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リーダーの傾聴力とは、部下に「共感」して「気持ち」をスッキリさせる力

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

リーダーの傾聴力とは、部下に「共感」して「気持ち」をスッキリさせる力

 

リーダーが部下から話を聴くときのコツ

「人の話を聴くことが大切」
これは、リーダーが心掛けるべきことと言われます。どこかの国の首相も
「自分は、人の話を聴くのが得意」
と言っています。ところが、実際に部下から話を聴くのは大変です。リーダーが、会議や部下との面談の場面で、沈黙に耐えかねて一方的に話をしたり、高圧的な質問を浴びせたりしがちです。
ところで、日本語の「きく」には「聞く」「訊く」「聴く」の3つがあります。
①「聞く」 音や声が受動的に入ってくること
②「訊く」 質問など能動的に尋ねること
③「聴く」 耳を傾け、相手に寄り添い理解しようとすること
リーダーが部下から「きく」のは、「聴く」ことです。この能力を傾聴力と言います。話し方やプレゼンのし方は、研修等のプログラムが豊富にあります。一方、聴く方の研修は、ほとんどありません。聴くことにも、技術があります。ところが、
「聴くことは我慢」
「聴くことは修行である」
と思っている人が多いようです。米国の心理学者カール・ロジャーズなどが、傾聴について体系的にまとめたテクニックがあります。この中で、リーダーが部下から話を聴くときは、以下2つをコツとして実践すれば十分です。
1)相手に「共感」する
2)相手の「気持ち」をスッキリさせる
「共感」することで傾聴力は格段に上がります。相手の「気持ち」をスッキリさせることで、部下の抱えている問題のスッキリした「解決」ができます。
会話は、聴くことと話すことで構成されています。これが、7:3の時が好ましいと言われます。(日本聴き方協会記事)
ただし、「我慢強く」7割の時間を聴いているのではなく、相手に「共感」し、相手の「気持ち」をスッキリさせることを心掛けることで、本当に聴き上手になれます。聴き上手であること(傾聴力が高いこと)は、リーダーと部下の関係を良好にするだけでなく、営業等のビジネスにおいても大きな武器となります。


その聴き方では、部下は動きません。

相手に「共感」するとは

「ロジャーズの三原則」と言われる、アメリカの心理学者カール・ロジャーズが、会話を傾聴するうえで必要と説いた3つの要素が知られます。
原則1:共感的理解(empathic understanding):
相手の立場になって会話を聞く態度
原則2:無条件の肯定的関心(unconditional positive regard):
会話の内容について評価せず、常に肯定的な関心を示しながら言葉を聞く態度
原則3:自己一致(congruence):
相手の意図と自分自身の理解を一致させ、言葉の奥にある真意を把握する態度

この中で、リーダーと部下の関係においては、共感的理解ができることだけでも十分役に立ちます。ただし、「共感」と似た言葉である「同感」に注意が必要です。違いを理解して使い分けることが大切です。
「同感」とは、相手の考え方に対して賛成や反対の感覚です。同感の主語は「私」
です。一方、
「共感」とは、相手の考え方に対して理解する感覚であり、主語は「相手」です。
例えば、相手が
「私は、阪神タイガースのファンです」
と言ったとき
「同感!」
と言えば、あなたは阪神ファンのはずです。
「共感します!」
と言えば、あなたは阪神ファンでなくても構いません。野球ファンの気持ち、地元愛を「理解」していることを「共感」という言葉が示しています。
「同感」は主観的、「共感」は客観的ともいえます。相手の考え方、感情に「共感」することが大切です。相手が、
「なぜ、そのように考えるのだろうか?」
「なぜ、そんな行動をしたのか?」
こう考えながら聴くのが、「共感」です。人は、「共感」ではなく「同感」を求める傾向が強いようです。最近のSNSでの「炎上」を見ていると、自分と同じ考えや感じ方でなければ許せないと言っているも同然です。どうも最近は、「同感」を求める社会的風潮が強いようで要注意です。

リーダーと部下が話すとき、むやみに「同感」しては困ります。リーダーは、少なくとも部下の問題を解決する立場にあるからです。部下に「共感」することで、問題の本質を客観的に見つけることが重要です。

 

相手の「気持ち」をスッキリさせることが解決

ほとんどの問題は、「事柄」と「気持ち」から成り立っています。部下が不満を抱くとき、「事柄」と「気持ち」がセットであり、スッキリするには「気持ち」のウエートの方が高いものです。
例えばあなたが、通販で買った服の縫製が悪く販売元にクレームをしたとします。「事柄」としては、返品して代金を返してもらうか良品と交換することで解決します。ところが、「気持ち」としての解決は別です。販売会社の対応が悪いと、たとえ「事柄」の解決がなされても「気持ち」は、スッキリしないものです。逆に代替え品が遅れても、販売会社が素早く丁寧に対応してくれれば、買い手の「気持ち」は収まり、スッキリ「解決」します。

リーダーが部下の持つ不満や仕事上の問題を解決しようと会話をするとき、部下の「気持ち」をスッキリさせないと「解決」には至りません。部下の抱えている問題は、「事柄」と「気持ち」です。「事柄」の方は、リーダーの知識と経験で解決できます。ところが、部下のモヤモヤした「気持ち」の方は、傾聴しないとわかりません。「共感」の立場でモヤモヤした「気持ち」の原因を見つけ出し、それに対応策を示します。
そして、部下が「気持ち」も含めて、抱えている問題を解決できたか、確認します。
「あなたの不満は、こんなところからきているの?」
こう問いかけて、ハッキリ
「そうです」もしくは「違います」
と言ってくれたら、部下はスッキリしています。もしも
「たぶんそういうことかも知れません」
といったモヤモヤがまだあるなら、「まだ気持ちが、引っかかっている部分」を探すためにさらに聴くことです。部下がモヤモヤした気分であることの中に、問題の本質が潜んでいます。もう一度「共感」をもって話を聴いてください。

まとめ

リーダーが部下と会話するときやビジネスをするめる上で傾聴力が重要です。リーダーが、話を聴く時には2つのコツがあります。
1)相手に「共感」する
2)相手の「気持ち」をスッキリさせる
「共感」することで傾聴力は格段に上がります。相手の「気持ち」をスッキリさせることで、部下の抱えている問題をスッキリした「解決」ができます。

参考記事:「やる気のない部下」とコミュニケーションをする時の3つのポイント

実際に改善提案を激増させた4つのポイントと職場観察の着眼点

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