班長(=チームリーダー)が成果を上げる4つのマネジメントポイント
班長(=チームリーダー)が成果を上げる4つのマネジメントポイント
班長が成果を上げる4つのマネジメントポイント
「工場で班長になったけど、何をしたらいいの」
「班長は忙しいばっかりで、割りに合わない」
「自分の部下は、面倒な奴ばかり。班長なんて、やりたくない」
日本の生産現場をまとめるのが「班長」です。ところが、班長に求められる仕事が、曖昧であったり過大であったりで、冒頭のような悩みが生れます。
「班長」は、生産現場最前線のマネージャーです。数人から10人程の部下を任されています。生産現場でなくても、飲食店、事務職や営業などにおいて、「チームリーダー」と呼ばれる人も「班長」と同じで、最前線で働く人を統率するマネージャーです。(以下、「チームリーダー」も同じく「班長」と呼んで記事を進めます。)
「班長」の仕事は、前線の仕事をマネジメントすることです。実際には、プレーヤーを兼ねていることが多く、その仕事の比率は様々ですが、「班長」に任命されている以上、マネジメントをすることが期待されています。
班長が、生産量(売上)目標の達成やチーム員の意欲やチームワークづくりなどで成果を上げる4つのポイントをご紹介します。
① 定められた班長としての管理業務を最短時間で行う
② 班員へ仕事を配分する
③ 人脈を作る
④ 職場の改善活動をする
ただし、この前に班長としてマネジメント力を発揮するための、下地を作る必要があります。チーム員の信頼などです。ごく簡単に言えば、班長として成果をあげたければ、
「班長は、チーム員の信頼を得て、仕事を配分すること」
に尽きます。間違っても、プレーヤー時代の仕事に班長業務をプラスしてはいけません。心身ともに破綻します。
長年、製造工場に勤務し、多くの成果を上げる「班長」達を見て来た経験を基に述べていきます。
班長が、マネジメント力を発揮するための3つの下地
マネジメントする力の根源は、3つあります。班長は、自分なりにこの3つを持つことで、部下が動きます。
1)公的権限
「班長」には、その役職に応じた権限が、会社の規定として与えれます。他にも慣習や上司から権限が委譲されることで、指示・命令が出来ます。確固たる力ですが、乱用すると班員の離反を招きます。
2)専門性
班長は、プレーヤーを兼ねることが多いと思います。その班の仕事を遂行するための技術・技能、知識、経験を持っています。これが、班員を納得させる力です。
ただし、担当するすべて分野で専門性を持つことは、なかなかできません。何か一つの分野で、班員が認める専門性があれば十分です。技術は日々新しくなり、班長となって前線の仕事から離れると、実際の仕事に疎くなりがちです。日々の情報収集が重要です。
3)信頼
正直、親しみ易さ、安心感といった要素から生まれる信頼によるリーダーシップとも言うべき力です。そのうち正直が一番重要だというグーゼスとポスナーによる研究があります。「リーダーシップ・チャレンジ」(海と月社)より。
「班長」になった人は、会社から公的権限が与えられ、専門性が認められているはずです。班員の信頼を得られるかどうかが、マネジメントがうまくいくかどうかの分かれ目です。そして、それは「正直」ということに収まります。
班長が成果を上げる4つのマネジメントポイント
定められた班長としての管理業務を最短時間で行う
大抵の会社には、班長がマネジメントするための仕組みが用意されています。就業管理、安全管理、操業記録、日誌などの帳票に記入したりPCにインプットしたりの業務です。そして、会社が何か改革・改善をしようとすると、実行依頼は、班長にやってきます。これらが、忙しさの原因です。更に事務処理作業は、放っておくと増加の一途をたどります。形骸化したものなど、周期的に内容を見直すことが必要です。
業務の見直しと班員への業務分担をはかり、業務量を減らすことです。見直しの原則は、その業務が、成果に繋がっているかということです。
班員へ仕事を配分する
班長の重要な仕事が、班員への仕事配分です。班員を活かすように、難易度や量を調整する必要があります。班長の中には、自分で仕事をした方が速い、班員にやり方を説明するのが面倒といることで、自分で抱え込む人がいます。
今日の仕事配分ができること。次は、明日。そして、翌週の仕事配分ができることが理想です。先の仕事配分は、仕事量のコントロールです。能力に対して仕事量が少なければ、仕事を持ってくる必要があります。能力を超えるようなら、その対応をする必要があります。
人脈を作る
突然の仕事が入る、納期に間に合わない、材料が不足する、設備が故障するなど、現場で発生する非定常な状況は、班長の能力が試されます。そんな時、一番役に立つのが、上司も含めた社内外の人脈です。困ったときに助けてくれる人を知っていることは、部下に取って大いに頼りになります。マンパワーを貸してくれる人を知っている、保全部門の人を知っている、外部の修理屋を知っている、社内のエンジニア、営業部門の人を知っていることも絶大な力を発揮します。
普段の業務の中で、努力して人脈を作っておく必要があります。また、頼む勇気と頼まれた時の度量がいります。いずれも、正直さが決め手です。
職場の改善活動をする
班長に期待されている大きな役割が、改善活動です。仕事前線を直接見ることができ、そこで仕事をする人を動かすことが出来るのですから、改善活動の最適の場所にいます。やる気があれば、いくらでも活動ができます。
改善の手法やアイデアは、事例集としていろいろなところに紹介されていますので、ここでは省略します。この改善活動は、班長のリーダーシップに依存します。権限だけでは、班員は動きません。専門技術や信頼といった力が、活動を支えます。そして、なりたい職場の姿、ビジョンを持っていることが需要です。
「マネジメント」の役割について
順番が逆ですが、最後に「班長」の役目であるマネジメントは、なんのためかということに触れます。ドラッカーはマネジメントに求められる役割について、以下のように言っています。
① 組織が果たすべきミッションを達成する
班長は、自班の目標を把握し、達成すること。
② 組織で働く人たちを活かす
班長は、班員に自分を活かして働く場を与え、班員はその中で自己実現をしく。
③ 社会に貢献する
班長は、目標を達成するに中で、最終的に社会へ貢献していく。コンプライアンスを守る。
これは、ドラッカーの言葉で「マネージャー」とある部分を「班長」に置き換えたものです。班長の行うマネジメントは、基本的に課長も部長も同じだとわかります。対象の部下の範囲が広がるだけです。ちなみに米国では、1万人が働く製鉄所の班長は「エリア・マネージャー」、製鉄所長は「ジェネラル・マネージャー」と呼び、どちらも同じ「マネージャー」です。
ある女性班長の例
最後にある女性班長の例を紹介します。彼女は、機械系工場の38歳の班長です。子供が2人います。朝、子供を保育園に預けてから出社します。班長になって2年、班長としての事務的な仕事は、若手にやらせています。彼女は、その確認と承認のみです。彼女の主な仕事は、明日の生産計画と人員配分、翌週の生産計画作成です。計画された生産量の過多を管理部門や営業と調整しています。午前、午後と現場を歩き、遅れている作業は手伝います。すべてのチーム員と1日1度会話します。彼女に言わせれば、
「チーム員は、旦那や子供みたいなものね。ご機嫌さえよければ、頑張ってくれるわ。自分は、先を見て計画をつくること」
彼女は、ここに至るまで2年間苦しみました。当初残業時間が長く、旦那に「班長をやめろ」とまで言われたそうです。そして、行きついたのは、仕事の配分でした。正直に家庭の事情をチーム員に話すと「それなら、俺がやろう」ということで、仕事を分担、今は定時帰宅です。彼女に対するチーム員の信頼が、班長としての業務を支えています。
参考記事:実際に改善提案を激増させた4つのポイントと職場観察の着眼点
まとめ
「班長」もしくは、「チームリーダー」といわれる実務前線を直接管理する役職は、マネジメントが本業です。マネジメント力は、1)公的権限 2)専門技術 3)信頼を下地として生じます。班長が、成果を上げる4つのポイントは、1)規定の班長業務を最短時間で行う 2)班員へ仕事を配分する 3)人脈を作る 4)職場の改善活動をすることです。
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