仕事はこなしているものの、心から充実しているとは言い切れない。結婚や家庭のことも考えたいが、踏み出す決心がつかない。そんな曖昧な不安や悩みを抱える人は、決してAさんだけではありません。
こうした悩みは、共通した構造を持っています。それは、理想(こうありたい、こうあるべきだと思っている姿)現実(今の自分)とのギャップが埋められないことです。このギャップが大きいほど、人は悩み、迷い、時に自信を失います。

社会人の悩みはなぜ生まれるのか

入社して3〜10年ほど経つと、多くの人が「仕事の慣れ」「仕事の停滞」を同時に感じ始めます。最初の数年は、覚えることが多く、毎日が必死で、悩む余裕すらないほど忙しいものです。しかし、ある程度のスキルが身につき、仕事の流れも理解できるようになると、次第に「この先どうするか」という問いが浮かび上がってきます。
この問いには、明確な答えがありません。だからこそ、悩みとして心に残り続けます。仕事を続けるべきなのか、昇進を目指すべきなのか、専門性を高めるべきなのか、結婚や家庭はどう考えるべきなのか、自分は何を大切にしたいのか。こうした問いは、理想が曖昧であるほど、悩みとして強く意識されます。
悩みの本質は、理想と現実のギャップです。ギャップを埋める方法が見つからないから悩むのです。ただし、Aさんのような若い社会人の悩みの特徴は、理想が明確でなく、従ってギャップが見えていないということです。理想に関して、
「もっと成長したい」
「もっと充実したい」
「もっと良い人生にしたい」
といった「ぼんやりしたもの」が心のどこかにある一方で、現実の自分はその理想に近づいている実感がない。この曖昧なギャップが、悩みの正体です。
理想と現実のギャップを埋める方法は、大きく3つあります。
1)現実を理想に近づける方法を探す
2)理想を修正し、現実に近づける
3)理想を修正した上で、現実を近づける方法を探す
最も現実的なのは「理想を修正した上で現実を近づける」方法です。しかし、その前提となる「現状認識」が誤っていれば、どの方法も機能しません。
そこで、マインドフルネスなどを使い、現状を正しく観察し、バイアスやエゴを取り除くことが重要です。
この記事では、悩みの本質と現状認識の問題から、その解決方法を考えます。

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悩みの構造と解決策

悩みの解決について、理想と現状のギャップという視点から3つの解決方法について考えてみます。

現実を理想に近づける方法を探す

もっと努力する、もっと勉強する、もっと成果を出すというように、現状を理想へ近づけるための行動を取る方法です。しかし、悩みが深いときほど「どうすれば理想に近づけるのか」が分からなくなります。努力の方向性が見えない、何をすべきか分からない、そもそも理想が曖昧である。そのため、この方法は悩みを解消するどころか、悩みを増幅させることがあります。
例えば、社会人がよく抱える自己研鑽の悩みとして、
「出世したい」
「一流企業で働きたい」
という理想を持っているとします。しかし現実は、業界下位の会社で平社員として働いている。仕事はこなしているが、特別な成果を出しているわけではない。転職活動をする勇気もない。何か勉強しなければと思うが、何をすればいいのか分からない。こうした状態は、まさに理想と現実のギャップが大きく、悩みが生まれやすい典型です。
こんな立場でいるとき、「現実を理想に近づける方法を探す」だけでは、悩みは解消しません。なぜなら、理想が漠然としているからです。「一流企業に行きたい」という理想は、具体的な行動に落とし込めなければ、ただの願望に過ぎません。何を学ぶべきか、どのスキルを磨くべきか、どの企業を目指すべきかが曖昧なままでは、努力の方向性が定まりません。

理想を修正し、現実に近づけること

そこで、理想そのものを下方修正し、「今の自分でも達成できる理想」に変える方法がります。これは心理的には楽になりますが、長期的には自己成長の機会を失う可能性があります。昇進は難しいから今のままでいい、結婚は面倒だから考えなくていい、仕事はほどほどでいいというような諦めは、一時的には心を軽くしますが、後になって後悔を生むこともあります。この方法の最後の形が、「諦める」です。
先ほど例では、「一流企業は無理だから今の会社でいい」と諦めることは、悩みを消す代わりに成長の機会を失うことにもつながります。

理想を修正した上で、現実を近づける方法を探す

最も現実的で効果的なのがこの方法です。理想を一度見直し、現実的で妥当な理想に再設定したうえで、その新しい理想に向けて現状を改善する方法です。これは、理想と現実の両方を調整する柔軟な方法であり、実際の問題解決では最も多く採用されています。
先ほどの例では、「一流企業に行きたい」という理想を「自分の市場価値を高めたい」という理想に修正することができます。市場価値を高めるために必要なスキルを明確にし、現実的なステップを踏むことで、理想と現実のギャップは縮まります。

悩みを解消するために最も重要な「現状認識」

理想と現状のギャップが悩みであると捉えで、その悩みを解消する際に、見落としがちなのが、現状をどこまで正しく認識できているかという点です。理想をどれだけ調整しても、現状認識が誤っていれば、ギャップは埋まりません。
学生時代、進路や部活などで悩んでいるとき、先生や周囲から
1)「明確な目標」(理想)を持ち、それに向かって努力しなさい
2)志望校は身の丈に合わせなさい
3)志望校を変更してそれに合った勉強をしなさい
といった指導をされたことがありませんか。まさに悩み解消の3つの方法そのものです。これらの指導法は、長年実績をあげてきました。実は、その裏に先生や周囲の人が、学生の現状を知っていることがあります。また、本人も模擬試験や練習試合を通して、客観的に自分の現状の力を認識しているということがあります。
ところが、会社員になると試験や試合があるわけではなく、自分で自分の現状を把握しなくてはなりません。様々なバイアスがあって、多くの人は、自分に対する評価は実際より高く感じていると言われています。その結果、
「自分はやればできる」
と自分を過大評価してしまうことになります。また、反対に
「自分は業界下位の会社で平社員だから、一流企業は無理だ」
と思い込んでいる場合があります。しかし、実際にはスキルが不足しているだけで、改善すれば十分に可能性があるかもしれません。
現状認識が誤っていると、理想の設定も誤り、努力の方向性も誤ります。
現状認識を妨げる要因には、自分のバイアス、社会的習慣、宗教的価値観、そして自分のエゴがあります。特にエゴは、悩みの大きな原因です。自分を良く見せたい、認められたいという欲求が、現状を歪めて認識させます。
試しに今悩んでいることを思い浮かべ、それは「自分のエゴ」ではないかと疑ってみてください。健康の悩みは、「自分は長生きしたい」というエゴからきます。勉強の悩み、金銭の悩み、これらも「自分のエゴからきているのでは」と疑ってみてください。すると悩みのほとんどが、実はエゴから来ていることが分かります。これは、仏様の解脱の真髄と言われているそうです。(参考:妙心寺「解脱」 

現状認識を正す方法としてのマインドフルネス

自分の現状を認識する方法の一つにマインドフルネスがあります。近年、グーグルやアップルといった会社でもストレス対策として研修に取り入れられるなど注目されています。マインドフルネスとは、今この瞬間の自分を、評価や判断を加えずに観察する姿勢です。その目的は、自分に対する認識を確認することにあります。マインドフルネスは、自分の感情を客観的に見ること、自分の思い込みに気づくこと、自分の価値観を再確認すること、自分の本音を見つけること、自分のエゴを手放すことに役立ちます。
具体的な方法は他に譲りますが、マインドフルネスの本質は「自分を正しく見ること」にあります。つまり、自分に対する現状認識を再構築することができます。
製造会社で働く技術系のKさんは、入社して10年ほど経ち、仕事にも慣れ、後輩の指導も任されるようになっていました。しかし、昇進は思うように進まず、同期の中にはすでに管理職になる人も出始めていました。そのため、
「自分は評価されていないのではないか」
「もっと認められたい」
という気持ちから悩んでいました。
彼は、ふとしたことからマインドフルネスに興味を持ち、本やネット上の動画に接し、自分の感情を客観的に観察することをしてみました。すると、次第に「昇進したい」という理想の裏側にある本音が見えてきました。それは、「他人と比較して負けたくない」というエゴでした。昇進そのものが目的ではなく、他人より優位に立ちたいという欲求が悩みを生んでいたと気付きました。この気付きから、Kさんは理想を「昇進したい」から「自分の専門性を高めたい」という理想に修正しました。すると、悩みは自然と軽くなり、行動の方向性が明確になりました。専門性を高めるための勉強を始め、資格取得にも取り組みました。結果として、数年後には昇進も実現しましたが、それはエゴではなく、自分の成長の結果として自然に得られたものでした。(面接で語った本人の話)

理想と現実のギャップを埋めるアプローチ

理想と現実のギャップを埋めるアプローチ方法について、これまで例に挙げた「出世したい」「一流企業に行きたいという理想」と「業界下位の会社で平社員という現実」のギャップを、どのように埋めていくかを考えてみます。

理想の再設定がギャップ解消の第1歩

「一流企業に行きたい」という理想は、非常に抽象的です。一流企業とは何か、なぜそこに行きたいのか、そこで何をしたいのかが曖昧なままでは、努力の方向性が定まりません。まずは理想を細分化し、具体的な目的に変える必要があります。
たとえば、「一流企業に行きたい」という理想を「自分の市場価値を高めたい」という理想に修正することができます。市場価値を高めるために必要なスキルや経験を明確にし、それを身につけるための現実的なステップを踏むことで、理想と現実のギャップは縮まります。

現状認識を正しく行うことが不可欠

現状認識が誤っていると、ギャップは永遠に埋まりません。自分は業界下位の会社で平社員だから一流企業は無理だと思い込んでいる場合があります。しかし、実際にはスキルが不足しているだけで、改善すれば十分に可能性があるかもしれません。
逆に、自分はやればできると過大評価している場合もあります。現状認識が誤っていると、理想の設定も誤り、努力の方向性も誤ります。マインドフルネスは、この現状認識を正すために非常に有効です。

理想と現実のギャップを埋めるための行動計画

理想を「市場価値を高めたい」と再設定した場合、次に必要なのは具体的な行動計画です。例えば、業界で求められるスキルを調べ、必要な資格や知識を学ぶ。社内で成果を出すための方法を考える。転職活動を視野に入れ、情報収集を始める。自分の強みと弱みを整理するといった行動は、理想と現実のギャップを埋めるための具体的なステップです。重要なのは、理想を現実的なものに修正し、その理想に向けて現実を改善することです。

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まとめ

悩みは、理想と現実のギャップが埋まらないことから生まれます。ギャップを埋める方法は、以下の3つです。
1)現実を理想に近づける方法を探す
2)理想を修正し、現実に近づける
3)理想を修正した上で、現実を近づける方法を探す
最も現実的なのは「理想を修正した上で現実を近づける」方法です。しかし、その前提となる「現状認識」が誤っていれば、どの方法も機能しません。
そこで、マインドフルネスなどを使い、現状を正しく観察し、バイアスやエゴを取り除くことが重要になります。
自分の本音や価値観を見つめ直すことで、自分に対する認識を再構築することができます。その結果、理想を適切に修正し、再認識した現状とのギャップから「悩み」の本質を理解できます。更に、そこから現実的で実行力のある行動を取ることができます。

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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