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誰しも持っている「認知の歪」と、ちょっと怪しい「ダニング=クルーガー効果」

 
老人の交通事故のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

誰しも持っている「認知の歪」と、ちょっと怪しい「ダニング=クルーガー効果」

 

誰しも持っている「認知の歪」

「自分は、大丈夫と思っていた」
水の事故、車の事故、山岳遭難に遭遇した人がよく語る言葉です。事故や遭難が起こりうることは、知っていても、「自分は泳ぎが得意」「自分の運転技術にミスはない」「山に登る体力は十分」といったように自分を過信していることが背景にあります。
「自分が、まさか新型コロナウィルスに感染するなんて思ってもいなかった」
新型コロナウィルスが流行し始めた頃の感染者の反応です。「自分は感染しない」と過信した結果、感染のリスクを低く見過ぎていたということでしょうか。
人は、世の中で起きていることや自分のことを正しく認識できにくいものです。過大に評価したり、過少評価したり、極端に喜んだり、失望したりします。物事を理性的に判断する前に感性で判断し、その判断が後々まで影響を及ぼすことがあります。
ある職場で、「マザコン」とレッテルを貼られてしまった若手社員が、長年そのイメージに苦しめられたことを実際に目にしました。
限られた情報から、自分のこと、他人のこと間違って認識してしまうことを心理学では「認知の歪」と呼んでいます。認知の歪は、自分の真実を見誤ることで、失敗を引き起こす可能性があります。例えば、受験やスポーツの試合では、自分のことを過大評価して、勉強やトレーニングを怠るといったことです。また、自分を過少評価して自信をなくし、実力を発揮できないといったことになります。
誰しも「認知の歪」があることを認識し、自分(自分の属する組織)に関する事実を客観的に見る努力を怠らないことです。
「敵を知り、己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」
とは、「孫子」の言葉ですが、敵や自国のことを知るのは、大変であるということです。
この記事では、自分を知ることを妨げている「認知の歪」とこれに関連して語られることの多い、自己認識の癖「ダニング=クルーガー効果」について考えてみます。

 

誰しも持っている「認知の歪」とは

受け取った情報を自分の思考のクセに従って解釈し、客観視したり他の人の意見を取り入れて修正したりすることが難しくなっている状態を心理学的には、「認知の歪」と呼びます。ちなみに心理学でいう「認知」とは、物事の受け止め方や捉え方、捉えた事象を解釈するプロセスの全体を示すものと定義されています。
「認知の歪」は、米国のアーロン・T・ベック(1921-2021)によって10パターンに分類されています。
1)全か無か思想:「全か無か思想」は、ものごとを白か黒かで考える極端な思考のこと。白黒思考とも呼ばれ、完全主義がベースになっている。
2)行き過ぎた一般化:一度起こった失敗や良くない出来事が、この先もずっと繰り返すように思い込んでしまうこと。
3)心のフィルター:ものごとのポジティブな面を意識できず、ネガティブな面ばかりに目がいってしまう状態。
4)マイナス思考:ものごとのポジティブな面を自らネガティブにすり替えてしまうこと何か良いことがあっても、「これはたまたまだ」「どうせ次はうまくいかない」と後ろ向きにとらえてしまう。
5)結論の飛躍:事実とは異なる悲観的な結論に飛躍してしまう思考。
6)拡大(過小)解釈:ものごとの悪い面を必要以上に過大にとらえ、良い面を実際より小さくとらえてしまうこと。
7)感情的決めつけ:気分の良し悪しによってものごとを判断したり、自分の感情が事実を裏付ける証拠であると考えてしまうこと。
8)すべき思考:「〜すべき」「〜をしなければならない」と考えてしまう思考パターン。
9)レッテル貼り:「一般化し過ぎ」を極端な形にしたもので、自分や他人の価値を、その人の性質や行動の一部分だけを見て決めつけようとする考え方。
10)誤った自己責任化(個人化):悪い出来事が起きたとき、自分に責任がなくても自分のせいにしてしまう考え方。
誰しも、大なり小なり持っている思考の偏りです。どの思考も極端になれば、弊害を生みますが、適度であれば「危険防止」になります。ネット上には、これらの診断プログラムが提供されおり、自分の思考傾向に「認知の歪」がないか確認できます。

ちょっと怪しい「ダニング=クルーガー効果」とは

自分に対する評価が、事実と乖離する「認知の歪」があります。自分の学力や運転技能を実際より優れていると思いこんでいるといったことです。
冒頭に挙げた
「自分の運転なら大丈夫」
と思い込んで事故を起こしたような例です。自分の実力を正確に把握することは、とても難しいことです。たとえ、受験生が模擬試験を受けて高い得点を取っても、偶然「知っていること」が出題されただけかもしれません。ゴルフで良いスコアを出しても、長いパットが入った、木に当たった球がセンターに出てきたなど、ラッキーなことが起こっただけかも知れません。
自己評価について、1999年米国コーネル大学のダニングとクルーガーによって提唱された「ダニング=クルーガー効果」呼ばれる現象があります。
(Justin Kruger and David Dunning :Unskilled and Unaware of It: How Difficulties in Recognizing One’s Own Incompetence Lead to Inflated Self-Assessments)多くの解説では、その特徴を
1)過大な自己評価:自分の能力や知識を実際よりも高く評価する。無知な人は無知を自覚してない
2)謙虚な人の方が、能力が高い:
3)初心者は、分かった気になる:
などと説明されています。そして、この効果は、特に初心者や未経験者によく見られる。それは、自分が無知なのかどうかを正しく判断するのが難しいため、自分が実際よりも優れていると誤解してしまう。しかし、経験が増えるにつれて、自分の無知を認識するようになり、謙虚になる傾向が見られると述べられています。
ダニング=クルーガー効果として述べられていることで、自己認知の困難さは同意できますが、一般論としての「謙虚な人の方が、能力が高い」「初心者は分かった気になる」といったことは、本当かといった気がします。参考までに、ダニングとクルーガーの論文では、コーネル大というアイビーリーグという比較的レベルの高い45人の学生を対象にした調査を基にしています。更に日本人に比べて自信家の多い米国人のデータです。それこそ、「行き過ぎた一般化」や「拡大解釈」といった「認知の歪」に陥っているかも知れません。
論文の著者もそう思っているふしがあって、結論(Conclusion)の一部を意訳すると、
「・・・この記事には、欠陥のあるロジック、メソッドの論理エラー、または不十分なコミュニケーションが含まれている可能性があります。 この記事に含まれる不完全さは、私たちが意図したものでないとお許しください。」
とあります。どうやら、ダニングとクルーガーも自信がないようです。参考までに、原文をそのまま転載します。

まとめ

限られた情報から、自分のこと、他人のこと間違って認識してしまうことを心理学では、「認知の歪」と呼んでいます。特に自分自身を評価するとき現れる特徴を「ダニング=クルーガー効果」としてネット記事などでは、述べられています。
「ダニング=クルーカー効果」の信憑性については、疑問が多くありますが、自分を正しく評価することの困難さは、疑う余地はありません。
「敵を知り、己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」
と孫子は述べていますが、敵や自国のことを正しく知ることはとても難しいと覚悟することです。

参考記事:「どうしようもないこと」で悩む人に選択理論心理学が教えること

「話が面白い人」が持っている笑いやユーモアのコツを3つ紹介

参考(ダニングとクルーガー論文の結論)

Conclusion:
we present this article as an exploration into why people tend to hold overly optimistic and miss calibrated views about themselves.
We propose that those with limited knowledge in a domain suffer a dual burden: Not only do they reach mistaken conclusions and make regrettable errors, but their incompetence robs them of the ability to realize it.Although we feel we have done a competent job in making a strong case for this analysis, studying it empirically, and drawing out relevant implications, our thesis leaves us with one haunting worry that we cannot vanquish.
That worry is that this article may contain faulty logic, method logical errors, or poor communication. Let us assure our readers that to the extent this article is imperfect, it is not a sin we have committed knowingly.

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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