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「断れない人」は、「チャルディーニの法則」に対する耐性が弱いから?

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「断れない人」は、「チャルディーニの法則」に対する耐性が弱いから?

 

「断れない人」のなってしまう原因を「チャルディーニの法則」から考える

頼まれた人に対して「嫌だ」と言えず、ついつい引き受けて後悔するタイプを「断れない人」と呼びます。自分は、そんなタイプではないと思う人でも、時と場合によっては「断れない」状況に追い込まれることがあります。
ある時、私の友人Aさんにこんな電話が掛かってきました。
「10年ぶりに高校の同窓会したいので、幹事をしてくれませんか」
高校時代一緒に部活をしていたAさんの友人からです。Aさんは、「部活仲間の同窓会なら出席してもいいけど、学年全体の同窓会幹事なんかしたくない」というのが本音です。
「前に会ったとき、『母校の為に出来るだけのことはする』と言っていたよな」
「飲んだ勢いで、そう言ったけどな」
「クラスのマドンナだった○○さんが、『困ったときは、A君だよね』と君を推してくれたんだ」
「俺も○○さんも一緒に幹事をやるよ。80歳を超えた△△先生も『これが、最後かも』と言って、出席してくれることになっている」
こうなっては断ることもできず、Aさんは心ならずも幹事を引き受けることになってしまいました。Aさんは、どこかのタイミングで「断りの言葉」を入れようとしたのですが、相手が次々に「心に引っかかる言葉」を繰り出して来るうちに、「断れない」状況に追い込まれてしまいました。
これは、相手が無意識のうちに「チャルディーニの法則」と呼ばれる「説得の手法」を繰り出したことにより「断れない」状況になった事例と考えることができます。
チャルディーニの法則は、アメリカの社会心理学者ロバート・チャルディーニによって提唱された、「人々が影響を受けやすい心理的傾向を示す法則」です。法則は、以下の6つです。
1)返報性:「お返し」の気持ち
2)一貫性:以前の自分の言動に一貫して従いたい
3)社会的証明:皆がやっているから
4)好意性:好意的な態度に応えたくなる
5)権威:権威のある人に従う
6)希少性:入手困難なものに価値を見いだす
いかがですか。先の例に挙げたAさんは、この中で複数の項目に当てはまることを言われたことがわかります。
チャルディーニの法則を適用すると、「断れない人」になってしまう原因を理解することができます。逆に説得する側が、チャルディーニの法則を利用して、マーケティングが行われます。また、霊感商法やオカルト宗教のおける「マインド・コントロール」もこの法則に沿ったようなことが行われています。(参考:西田公昭著「マインド・コントロールの仕組み」
この記事では、チェルディーニの法則から「断れない人」になってしまう原因と対策を考えます。

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マインド・コントロールの仕組み

「断れない人」になる原因

チェルディーニの6つの法則の中で、「断れない人」になる原因になり易い3つを挙げます。

1)返報性
「断れない人」は、他人が何かをしてくれた場合に、その恩恵に報いることが強い義務感を感じる傾向があります。他人からの要求や頼みごとに対して、何かを返したいという気持ちが強くなり、断ることが難しくなります。明らかに賄賂と分かるお金を受け取れなくても、日頃から親切にされていると断りにくくなります。

2)一貫性
過去に何かを約束したり、口にしたりしたことに忠実であろうとする心理的圧力が生じ、断れなくなります。
「契約書に書いてあること以外は従わない」
と割り切れればいいのですが、日本の社会ではそうは行きません。曖昧な過去の約束や言動は、自分の気持ち次第と思うことです。

3)社会的証明
周囲の人々が同じように行動したり、同じような要求に応じたりすることが社会的な正当性を与えることがあります。「断れない人」は、周囲の人々が何かをしている場合、その行動に追従して断ることが難しくなりがちです。
「他人は他人。自分は自分」
と思うことです。

 

「断れない人」が「断る」のに必要なこと

断れなくなる心理的なプロセスを理解することで、自己主張を強化し適切な断り方を身につけることができることが期待できます。以下に自己主張を強化するための3つ気持ちをご紹介します。

1)「自分は特別ではない」と思う
「断れない人」といわれるタイプは、チャルディーニの法則耐性が弱いと考えることができます。そこには、誰かに頼まれたとき、あたかも自分だけがその条件にあてはまっているような気になり、「断れなくなる」ということが考えられます。
誰かに、「今だけ」「あなただけ」「皆もしている」と言われても、よく考えれば「またあるかも知れない」「他の人にも同じことを言っている」「皆とは、どれだけの人か」と考えると自分だけが、特別な状況に置かれていないことが分かります。TVでやっている通販は、何十万、何百万人の人に向かって、
「今、ご覧になっている、あなたは特別です!」
と訴えています。冷静に「特別」なのかを判断できれば、「断る」ことができます。

2)他人の評価を気にしない
チェルディーニの法則に従うような説得の言葉を受け入れるかどうかを「他人の評価」で決めていることが多くなると「断れない」状況に追い込まれます。
「他人に悪くいわれたくない」「頑固とおもわれたくない」といったマイナスイメージに繋がる評価を極端に嫌う人が、「断れない人」になり易い傾向があります。
「世の中、何をやっても、他人はプラスかマイナスのイメージを持つもの」
という開き直りが必要です。

3)決めたことを「やりたいこと」と思う
相手の提案や説得を「断る」か「受け入れる」かは、自分で「やりたいこと」であるかどうかで、どの後の納得感が全く違います。
そもそも「断れない人」と悩むのは、「受ける」と決めた後も
「やりたくないことをしている」
「買いたくないものを買ってしまった」
などと後悔していることにあります。最も大切なことは、「断る」「受け入れる」の判断のあと
「自分がそうしたいから、そう決めた」
と割り切ることです。

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まとめ

「断れない人」になってしまう原因を「チャルディーニの法則」から理解することができます。
チャルディーニの法則は、「人々が影響を受けやすい心理的傾向を示す法則」で、
1)返報性、2)一貫性、3)社会的証明、4)好意性、5)権威、6)希少性
の6つから構成されています。
「断れない人」は、断れなくなる心理的なプロセスを理解することで、自己主張を強化し適切な断り方を身に着けることが大切です。

参考記事:説得力のある人が持っているアリストテレスの「説得の3原則」

ビジネスでの「決められない」という遅い意思決定をはやくするための3つのポイント

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