「話が面白い人」が持っている笑いやユーモアのコツを3つ紹介
「話が面白い人」が持っている笑いやユーモアのコツ
「面白い話」をするのにセンスは不要
「面白い話ができない」
「気の利いた受け応えができない」
会話に関してこんな悩みを持っている人が結構います。テレビには、毎日芸人が出演し、お笑いを競っています。「話が面白い人」は、仕事場でも家庭でも、人間関係を良くし、商売においても優位です。異性からも好かれるタイプになる傾向があります。
明石家さんまや上沼恵美子のような面白い話やスティーブ・ジョブスのように人を引き付けるプレゼンが出来たらいいなと思います。彼ら(彼女)らのようにはいかなくても、せめてそこそこに面白い話、ユーモアのある話ができないものかと思います。
放送作家の渡辺龍太氏は、その著書「ウケる人、スベる人の話し方」(PHP研究所)の中で、
「ある程度「面白い話」なら、練習すれば誰でもできることに気付いた。」
と述べています。アメリカでは、「インプロ」と呼ばれる即興劇の手法が、会話手法として取り入れられていることを知りトレーニングを受けたことがきっかけであると書いています。
インプロとは「improvisation(インプロビゼーション)」の略です。日本語では、「即興で何かをする」というような意味になります。音楽やダンス、演劇など芸術の世界では、その場で思いついたままに創作を行う表現手法を「インプロ」と呼びます。
演劇の世界では、俳優のために考案された「インプロ」と呼ばれるトレーニング方法があります。これは簡単なゲームや即興での演技などを通して、チームワークや表現力を伸ばすためのもので、最近は日本にも教室があるようです。
海外には、ボケとツッコミで掛け合いをする漫才はありませんが、お客とやり取りをするコメディアンがいます。お客にツッコませ自分がボケるといったスタイルは大きな笑いを取っています。
「話が面白い人」は、いくつかのコツを押させています。そのうち、以下の3つご紹介します。
1)会話の「場」の観察
2)笑いは、上下関係ではなく対等関係から生まれる
3)相手の想像を裏切る話は、面白い
話の面白さには、内容もありますが、話の構成や話し方も重要な役目をはたしています。「面白い話をするセンスがある」とは、これらのコツを心得ているかどうかです。
この記事は、自分の体験と放送作家渡辺龍太氏の著書を参考にして書いています。
会話の「場」の観察
いつも顔を合わせている職場や友人と会話をしていると、勝手に、相手も自分と近い関心事や価値観、知識を持っていると思い込み、話をしてしまうことがあります。相手も、話されたことが、多少わからなくても会話を止めることはありません。しかし、関心事や価値観、知識は本来、人それぞれ異なります。そこに気付かず話を進めてしまうと、どんどん話がズレていき、相手に「話が面白くない」「盛り上がらない」などといった印象を与えます。
面白い話をしたければ、会話の「場」をよく観察することです。そこにいる人達の会話、リアクションから価値観を知り、自分の捉え方を想像していきます。
その想像に乗って話をすれば、言いたいこともスムーズに伝わりますし、裏切れば笑いやショックを与えることができます。
ある年配の方が、女性に対して
「松坂慶子みたいですね」
と言って失敗してしまいました。その方は、「松坂慶子似の美人」と言いたかったのですが、相手の受取り方は正反対でした。年配の人なら、松坂慶子というと「美人」のイメージがあるでしょうが、たまたま相手の方は、松坂慶子の演じる「気の強いおばさん」や「おばあさん」のイメージが浮んだようで、ちょっと嫌な顔をされたとか。
ところが、この話を聞いた職場のある女性が、
「私、松坂慶子のイメージでいきます」
と言いだしました。周囲からは、
「何歳の時の松坂慶子なんだい?」
などと、ツッコミどころ満載で、結構ウケています。
笑いは、上下ではなく対等な関係から生まれる
笑いが起きる場面の一つに、上司が部下をイジったり、反対に部下が上司に批判をぶつけて生まれているようなケースがあります。しかし、良く観察すると、一方的に上司が部下にツッコんでいるわけでも、部下が上司に反撃しているわけでもありません。もし、そうであれば、笑いは生まれず、いきなりパワハラとなります。
部下の失敗についてイジっていながら、
「内緒だが、俺はもっとひどい失敗をして、今も常務に頭が上がらないんだ」
といった自分を相手のポジションまで下げると微笑ましく感じます。
部下が、上司に
「ハゲ!」
と言って周囲がドキッとした瞬間、部下に向かって
「何をいうか、この白髪頭!」
と反撃したのを聞いたことがあります。これだけ、露骨に相手の欠点を言ったあと、意外に双方スッキリした顔をしています。こんな時、上司が
「部下のくせに、何を言うか・・・」
と「部下」という言葉をいれて反撃したら、本当に喧嘩になるかも知れません。
ユーモアとか笑いとかは、対等な関係の時に生まれます。そのためには、目上にあたる人が、相手のポジションに下がった受け答えが大切です。目下の人が、上司にツッコみをいれるには、同等のポジションになる点をつくことです。
相手の想像を裏切る話は面白い
携帯電話が普及し出したこと、着信音として音楽を入れることが流行りました。ところが、緊張した会議の場面で、突然歌謡曲が着信音として鳴り、笑いを誘うことが続出しました。当時、吉本新喜劇で葬式の場面に突拍子もない着メロが鳴るのは、定番のお笑いにもなっていました。
緊張する場面で、それを緩和する発言や何かが起きると、微笑ましく感じたり、ときには笑いが起きたりします。
一部の隙もないような美人が、トンチンカンなことを話すと「天然」などと言われて微笑ましい印象を与えます。相手の想像を裏切った話や行動も同様です。
緊張と緩和、相手の予想を外す言動といった、二つのことの「コントラスト」で面白くさせる話は他にもあります。自慢しながらの自虐ネタ。権威を見せて失墜させる。相手の思い込みを利用して裏切る話等々です。
もう一つ、想像を裏切る手法があります。それが、「間」です。
例えば、米国のコメディアンが機関銃のごとくしゃべりまくっていたのに、当然黙ってあたりを見渡す。すると、観客はコメディアンがマズイことをしゃべって口を噤んでしまったと想像したりします。この沈黙、つまり「間」の間に笑いが醸造され、次の一言が出る瞬間に笑いが爆発します。うまいコメディアンは、この「間」の取り方が絶妙です。漫才のツッコミも「間」の取り方で、観客のウケが変わります。話がスベってしまったときも、慌てず「間」を取って、話を変えてフォローすることもできます。「間」を取ることで、ウケるつもりで話したことが、スベって後悔していることが相手に伝わり、これがきっかけでリカバリーできます。
「間抜け」と言う言葉があります。この言葉は、「何か抜けがあること」を意味したことからできた言葉のようです。逆にいえば、「間」をとるとは、「抜け」があることを想像させ、面白くなるのかも知れません。
野球のピッチャーが投げる変化球は、左右上下に変化するだけではありません。緩急が使えるかどうかが、一流の証だと故野村監督がインタビューで話をしていたことを覚えています。球の緩急こそ会話の「間」かも知れません。
間の取れる人 間抜けな人 人づき合いが楽になる (祥伝社新書)
まとめ
「話が面白い人」は、いくつかのコツを押させています。それは、
1)会話の「場」の観察
2)笑いは、上下関係ではなく対等関係から生まれる
3)相手の想像を裏切る話は、面白い
といったことです。話の面白さには、内容もありますが、話の構成や話し方も重要な役目をはたしています。「面白い話をするセンスがある」とは、これらのコツを心得ているかどうかです。
参考記事:「説明が下手な人」の特徴は、相手の立場・気持ちになっていないこと