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「大人に夢がないから、若者に夢がない」という社会を支配する「模倣の法則」

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「大人に夢がないから、若者に夢がない」という社会を支配する「模倣の法則」

 

タルドの「模倣の法則」とは

「近頃の若手社員は、覇気がない、夢がない。」
そう嘆く会社の幹部の方がいます。あたかも若手社員に責任があるかのような言葉です。しかし、若手社員に覇気がない、夢がないのは、幹部や先輩社員に覇気がなく夢がないからかです。覇気や夢がなくても、出世する人がいるからかも知れません。
なぜなら、若手社員達は、「人は模倣することで、自分を形成し、社会を作っているから」と考える「模倣の法則」に従っているからです。
「模倣の法則」を提唱したのは、フランスの社会学者ガブリエル・タルドです。彼が、その著書「模倣の法則」を発表したのは、100年以上前の1890年です。しかし、その内容は、現代でも通用するもので、社会学の古典になっています。
子供は、親や先生を模倣して成長します。人々は、マスメディアに出ている人やモノに憧れます。衝撃的な犯罪がおきると、それを模倣した犯罪がおきます。社会全体に模倣のネットワークがあり、社会自体も形成されていると考えることができます。
タルドは、社会を形成する「模倣」の進み方は、2つの特徴があると言いました。
1)内側から外側への進行
2)上層か下層への進行
前者は、人は他者の意見や信念など内面をまず模倣するということです。後者は、子供が親のしぐさをマネするようなことです。
「模倣の法則」で人の行動や社会現象のすべてを説明することは不可能です。しかし、「模倣」というキーワードで、社会や会社などの組織を観察すると、そこで起きている問題の陰にかくれている課題を見つけるヒントを見いだせるかも知れません。
この記事は、ガブリエル・タルド著書「模倣の法則」を参考に考えていきます。


模倣の法則 新装版

 

内側から外側への模倣の進行

「模倣は、最初に内面的なもの、つまり他者の意見や価値観、信念などから始まる」とタルドは、述べています。その後、外面的なもの、つまり他者の行動や習慣、文化的な様式などを模倣していくとしています。
人間が他者の行動を模倣するパターンは、他者の内面的なものを理解し、受け入れることからはじまり、内面的なものが共有されることで、外面的なものも自然と模倣されていくというわけです。
宗教、政治観、道徳観といった信念や価値観を始め、「何かが欲しい」という欲求も、模倣から生まれます。人の「冒険心」「夢」なども「模倣」から生まれています。よく子供や若者に
「あなたの『好きな職業』になりなさい」
「あなたの『やりたいこと』をすればいい」
と親や教育者達が言うことがあります。しかし、「好きな職業」「やりたいこと」も、他人の「模倣」から生まれると考えられます。模倣する対象は、実際に接することのできる人だけでなく、本や映画、アニメなどの登場人物のこともあります。
内面的なものが「模倣」によって共有されると、行動も「模倣」するようになります。大阪道頓堀のグリコの看板下、通称「グリ下」に集まる若者達は、何の繋がりのない他人です。ところが、彼ら(彼女ら)は、
「互いに気持ちがわかる」
と言います。互いに気持ちがわるのではなく、互いの気持ちを「模倣」していると考えることもできます。そこから、服装や言葉、行動の「模倣」が始まっていくことが見てとれます。
私は、教育の最も大事なことは、人が「模倣する」様々なモデルを提供することだと考えています。「三つ子の魂百まで」という諺がありますが、3歳の頃「模倣」によって得たものが、その後の人生を支配することを言っているように感じます。

 

上層から下層への模倣の進行

都会に住む裕福な人々、セレブリティといわれる有名人達が持つ生活様式や行動パターン、流行などを、一般の人々が模倣しがちです。例えば、上層の人々が贅沢な生活をしている様子が報道されると、一般大衆も同様の生活を模倣するといったことです。また、上層の人々が身に着けるファッションやアクセサリー、食生活なども下層の人々に模倣されることがあります。
現代は、マスコミやSNSの影響が絶大で、有名人や話題の人の「行動」「ファッション」などの情報が拡散し、人々は容易に「模倣」できるようになっています。
会社などの組織においても、その会社の上層部の考え方や行動パターンを知らず知らずに部下達が「模倣」しているという状況が生まれます。やがて、それが「社風」と言われるような、習慣としての固定化が見られます。
注意が必要なのは、上層の人々の生活様式や行動を下層の人々が模倣することで、階層構想が強化されることがあるということです。それは、下層の人々の模倣が、必ずしも完全でなく、自分達の解釈や変化を加えた形で行われるからです。先行する企業が、富裕層向けに始めたサービスが、形を変えて広がり固定化されていく現象などです。「プチ○○」といった商品が広まったり、「○○の小京都」が各地に生まれたりする現象はこの例です。
これらの「模倣」の進行パターンは、商売において何がしかのヒントを教えてくれているようです。

 

まとめ

タルドが提唱した「模倣の法則」とは、「人は模倣することで、自分を形成し、社会を作っている」ということ。
社会を形成する「模倣」の進み方は、2つの特徴があります。
1)内側から外側への進行
2)上層か下層への進行
前者は、人は他者の意見や信念など内面をまず模倣するということ。後者は、子供が親のしぐさをマネするようなことです。
これらは、社会や会社などの組織を理解するうえで、大きなヒントになります。

参考記事:「同調圧力」がつくる、日本にあるある「世間のルール」の特徴と対処法

近年増加する第3の労働、「感情労働」のメリットとデメリット

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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