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「理想の上司」とは、「部下を成長させ幸福にしてくれる人」のこと

2022/01/28
 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「理想の上司」とは、「部下を成長させ幸福にしてくれる人」のこと

 

「理想の上司」に必要な3つの条件

「理想の上司は、どんな人ですか?」
こんな質問のアンケート結果が、毎年発表されます。例えば、明治安田生命「理想の上司」アンケート調査(2021年)では、新入社員に対して、芸能人やスポーツ選手などの著名人から「理想の上司」を選ぶものです。毎年さわやかなルックスと仕事ができそうなイメージの人が、上位に入っています。

現実に「理想の上司」を思い浮かべる上では、誰から見た「理想」であるかに注意が必要です。私は、
1)会社にとっての「理想の上司」は、会社を長期的に儲けさせ発展させる人
2)部下にとっての「理想の上司」は、部下を成長させ幸福にしてくれる人
と思っています。

会社にとっての「理想の上司」は、その会社がどんな状況かによります。発展期の会社であれば、イケイケの猛烈型上司が理想でしょう。衰退期の会社であれば、冷静にリストラを断行できる上司が理想です。会社にとっては、結果が出せる人が「理想の上司」です。ただし、長期的に見ての話です。部下を踏みつぶして、短期的に結果を出せても、長期的に見れば会社のためにはならないでしょう。会社からみた「理想の上司」は、長期的にみて結果が出せる人です。

一方、部下にとっての「理想の上司」は、その部下が持っている価値観によって変わります。上昇志向の強い部下であれば、責任ある仕事をどんどん与えてくれる上司が理想でしょう。安定志向なら仕事をセーブしてくれる上司が理想かもしれません。

先ほどの「理想の上司」アンケートにランクされる人を昔と比べると、その時代の新入社員の価値観が反映されているように感じます。かつての頼もしい上司から、優しい上司、、親しみを感じやすい上司像に変化してきています。

私は、部下がどんな価値観を持っていても、自分を成長させ幸福にしてくれる人が、「理想の上司」だと考えています。部下にとって「理想の上司」に必要な条件とは、以下の3つです。
1)部下の価値観を理解している
2)部下を成長させようとする
3)部下に信頼されている
これらは、会社にとっても「理想の上司」ではないでしょうか。なぜなら部下が成長し幸福になることが、長期的に見て会社の発展に繋がるからです。
「理想の上司」をネットで検索すると、いろいろな要素が出てきます。「明るい」「率直」「視野が広い」「リーダーシップがある」「論理的」等々です。それらは、この3つの条件の具体的な内容です。
あなたが上司であれば、この3つの条件持っているか、振り返ってみてはどうでしょうか。あなたが親であれば、子供から見た「理想の親」も同じ3つ条件で成り立っているように思えませんか。以下、この記事では「理想の上司」の3つの条件を紹介します。

部下の価値観を理解している人

部下の話を聞き、部下の持つ価値観を理解して対応できるのが、「理想の上司」の1つ目の条件です。部下の価値観を否定も肯定もせず、認めることが必要です。

最近の新入社員で、「出世したい」と思う人は、そう多くありません。マイナビの20代社員のアンケートによれば、「あまり出世したくない」44.0に対し、「どちらかといえば出世したい」と思っている人が42.8で拮抗しています。出世に関することに限らず、部下の価値観は、多様化しています。(総務省 「特集 就労等に関する若者の意識」)自分を活かし上昇したい人もいれば、趣味第一で「釣りバカ日誌」のハマちゃんみたいな人もいます。上司は、まず部下の話を聞き、その価値観を知り、理解することが「理想」です。部下の話を聞かず自分の価値観を押しつけてはいけません。やたらと上司が自慢話や武勇伝を語ってはダメです。それは、部下に「嫌われる」からダメなのではなく、自分が話すことに夢中になり、部下の話を聞かなくなるからです。部下自身のことも部下の持っている情報も遮断してしまうからです。「理想の上司」は、まず部下の話を聞く度量をもっていることです。

部下を成長させようとする人

部下に仕事を任せるとき、いつも「部下を成長させる」ことを考えていることが、2つ目の「理想の上司」の条件です。

たとえ、部下が「出世したくない」と思うタイプでも、「面白い仕事」「楽しい仕事」「やりがいのある仕事」を任せるのが、理想の上司です。もちろん、部下の価値観や能力を把握した上での話ですが。面白い仕事、楽しい仕事、やりがいのある仕事とは、今その人が持っている能力より少し上のレベルが求められる仕事です。
部下にそんな仕事を任せ、達成してく中で部下の価値観が変わることもあります。上司の都合だけで、仕事の丸投げ、嫌な仕事の押し付けをしていては、部下は育ちません。下手をすると、部下にマイナス思考の価値観を形成させることになります。

ある会社の例ですが、A総務課長に部長が、「工場ニュース」のタイトルで職場の広報誌を発行するよう指示したことがありました。部長の意図は、職場のコミュニケーションの一つとして広報誌を作りたいということです。
部長は、初めて広報誌を出すにあたり、若くて優秀なA課長なら、うまくやれると考えました。当然、A課長が中心になって広報誌をつくると思っていたのですが、彼は部下の庶務担当の女性Bさんに企画編集をまかせました。彼女は、高校を卒業してすぐに入社、勤続20年になります。家庭を持っていて、給料を家計の足しにしたいと結婚後も仕事を続けている人です。
「そんなこと私には、できません」
が彼女の第一声でした。それでも、A課長は、原稿を依頼する人のリストを渡し、レイアウトや印刷など一括で任せられる印刷サービス会社の担当を紹介しました。
「原稿を集めて、サービス会社の担当にメールで送るだけ。誌面のレイアウトは、サービス会社の担当にまかせるだけ。内容は、自分が読者の気持ちになって、面白いと思えること。従業員向けなので、部長がどう思うか考えなくてもいい」
そこまで丁寧に指示されたBさんは、断ることもできず広報誌づくりに動きました。いやいや始めた広報づくりでしたが、サービス会社の担当とやり取りしているうちに、だんだん面白くなり、数か月後見事な第1号を発行しました。そして、1年で3回の発行を実現しました。
実は、A課長には、狙いがありました。翌年春にBさんを係長に昇進させたかったのです。今でも日本の大企業において、高卒の女性が係長になるのは難しいことです。本社の人事部からみれば、「言われたことをやっているだけ」の庶務担当を係長への昇進させる可能性はゼロです。A課長は、Bさんに自分で企画し実行した仕事の実績を作らせたかったのです。彼女に企画・編集をする力が潜んでいると信じていました。
1月になりBさんの元に「係長昇格面接」の通知がきました。面接通知が来ただけでも、彼女にとっては驚きです。そして、人事部の面接において彼女は、こう言いました。
A課長は、私たちにとって『理想の上司』です。職場ニュースを発行でき、続けられているのは、『課長の部下を育てたいという気持ち』に皆んなが、応えたいからです。」
長々とこの例を書いたのは、彼女のこの言葉をご紹介したかったからです。4月に彼女は、係長に昇進しました。Bさんが昇進したことで、他の女子社員を含め部下たちが一段と活性化したことは、言うまでもありません。

 

部下に信頼されている人

「理想の上司」の3つ目の条件は、「信頼」です。厳しく部下に接しても、部下が上司を信頼していれば、パワハラ問題にはなることはまずありません。部下が厳しく叱られても、気持ちが離れないのは、上司が部下である「自分のために叱っている」と思うからです。上司が部下をどんなに追い込んでも、「最後は助けてくれる」と思っているからです。それが信頼です。子供が親に対して持っている信頼と同じです。

ところが、上司のエゴな面が見えると、部下はその瞬間に信頼しなくなります。上司が、「自分に利益誘導している」、「責任を回避している」と思えたら、部下の気持ちはたちまち逃げていきます。リーダーシップを発揮するのに最も需要な要素が「信頼」であることは、定説になっています。(例えば、ジョン・P・コッターの「リーダーシップ論」)


第2版 リーダーシップ論

まとめ

部下からみた「理想の上司」は、部下がどんな価値観を持っていても、「自分を成長させ幸福にしてくれる人」です。「理想の上司」に必要な条件とは、以下の3つです。
1)部下の価値観を理解している
2)部下を成長させようとする
3)部下に信頼されている
これは、会社にとっても「理想の上司」です。なぜなら部下が成長し幸福になることが、長期的に見て会社の発展に繋がるからです。

参考記事:リーダーが「プレイングマネージャー」をうまくこなす2つやり方

班長(=チームリーダー)が成果を上げる4つのマネジメントポイント

 

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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