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「頑張っているのに結果が出ない」部下に対してリーダーがすべきこと

2022/02/08
 
練習の結果が出ない選手のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「頑張っているのに結果が出ない」部下に対してリーダーがすべきこと

 

「頑張っているのに結果がでない」部下の仕事を良く観察すること

「頑張っているのに結果がでない」
こんな部下がいたらリーダーとしてどうしますか。もし自分が「頑張っているのに結果が出ない」と思っている部下ならば、どうしたらいいのでしょうか。
リーダーが「結果が出ていない部下」に向かって
「もっと頑張れ」
と繰り返しても効果がありません。本人は、「これまで頑張ってきた」と思っています。強く言えば言うほど、感情的に反発するか、萎縮してしまうかでしょう。
部下が「頑張っているのに結果が出ない」状況に陥っているとき、冷静に部下の仕事ぶりを観察することが大事です。実際の仕事ぶりを見ずに結果だけで判断し、励ましても効果がありません。
リーダーであれ部下であれ、本人の仕事の仕方、置かれている状況を見つめ「結果が出ない」理由を見つける努力が必要です。
「頑張っているのに結果が出ない」ときは、以下の3つを疑って部下の仕事を観察することです。
1)まだ結果が表に出ていないだけか?
2)やり方が間違っていないか?
3)前提条件が変わっていないか?
部下が「頑張っているのに結果が出ない」のは、本人に問題であると同時に、リーダーにも問題があると考えるべきでしょう。重要なのは、結果が出ない理由を一方的に部下の「努力不足」や「覚悟不足」にしてしまわないこと。リーダーが部下と一緒に「結果が出ない」理由を考えていく姿勢は、モチベーション維持の上でも重要です。

 

まだ結果が表に出ていない

努力したことが、すぐに結果として出ればいいのですが、普通はアクションを起こして、その結果が出るまでにはタイムラグがあります。スポーツの練習を思い起こしてください。技術的な練習にせよ、筋力アップの練習にしろ、結果が表れるには時間がかかります。また、いくら練習を積んでも、試合で結果を出せるようになるには、経験が必要です。
営業活動において、各種PR活動や顧客訪問をしても、商品はすぐに売れるものではありません。ネット販売であっても、サイトを認識してもらいアクセス数を稼ぐまでに時間がかかることを覚悟しておかなければなりません。ヒット商品といわれるものでも、始めからヒットしたものは少なく、意外に認知に時間がかかっているものです。マスコミなどでは、あたかも発売当初から売れていたよう伝えられますが、実はブームになるまで試行錯誤をしていたケースが多いようです。

リーダーは、結果が出ていない部下が、「あきらめてしまう」ことに注意が必要です。
「このまま続ければ、いずれ結果が出る!」
部下に対する信頼があれば、リーダーはこう言い続けることです。リーダーの一貫した部下への期待が、本人のモチベーションを維持します。モチベーションを維持するには、最終目標の他に途中経過ともいうべき中間目標(マイルストーン)を作るのも有効です。
最終目標を1年後の月間受注100件としたある新サービスの販売が伸びず、販売部員にあきらめムードが広がる中、中間目標として半年後に月間5件を設定したことがあります。
5件位なら何とかなるだろう」
とのムードが広がり、拡販活動を続けました。半年後7件、8か月後20件、1年後85件を達成していました。目標の100件には届きませんでしたが、時間とともに勢いが増し、いまでは一定の成果を上げ続けています。これは、HPを通しての販売例です。当初、1日のHPへのアクセス数は5件程度。ゼロの日も少なくありません。そのうちに10件になり、半年かけて20件です。この「結果が出ない」間も担当者は、ページの更新やSNSへの投稿を続けました。その後、アクセス数が100、200と加速度的に増える時期がきて、販売実績も増加していきました。
何か行動を始めたら、結果が表に出るようになるまで継続すること。行動から結果が出るまでの時間は、様々です。常に「今のやり方でいいのか」と問いかけ、「正しい」と確信が持てるなら、結果が出るまで続けることです。

 

やり方が間違っている

目標の達成に対して、「間違った努力」をいくらしてもムダです。リーダーも本人も「間違った努力」をしていることに気づかず、「頑張っているのに結果がでない」状況が続くことは不幸というしかありません。リーダーも部下も「まだ結果がでていないだけ」と考え、同じやり方と延々と続けている状況です。これは、リーダーが「結果」にだけ興味があり、部下が仕事に対して「どう頑張っているか」に興味がなく知らないために起こります。
業績の良くない職場の課長や係長に部下の仕事のことを聞いてみたことがあります。すると部下の仕事の内容を詳しく知る人は少数派でした。そもそも仕事を知らないのですから、部下が実際に「何をどう頑張っているか」など知らないのは当然でしょう。まず、部下がどんなやり方で仕事をしているのか、観察しヒヤリングしてみてください。漠然と
「事務処理をしている」
と見るのではなく、
「どこから、日に何枚の伝票がきて、何の為に、どんな処理をして、その後どうしているか」
そんなレベルまで見るのです。

ある「結果の出ない」営業部員A君の顧客訪問活動を調べてみました。訪問する顧客の選び方、訪問タイミングは、気まぐれとしか思えません。持っていくのは決まっていつもの商品カタログ。
「お客様に何を話したのか?」
と聞くと、カタログに沿った商品の説明だけとのこと。もし買う立場なら、
「わざわざ来なくてもカタログだけ送ってもらえればいい!」
と言いたくなります。
リーダーが部下の仕事のやり方を見るとき
「努力しても結果が出ない部下」と「結果を出している部下」とを比較することも有効です。「結果を出している」人は、単にベテランだから、人脈が多いからだけの理由で結果を出しているのではありません。その人なりの工夫があり、ノウハウがあるものですが、リーダーはそこまで知りません。リーダーは、「結果を出している人」のノウハウを探り、時には直接「結果を出せない部下」と会話をさせたり、一緒に仕事をさせたりすることが有効です。
「結果がでない技術営業マン」A君に客先で行うプレゼンの練習をしてもらいました。彼は、典型的な「頑張っているのに結果が出ない」タイプです。「結果が出ている」ベテラン社員の前で、プレゼンをしてみると、
「資料が面白くない!」
「スクリーンを見るな。前を見ろ!」
「もっと自信をもって説明しろ!」
こんなダメ出しの嵐。そのうちにベテラン社員が、
「『これは、○○社の社長が気にいって買った品です』と付け加えると相手の気持ちが動く!」
などと必殺の話題を提供してくれました。こんな特訓を続けているうちに、A君は半年ほどで、どうにか「結果が出る」社員に脱皮しています。

前提条件が変わっている

仕事を取り巻く環境は、常に変化しています。ゆっくり変化することもあれば、突然変わるものもあります。コロナ禍のようなことも起きます。これらは、目標設定したときの前提条件が変わっているのです。前提条件が変わっているのに、これまでと同じやり方でいくら「頑張っても」結果が出ません。
「人は、急に起きる変化を過大評価し、ゆっくり進む変化を過少評価する」
マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツがこんな趣旨のことを言っています。(参考記事:忘却係数と割引率の常に頭の片隅に急に起きる変化は、部下もリーダーも気づきます。しかし、ゆっくり変化するものは、それがたとえ世の中をひっくり返すような大きな変化でも見過ごされ易いものです。
リーダーは、部下から仕事を取り巻く環境や顧客の変化をヒヤリングしてください。結果が出ない原因について、「部下のせい」という先入観を捨てて、部下と前提条件を疑ってみることです。市場がなくなっているのに販売活動をするのは、魚のいないところで釣りをするようなものです。「部下の言い訳」「部下のグチ」を冷静に聞き、顧客の立場で考えて、自社を取り巻く環境に変化がないか探してみてください。もし何か変化を見つけたら、それに対応した行動に変えることが必要です。

ビル・ゲイツの生き方に感じるものごとの感じ方、考え方

まとめ

部下が「頑張っているのに結果が出ない」状況に陥っているとき、冷静に部下の仕事ぶりを観察し、以下の3つを疑ってみること。
1)まだ結果が表に出ていないだけか?
2)やり方が間違っていないか?
3)前提条件が変わっていないか?
部下が「頑張っているのに結果が出ない」のは、本人に問題であると同時に、リーダーにも問題があると考えるべきです。互いに「結果が出ない」理由を探ることで、状況を改善できることが期待できます。

参考記事:「やる気のない部下」とコミュニケーションをする時の3つのポイント

実際に改善提案を激増させた4つのポイントと職場観察の着眼点

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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