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反省を活かす「フィードバック分析」を有効に使う3つのステップ

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

反省を活かす「フィードバック分析」を有効に使う3つのステップ

 

「フィードバック分析」を有効に使う3つのステップ

「上司との個人面談で、昨年度の実績を報告する」
「決算発表で、会社の業績を公表する」
こんな風に個人や組織として、定期的に実績の報告が求められます。その上で、次の目標や行動計画を作ることになります。
このように「過去の行動を振り返り、修正を加えて次の行動を取ること」が、広く行われています。これは、「フィードバック」と呼ばれる手法です。工学の「フィードバック制御」では、制御結果を測定して、制御目標と実績の差を制御に修正を加えます。例えば、室温を25℃にすべく冷房を働かせ、その後28℃なら冷房の出力を上げる、22℃なら出力を下げるといった具合です。

P・ドラッカーは、この考え方を系統立てて個人や組織に当てはめたのが、「フィードバック分析」です。フィードバックは、PDCAサイクルのC(チェック)とA(アクション)と考えることもできますが、P・ドラッカーは、個人や組織の「強み」にスポットを当てています。
PDCAサイクルにおけるチェックのとき、計画(目標)と実績の差(ギャップ)を確認します。このとき、ギャップを見いだすことは容易でも、「どんなアクションをするか」を見つけることは、実践してみると意外に難しいことだとわかります。例えば、営業担当者が、自分の売上目標を決めて、チェックしたら実績がたりない。「では、どうするのか」というアクションになると、「買わない客に売り込むか」「買ってくれている客にもっと売るか」「売上目標を下げるか」など、様々なアクションの可能性があり「何がいいのか」迷います。
P・ドラッカーは、「買ってくれている客にもっと売れ」「買ってくれる客と同じような客を探せ」といった「強み」を活かすアクションを提唱しています。ビジネスでは、「強み」(得意)を活かさないと、成果を上げることができないといいます。
個人や組織が、何かで成果を上げようとするとき、「過去の行動を振り返り、修正を加えて次の行動を取る」というフィードバックが有効です。この「フィードバック分析」を有効に使うには、3つのステップがあります。
1)仕事を振り返る
2)「強み」を理解する
3)「改善」する
これらのステップをルーチン化し繰り返し行うことで、より確実に実績を上げることが期待できます。
この記事では、P・ドラッカーの考えを基に個人や組織の成果向上に有効なプロセスを考えます。

仕事を振り返る

一定期間ごとに、自分の仕事、やってきたことを振り返ることが重要です。振り返りのポイントは3つあります。
1)優れたことは何か。
2)一生懸命にやったことは何か。
3)失敗したこと、不十分な出来だったことは何か。
これらを始めに目指していたこと(目標)と比較することです。PDCAのサイクルのチェック(C)にあたります。注意すべきは、チェックというと仕事や行動の結果だけを評価してしまうことです。勿論、「優れたこと」には、結果も含まれていますが、同時にプロセスとして、「一生懸命」になったこと、「失敗」を振り返ります。すると、自分の「強み」や「弱み」が、見えてきます。
また、「予期せぬこと」(想定外)で、うまく行ったり、失敗したりしていることもあります。これらは、計画段階での前提が変わったということです。前提が変わったことを踏まえ、「強み」「弱み」を抽出していくことです。

「強み」を理解する

仕事などしたことを振り返り、次の行動に活かすには、自分や会社の「強み」を理解する必要があります。「強み」を伸ばすことが成果に繋がります。
ところで、改めて
「なぜ、強みを見つけ、伸ばさなければいけないのか?」
ということを考えてみます。よく、「ビジネスにおいて、成功するためには、強みを活かすこと」と言われますが、学生時代に受験勉強をしてきたせいか、とかく「弱点克服」を優先することになりがちです。自分の出来ないこと、自社が他社と比較して劣っていることが気になり、これを克服したいと考えてしまいがちです。しかし、「弱点克服」に力を入れるのは、受験勉強の場合に有効であって、ビジネスをする上では「強み」を伸ばす方が有効です。
例えば、3科目の合計点で合否が決まる入学試験があるとします。2科目も得意でも、あと1科目は不得意なとき、どうしますか。受験の指導なら、不得意科目を集中して勉強することを勧めます。なぜなら、得意科目をいくら勉強しても満点以上は取れません。ところが、不得意科目の伸び代は大きく、総点数が稼げるからです。更に100点満点で、80点を20点引き上げるより、30点を20点引き上げて50点にする方が、効率がいいからです。受験勉強の「弱点克服」は、理にかなっています。
ところが、ビジネスにおいては、これは通用しません。なぜなら、科目数が無限といっていいほどあるからです。どんな人もいくつかのことを除けば、全て不得意科目です。どんな人にとってもビジネスの世界全体を中では、「弱点」科目ばかりです。P・ドラッカーは、
「何事を成し遂げられるのは、強みによってのみである。弱みによって何かを行うことはできない」
と著書「明日を支配するもの」で述べています。ビジネスなど社会における成果は、「強み」を見つけ、伸ばすことで得られるものです。


明日を支配するもの――21世紀のマネジメント革命

「改善」する

一定期間ごとに、それまでの仕事や行動を振り返り、計画(目標)と実績のギャップを確認したら、そのギャップを埋める行動をする必要があります。PDCAサイクルのアクション(A)です。この時、大切なのは、ギャップを埋めるアクションは、自分や組織の「強み」を活かして「改善策」を考えることです。このとき、3つのポイントがあります。
1)集中すべきことは何か:
優れたこと、うまく行ったことを更に伸ばすには、どうしたら良いかということです。例えば、「強み」に使う時間やお金を増やすといったことです。
2)改善すべきことは何か:
「強み」を発揮するのに、障害となることを改善することです。例えば、「強み」以外の仕事を他の人に渡すといったことです。
3)勉強すべきことは何か:
「強み」を更に強くするために学習すべきことは何か、ということです。
これらの「改善」を行う上で、必要により新たな目標を立てることが重要です。特に、「予期せぬ」失敗や成功があった時は、取り巻く環境が変わっていますので、目標の再設定が必須です。

まとめ

個人や組織が、何かで成果を上げようとするとき、「過去の行動を振り返り、修正を加えて次の行動を取る」というフィードバックが有効です。この「フィードバック分析」を有効に使うには、3つのステップがあります。
1)仕事を振り返る
2)「強み」を理解する
3)「改善」する
これらのステップをルーチン化し繰り返し行うことで、より確実に実績を上げることが期待できます。

参考記事:生産性を下げる3つの口癖「忙しい」「疲れた」「大変だ」は要注意

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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