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企業の「差別化戦略」は、「伝説」を作れるかどうかで決まる!

 
差別化を考える店主のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

企業の「差別化戦略」は、「伝説」を作れるかどうかで決まる!

 

企業の「差別化戦略」を考える3つのポイント

「自社のモノやサービスを他社と『差別化』して、高く売りたい」
多くの経営者は、そう願っています。しかし、現実は品質に厳しく、値段にうるさく、なおかつネットを通して価格や技術情報をもった日本のユーザーはタフです。これを突破する「差別化戦略」を、ネットや経済書で解説されています。そして、「差別化」を実現した多くの優良企業の例が紹介されています。これらに触発されて、自社の差別化戦略を考えようとすると、容易でないことがすぐわかります。
実際にグループ討議などして、差別化戦略を作ると「それらしい戦略」が生まれます。ところが、改めて調べると、すでに他社もやっている。「やっているが、どうも儲かっていない」ことが判明します。結局、絶対といえる差別化戦略として、「まだ誰も実現していない新商品の開発」とう「夢」で終わってしまうのが落ちです。(もっとも「夢」を実現したから経済書やネットに紹介される「差別化商品」例になっています。)更に、たとえ差別化できる商品が開発できても、継続して差別化し続けるのは、もっと大変です。中国や後発の大手企業にマネされ、あっという間にその地位を失う例を沢山見てきました。
「差別化戦略」を考えるとき、3つのポイントがあります。
1)セオリーから導かれる「差別化」は、競合他社も考えている
2)「違い」は、「商品の違い」と「やり方」の違いがある
3)「差別化」を維持するには、「伝説」をつくること
差別化の真髄は、「有限な環境」で自社商品が「何かを所有」していることです。
採掘可能な天然資源は、有限です。だから、それを所有する国は、「差別化戦略」が取れます。(石油の中東や天然ガスのロシアなど)場所も有限です。駅前の一等地に店を構えれば、売上が見込めます。過去の時間も有限です。その店が、「歴史の舞台になった」「元祖○○」「映画のロケがあった」などは、絶対に侵されない「違い」です。技術で差別化をするには、常に技術のトップを走る必要があります。技術も「H1、H2ロケットの高い成功率」「新幹線の死亡事故無し」など「伝説」にすれば、差別化が継続します。
実際にモノづくりを経験し、「差別化」で悶え苦しんだ経験も含め、差別化を考えるコツを紹介します。


すごい差別化戦略

セオリーから導かれる「差別化」は、競合他社も考えている

「差別化戦略」とは、機能やサービス面で他社にはない強みを活かし、市場において優位な立場を築く戦略と定義されています。これは、経営学者マイケル・ポーターの競争戦略の中の1つとして提唱されました。競争戦略の中には差別化戦略の他に、コストを下げるなど価格が安いことを売りにして、競合と差をつける「コスト・リーダーシップ戦略」と、特定の顧客層やエリアに集中することで競合と差をつける「集中戦略」があります。
差別化戦略を作るための様々なセオリーが知られています。代表的なものが、SWOT分析があります。自社について
1)Strength:強み(プラス要因・内部環境)
2)Weakness:弱み(マイナス要因・内部環境)
3)Opportunity:機会(プラス要因・外部環境)
4)Threat:脅威(マイナス要因・外部環境)
をフレームワークとして分析していくものです。他にも外部環境を分析する際に効果的なフレームワークとして、PEST分析もあります。これは、
1)Politics:政治
2)Economy:経済
3)Society:社会
4)Technology:技術
から、自社の立場を分析する手法です。これらをやってもみてわかるのは、いくらフレームワークの各項目を埋めても他社との「違い」を見つけるのは、容易ではないということです。なぜなら、「差別化」を目指す競合他社も同じように、意識無意識にかかわらずこれらのセオリーのように考え行動しているからです。競合と同じ業界にいるのですから、いくら市場や業界を分析しても「違い」は、見つけられません。せいぜい自社の弱点ばかりが気になる結果となります。いくら、自社を業界環境の中で分析しても「差別化」のヒントを得ることは困難かもしれません。むしろ、自社のいる業界を他の業界と比較しながら分析する方が、効果があります。あるいは、日本の業界環境と海外の業界環境を比較分析する方が、「差別化」ポイントを発見できる可能性が高いかも知れません。


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「違い」は、「商品の違い」と「やり方」の違いがある

差別化の対象は、モノやサービスである「商品の違い」と製法や仕入れ方など「やり方の違い」とがあります。
「商品の違い」は、「差別化の王道」です。商品で違いを出すには、高い商品開発力が必要です。アイデアと技術の裏付けが必要です。また、達成に時間もかかります。じっくり「良い商品」を生み出すしかありません。ところが、「商品の違い」は、目につき易く、ヒットした後に模倣品がすぐに出てきてしまします。「商品の違い」で差別化し、維持するには、レクサスや花王の商品群など、容易に模倣できない技術とお金をかけた継続的な努力が必要です。
一方、製法や仕入れルートなどは、「違い」が目につきにくいものです。「やり方の違う」差別化は、「差別化した商品」程の売上突破力はありません。しかし、「違い」を維持する力があります。例えば、4P分析と言われるProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の中で、Placeと呼ばれる場所戦略は、差別化を図りやすいものです。それは、売る場所が有限だからです。人通りの多い場所の店は、場所代がかかりますが、必ず一定の集客があります。
詳しくは、参考記事:最強の差別化戦略とは、マーケティングの4Pのうち「プレイス戦略」をご覧ください。

 

「差別化」を維持するには、「伝説」をつくること

日本で一番売れているカップ麺は、日清食品の「カップヌードル」です。(初公開!「カップ麺」売れ筋トップ100商品)日本で売れているレトルトカレーで、大塚食品の「ボンカレー」は、常にトップグループにいます。昨年は2位(スーパーで人気売れ筋のレトルトカレーランキングTOP10)いずれの商品にも、ものすごい数の競合がいます。しかし、この2つには、他では絶対マネできない「差別化」ポイントがあります。それは、
「世界初」「日本初」
というタイトルが付くことです。これは、他社がどう頑張っても真似できない「差別」ポイントです。お菓子の業界では、「元祖」などを謳ったり、「創業200年」などと歴史をPRしたりする店があります。時間は、変えられないので、「差別化」が有効になります。「地域初」「業界初」など範囲を限定して「初もの」を謳っても、「差別化」として有効にはたらきます。さらに、そこにエピソードが加われば、それは一種の「伝説」になります。SNSなどを使えば、「伝説」を定着化できます。
私は、電子材料を半導体や液晶パネルメーカーの製造・販売に関わっていました。この分野は、技術が日進月歩で進みます。せっかく開発した商品もすぐに他社が追い付いてきます。特許を取ろうとするのですが、申請して認められる前に、もう次の商品が現れます。そんな中で台湾や中国の顧客に売るとき「差別化」のポイントに気づきました。
「この商品は、韓国のサムスン電子で初採用されました!」
こうPRすると売れるのです。2000年以降、この業界のリーダーは韓国のサムスン電子です。どの会社も(少なくとも韓国、台湾、中国では)サムスン電子の動きを見ています。その後長く、「サムスンで初めて採用された商品」が、「差別化」ポイントとして効果を上げていました。

 

まとめ

商品の「差別化戦略」を考えるとき、3つのポイントがあります。
1)セオリーから導かれる「差別化」は、競合他社も考えている
2)「違い」は、「商品の違い」と「やり方」の違いがある
3)「差別化」を維持するには、「伝説」をつくること
差別化の真髄は、「有限な環境」で自社商品が「何かを所有」していることです。

参考記事:ヒット商品に見られる「売れる」ために必要な3つの要素

「差別化戦略」を成功させ「より良いものを高く」売るための2つのポイント

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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