CMソングとして「替え歌」が使われるメリットとデメリット
CMソングとして「替え歌」が使われるメリットとデメリット
CMソングとして「替え歌」が使われるメリットとデメリット
「年下の男の子」(キャンディーズ)
「UFO」(ピンクレディ)
「大事にしていたクラリネット」(童謡)
こんな曲の「替え歌」が、TVのCMで流れています。最近、昔の大ヒット曲や童謡の替え歌が、CMソングとして頻繁に使われています。今や「替え歌」がCMソングの主流になっているように思えます。
かつてのCMソングは、新曲が多かったようです。また、あまり知られていない曲が、CMソングに採用されて、大ヒットになることも珍しくありませんでした。しかし、現在は、全くの新曲をCMに使うことが少なくなっています。かつて、資生堂やカネボウなど化粧品メーカーは、毎年キャンペーン合戦を繰り広げ、新曲や新しいタレントを拡散させ流行を創り出していました。曲やタレントの新鮮さが、企業や商品のイメージを広めるには、絶大な効果を上げていました。しかし、新曲から作ることは、その曲が視聴者に受け入れられるかどうかのリスクがあります。また、CMソングの歌詞は、企業や商品を直接連呼することは稀で、あくまで商品や企業のイメージをPRしていました。
一方、ジングル(Jingle)と呼ばれる短いCMソングで、直接商品や企業名を連呼するこことも行われます。ジングルは、視聴者にイメージではなく、口癖になるほど商品名や企業名を伝えます。ジングルは、短い歌やメロディで、商品や企業の名前、メッセージを覚えやすく印象的に伝えます。CMの冒頭や終わりに挿入されることが一般的です。ジングルが視聴者に受け入れられないかも知れないリスク、口癖になるほどの回数を流す必要があります。
「替え歌」は、CMソングにジングルの持つ強いメッセージ性を合わせたような効果を持っています。受け入れられないというリスクは、元の歌が広く知られていれば、低いものですが、ゼロではありません。
CMソングに替え歌を使うメリットとデメリットは以下のようなものが挙げられます。
メリット:
1)覚えやすさ
2)ユーモアや娯楽性の追加:
3)感情や連帯感の喚起
4)ブランド関連性の構築
デメリット:
1)嫌悪感を抱く人がいる
2)オリジナリティの欠如
3)ライセンスと著作権の問題
これらに、注意して「替え歌」を使うことが重要です。
「替え歌」を使うのは、何もCMだけではありません。社内でスローガンを「替え歌」風に広めた例があります。
ある中小企業の社長で、映画「男はつらいよ」の主題歌を「社長はつらいよ」に変えて、よく口ずさんでいる方がいました。
「いつか社員の喜ぶような 偉い社長になりたくて 奮闘努力の甲斐もなく 今日も涙の日が落ちる 日が落ちる・・・」
と何かイベントがあると熱唱し、従業員から喝さいを浴びていました。この「替え歌」は、社員と社長の良いコミュニケーションのツールとなっていました。
「替え歌」を使うメリット
1)覚えやすさ:
替え歌は、 既存の曲のメロディやリズムを利用していて、視聴者が歌詞を簡単に覚えることができます。曲の旋律やリズムが頭に残りやすく、広告の印象付けに効果的です。
「テレビを視聴しているのは、年寄りと子供ばかり」
最近、こんな言われ方をします。総務省の調査(テレビ視聴時間推移2000年~2015年)によれば、この15年間で、60代、50代のテレビ視聴時間は、ほとんど変わっていませんが、40代、30代、20代の視聴時間は、30%以上減少しています。要するに、テレビCMの価値は、中高年と子供に受け入れられるかどうかです。中高年層にとって、若い頃のヒット曲は、馴染みのあるものです。子供にとっての童謡は、身近なものです。全く新しい曲を浸透させるより、これらの世代にとって聞き覚えのある曲、つまり替え歌がPR効果を発揮します。
2)ユーモアや娯楽性の追加:
替え歌はしばしばユーモアや娯楽性を追加するために使用されます。面白い歌詞や意外な組み合わせが視聴者の笑いを誘い、CMの印象を強める効果があります。視聴者が楽しんでCMを視聴することで、商品やブランドへの好感度が高まります。
また、替え歌はエンターテイメント性が高く、視聴者に楽しい体験を提供します。CMを視聴した視聴者は、替え歌を面白いと感じたり、耳に残る歌詞を覚えたりすることがあります。その結果、視聴者自身がCMで商品名や企業名を知るだけにとどまらず、これを共有したり、口コミで広めたりすることが期待されます。
3)感情や連帯感の喚起:
有名な曲や懐かしい曲を替え歌にすることで、視聴者の感情や共感を喚起することができます。既存の曲に新たな歌詞を乗せることで、視聴者は自分自身や身近な体験を歌詞に重ね合わせることができます。これにより、視聴者との共通点や親近感が生まれ、商品やブランドへの好意や信頼を深めることができます。その結果、商品やブランドへの好意を高める効果があります。
また、オリジナルの曲に新しい歌詞を乗せることで、視聴者に新鮮な印象を与え、CMが記憶に残りやすくなることがあります。「替え歌」と言いながら、独自性を持つことができることもあります。
4)ブランド関連性の構築:
「替え歌」といっても、視聴者は、オリジナル曲が持つイメージや感情を商品や企業に関連付け易いものです。曲自体が広く知られている場合、視聴者はブランドとの関連性を想像します。オリジナル曲の歌詞やメロディーを変えることで、商品の特徴や利点を強調したり、ブランドの価値観やストーリー性を表現したりでき、これを視聴者に伝えることができます。
替え歌を使うデメリット
1)嫌悪感を抱く人がいる:
CMソングとして、替え歌が使われると、オリジナル曲への愛着や思い出が妨げられる場合があります。特に、視聴者が特定の曲に特別な感情や思い出を抱いている場合、替え歌の使用はその感情や思い出を壊すことになり、嫌悪感を抱かせることになります。
ところで、 替え歌の歌詞は、オリジナルの曲に合わせて変更されます。しかし、歌詞がわかりにくかったり、思考が視聴者と異なっていたりすると、むしろコミュニケーションの障害となり、CMのメッセージを正しく理解できません。この場合、CMの効果や広告効果が低下し、視聴者の嫌悪感を引き起こしかねません。
替え歌がオリジナル曲とイメージが異なっている場合、視聴者は、混乱や違和感をもつことがあります。曲の選択は慎重に行う必要があります。
替え歌は一般的には楽しい要素やユーモアを含んでいますが、一部の視聴者にとっては不適切と感じられる場合があります。特に、敏感なトピックや倫理的な観点から見て問題のあるテーマを扱った替え歌は、一部の視聴者にとっては不快なものとなり、CM自体の評判を損なう可能性があります。
2)オリジナリティの欠如:
替え歌はオリジナルの曲から派生したものです。もともとオリジナリティがないと思われがちですが、「新鮮に感じる替え歌」と「マネした替え歌」とが存在します。競合他社と同じパターンで歌詞を変えている、オリジナルが同じ歌手といったことがあると、視聴者には、「マネした替え歌」という印象を与えます。替え歌といってもオリジナリティが必要です。
4)ライセンスと著作権の問題:
元の曲の著作権や使用許諾の問題が発生する可能性があります。替え歌を使用する際には、著作権のクリアランスや適切なライセンスを取得する必要があります。
まとめ
今、「替え歌」をCMソングに使うことが、主流になっている感があります。「替え歌」をCMソングに使うメリットとデメリットには、以下のようなものがあります。
メリット:
1)覚えやすさ
2)ユーモアや娯楽性の追加:
3)感情や連帯感の喚起
4)ブランド関連性の構築
デメリット:
1)嫌悪感を抱く人がいる
2)オリジナリティの欠如
3)ライセンスと著作権の問題
これらに、注意して「替え歌」を使うことが重要です。
また、「替え歌」を企業内のコミュニケーションに活用することもできます。