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組織は、タコツボ化するもの。怖いのは、リーダーの「タコツボ化思考」

 
タコツボ化を心配する人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

組織は、タコツボ化するもの。怖いのは、リーダーの「タコツボ化思考」

 

組織がタコツボ化する理由とタコツボ化思考

「自部署の利益のことしか考えない」
「うまく行かないことは、他チームの責任と考える」
大きな組織で仕事をしていると、こんな考え方をする人が出てきます。「タコツボ化」とか「セクショナリズム」と言われるような現象です。
「タコツボ化」とは自分の殻に閉じこもって、他の人や部門の人に関心がなくなってしまうことです。タコツボ化は、自分や自分の属する組織以外に関心がなくなり、部門間の情報共有が滞ったり、酷い場合には業務妨害などにまで発展することもあり、組織の生産性が低下すると言われています。タコツボ化は、一般にネガティブな現象として捉えられています。
しかし、そもそも組織を作るのは、各部署を専門化して、効率を上げるためです。自部署(自チーム)のことを中心に考えるのは当然であり、与えられた職責を果たすことが求められます。
「余計なことを考えずに、与えられた任務を完璧にこなすこと」
前線にいる兵士や社員に求められるのは、この点です。組織が、組織として機能するには、まずこれが出来なければなりません。目の前の業務をいかに効率よくこなすことが、重要であり、ある意味タコツボ化を完璧にやることが求められています。

ところが、リーダーの立場に立つ人は、これと全く違います。部分最適が、必ずしも全体最適にならないからです。自チームのことだけ考え、限られた資源(人材や資金)の奪い合い、互いの足の引張合いまでいくと悪名高い「タコツボ化」そのものです。
タコツボ化の問題は、リーダー層の問題です。係長・課長、部長、担当役員など、各階層のリーダーがタコツボ化した思考をすることが、組織全体に大きなダメージを与えます。私は、これを「タコツボ化思考」と呼んでいます。
このタコツボ化思考に陥るのには、3つの理由があります。
1)タコツボ化すると組織管理が容易
2)責任の回避・最小化意識
3)思考の固定化
一旦チームリーダーがタコツボ化思考を始めると、その影響は他のチームに及び、周りもタコツボ化の傾向を強め、負のスパイラルに陥ります。
「そっちかそう考えるなら、こちらはこう対抗する」
といった具合です。リーダーのタコツボ化思考を阻止するには、リーダーの自覚が大切です。


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タコツボ化すると組織管理が容易

リーダーが、自チームをタコツボ化するのは、そこにメリットがあるからです。メリットとは、次のようなことです。
1)組織を管理することが容易になること。
2)外部から邪魔されず自分の仕事に集中できる。チーム員、リーダー自信が、安心感を得られる。
もし、各チームに分配される経営資源(ヒト・モノ・カネ)が、理想的であり経営計画が適切ならタコツボ化して、与えられた仕事に集中すれば効率が上がります。
リーダーが目標を掲げ、チーム員が余計なことを考えず、ひたすら業務を遂行する。かつての日本企業は、こんな「タコツボ化のメリット」を最大限に生かして成果を上げてきたのかも知れません。
しかし、タコツボ化の居心地の良さに浸っている内に順調な「右肩上がりの時代」が終わりました。社会、経済、技術、何もかもが大きく速く変化する時代となりました。居心地のいいタコツボにこもっているうちに、壺が内海から太平洋に移動してしまったようなものです。益々、タコツボに引きこもるか、タコツボから出るかの判断をリーダーに求められているのです。
また、タコツボ化は、組織の各部門が、プロフェッショナルとして専門性を高めた結果とも言えます。各個人、部門が専門性を高めることは、悪いことではないはずです。しかし、それが行き過ぎると、自らの職務に専念するあまり、自分の職務以外のものに関心を持たず、専門外の仕事は避けようとする状態、「悪しきタコツボ化」に陥ってしまうのです。

責任の回避・最小化意識

リーダーが、タコツボ化を容認するのは、責任を回避もしくは最小化しようとする意識が働いていることも理由の一つです。
例えば、
「赤字なのは、営業部門が安直に値引きをするから。製造部門の責任ではない」
「商品に魅力がないから、営業しても売れない。売上が悪いのは、開発部の責任だ」
などと、自分の部署を守るため、他部署に責任を押し付けるようなことです。
これは、会社の役員クラスのリーダーでもタコツボ化が起きます。例えば、業績が悪い会社において、業績が好調な部門は、
「全社が赤字でも、自部門は黒字。会社の赤字の責任は、他部門の責任」
などと考えがちになります。
実際、私は自分の事業部門だけが、黒字という経験があります。当時の気持ちを正直に言えば、自部門でしていることが正しく、他部門は「バカの集団」にさえ思えていました。役員会で社長から会社の赤字問題をどうするかという議論を仕掛けられても、他部門の問題と思っていますので、本気で議論しようと思いません。関わりたくないというのが本音です。むしろ、役員でありながら
「会社の赤字は、自部門の責任ではない」
との意識が強く、自分が関わって経営を改善するといった発想が希薄でした。
他社の役員会の話を聞いても、会社の役員でありながら、担当部門以外の議論には関わろうとしない方が多いのが、日本の役員会の実態のようです。(偏見があるかも知れませんがご容赦ください)
一方、業績が良くなると、自部門のしていることをオープンにしたくなります。他部門の成功は、自部門のお陰とばかりの言い方をする者もでてきます。会社や組織が落ち目になった時こそ、タコツボ化からの脱出が必要なのですが、実際は逆のケースが多いようです。

思考の固定化

リーダーの考えるベースが、自組織に有利なこと、組織を守るといった考え方を優先し、固定化するとタコツボ化が進みます。思考が固定化し、タコツボ化していく中で、自分のチームだけに通用する「常識」が生まれます。そして、その「常識」に沿った思考をする傾向が強くなります。例えば、
「失敗が続いても発想が変わらない」
「過去の成功方法から離れられない」
などです。更に、タコツボ化の居心地の良さに慣れて、新たな知識やチャレンジを避けるようになり、新しいアイデアや新規事業なども生まれにくくなります。
タコツボ化がとても怖いのは、組織を守ることが優先するような思考になることです。よく、中央官庁に対して、
「国民を守るのではなく、省の利益を守っているのでは?」
と批判されるのは、ご承知の通りです。
時には、組織を守るためにミスや不正を隠蔽するようなことさえ起きます。度々、明らかになる企業の不祥事は、タコツボ化した思考の中で生まれた事象と言えます。

まとめ

「タコツボ化」とは自分の殻に閉じこもって、他の人や部門の人に関心がなくなってしまうこと。特にリーダーがタコツボ化した思考のなると、部分最適だけ考えて、全体最適から離れていくなどの問題が生まれます。
リーダーが、タコツボ化思考に陥るのには、3つの理由があります。
1)タコツボ化すると組織管理が容易
2)責任の回避・最小化意識
3)思考の固定化
一旦チームリーダーがタコツボ化思考を始めると、その影響は他のチームに及び、周りもタコツボ化の傾向を強め、負のスパイラルに陥ります。

参考記事:会社の「改革」を進める3つのポイントは、「危機意識」「短期成果」「企業文化」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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