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「仕事が出来る人」に共通する特徴「行動の速さ」は、仮説思考から生まれる

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「仕事が出来る人」に共通する特徴「行動の速さ」は、仮説思考から生まれる

 

「仕事が出来る人」に共通する特徴「行動の速さ」と仮説思考

「仕事の能率がいい」
「上司の信頼が厚い」
「仕事とプライベートの区別がハッキリしている」
これらは、「仕事が出来る人」と言われる人が持っている特徴として挙げられます。また、実際に「営業成績がいい」、「業務で結果を出している」ということ以上に、「すぐ行動する」「ことが起きる前に先手を打っている」などといったことが、「仕事が出来る人」との印象を強めます。
「仕事が出来る人」には、いろいろな特徴や個性がありますが、共通して「行動が速い」ということがあげられます。限られた時間で、相手への対応や問題解決を求められるときの「決断の速さ」「行動の速さ」が、「仕事ができる人」の最大の特徴です。
「仕事が出来る人」が、仕事に限らず様々な場面で「決断が速い」「行動が速い」のは、論理的というより「直観的」に判断や行動をしているように見えます。
「仕事が出来る人」が、直観的に判断や行動をしているのは、本人が無意識で「仮説思考」を行っていることが多いようです。ただし、「仕事が出来る人」の仮説思考は、「たぶんこうなる」「こうするのがいいだろう」といった、単にもっともらしい結論を仮定して行動しているわけではありません。仮説による決断や行動について「正しいか」「他の可能性はないか」などと考えています。実際に行動してみて、仮説を修正し行動を変えることもあります。
仮説思考は、「行動を速くする」という大きなメリットがありますが、一方で速さを求めて「仮の結論が間違っている」「他の可能性を見落とす」といったデメリットがあります。「もっといい方法があったかもしれない」という精神的不安が付きまといます。
「仕事が出来る人」と言われる人の多くは、仮説思考によるリスクを「仮説立案→検証→学習」というサイクルを回すことで軽減しています。あるいは、当初の仮説を強化しています。「仮説検証学習サイクル」を回すことで、仮説思考のメリットであるスピードを活かしつつ、デメリットを防いでいます。
思考過程を他人が知ることは、できません。特に瞬時の判断や行動は、本人さえもその理由が明確でないこともあります。しかし、瞬時の判断や行動の後で、学びを得て次の行動に活かしていることを本人から聞くことができます。成功した経営者や優れたスポーツ選手のエピソードには、本人の言う「とりあえずやったこと」の後に、成功のために「どう考えたか」「どう行動したか」に興味を持ちます。そこには、必ずと言っていいほど「仮説検証学習サイクル」の存在を感じる話が含まれています。

仮説検証学習サイクルとは?

仮説思考では、仮説を十分に情報がない段階あるいは分析が済んでいない段階でもつ「仮の答え」「仮の結論」と定義します。内田和成著「仮説思考」(東洋経済新潮社)では、
「仮説思考とは、常に答えを持ちながら全体像を見据える習慣
と定義されています。「全体像を見据える習慣」とは、直観的な「仮の結論」に対して、同時に「それが正しいか」、「もし間違っていたらどうするか」などと考えることです。「仕事の出来る人」は、「仮の結論」を持っていても、「それが正しいか」、「他に手がないか」などの思考をしています。
この思考パターンの一つが、「仮説検証学習サイクル」です。これを図にしてみると以下のようになります。

仮説検証学習サイクル

Hypothesis measurement learning cycle

 

仮説を立てる(Build)、検証する(Measure)、学習する(Learn)ことを繰り返すことで、「仮の結論」が強化されたり、修正されたりします。また、このサイクルを回すことで、「考える」習慣ができます。学習したことが、「経験」として蓄積されます。


仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法 内田和成の思考

プロのスポーツ選手が実践する「仮説検証学習サイクル」の例

ゴルフは再現性のスポーツです。ツアーで活躍する選手は、300ヤード越えのショットや絶妙なアイアンショットを再現して見せます。ところが、
「プロであっても18ホールすべてで満足のいくショットなどできない」
と、丸山茂樹プロがテレビの番組で語っていました。不満足なショットをした後、次のショットでは微妙な修正をかけているとのこと。修正が的中し、満足なショットがでると以降その修正点に気を付けてプレーしている。もし、修正しても満足なショットがでなければ、異なる修正を試すとのこと。これは、プレー中に「仮説」と「検証」をしていることを示しています。
あるレッスンプロが教えてくれた一人練習の方法です。
まず球を打つ。満足な球が打てれば、問題なし。再現性を高めるために繰り返す。
もしも不満足な球、例えば、スライス(右に曲がる球筋)が出たら、その原因を考える。例えば、「構えたとき肩が左を向いていないか。」(仮説立案)。そして、これを修正意識して打つ(検証)。また、スライスがでたら、「自分のスライスは肩の向きではない」(学習)と結論づけます。そして、他のポイントを修正してみる。例えば、「クラブをゆっくり振り上げてトップの位置をとる」。これで、いい球がでたら、「自分のスライスは、ゆっくりクラブを振り上げると治る」と学習し記憶します。その後、実際にコースでプレー中にスライスが出たら、練習時に得た学習結果を思い出して修正できるとのこと。
「いいプレーヤーは、プレー中にミスしたとき、基本を思い出して修正する」
「もっといいプレーヤーは、ミスする前に基本をチェックする」
これは、加古川出身のレッスンプロ高松志門氏に直接練習場で聞いた話です。
野球においても完投型のピッチャーは同様な修正能力があるようです。初回、ストライクが入らない、決め球を思うように操れない。そんなとき数球で修正をかけて立ち直るのが一流投手です。長年ノンプロのエースをしていた投手が、
「投げてみて球が荒れるとき、自分の持っている修正パターンを試す」
と話をしていました。
「うまく修正が当たれば、立ち直れる」
とのこと。
「それが出来ないから、プロから声が掛からなかった」
とも言っていました。

まとめ

「仕事が出来る人」には、共通して「行動が速い」という特徴があります。この「速さ」を生み出すのが、「仮説思考」です。
仮説思考は、「行動を速くする」というメリット「仮の結論が間違っている」「他の可能性を見落とす」といったデメリットがあります。
仮説思考によるリスクを「仮説立案→検証→学習」というサイクルを回すことで軽減できます。あるいは、当初の仮説を強化できます。「仮説検証学習サイクル」を回すことで、仮説思考のメリットであるスピードを活かしつつ、デメリットを防ぐことができます。

参考記事:「仕事が出来る人」の特徴は、すぐ分かる、すぐ決める、すぐ行動する

個人の労働生産性とは?「できる人」とは?

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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