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OJTを使った新人教育で、成果を上げるために指導者がやるべき3つのこと

2022/05/06
 
OJTする寿司職人のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

OJTを使った新人教育で、成果を上げるために指導者がやるべき3つのこと

 

OJTで成果を上げるために指導者がやるべき3つのこと

「新入社員の教育」
「職場に新しく配転してきた人への教育」
集合教育を終わったあとの新入社員、他部署から異動してきた人などに対しての教育は、OJTによることが多いようです。先輩や職場のリーダーが指導者となり、仕事を通して教育がなされます。
OJT(=On-The-Job Training)は、指導者と行動を共にし、指導者のマネすることから始まります。OJTは、厳密に教育計画をたてずとも、「指導者と一緒にやる」ことで、自然に教育ができると考えがちです。しかし、それでは指導者の熱意や経験の差により、教育の結果が大きく異なります。また、最近のリモートワークの普及により、「横で見ていろ」が通用しなくなっています。OJTといえども、しっかりした教育方針や計画と実践が必要です。
OJTを使った教育において、指導者がやるべき3つのポイントがあります。
1)自分達の仕事の持つMVP(使命・価値・誇り)を伝える
2)成長ゴールを設定する
3)PDCAを回すこと
これらによって、OJTを通して指導者にとっての「期待する人物」、指導される者にとっては「成りたい自分」に到達できることが期待できます。
この記事では、現場作業者やホワイトカラーの新人教育の経験から得たOJTによる教育のポイントを紹介します。

 

自分達の仕事の持つMVP(使命・価値・誇り)を伝える

まず、相手(教育対象者)に自分達の仕事の意味を理解させることが重要です。具体的には、Mission:使命、Value:価値、Pride:誇りを伝え共有することです。OJTでは、指導者が自分の仕事を持ちながら教育することが多く、相手の仕事で気になることを見つけては、その都度指導しがちです。その結果、指導される側から見ると「気まぐれな意見」「一貫性が感じられない」といった印象を与えます。その結果、
「先輩は、その都度違うことを言う」
と指導者に対する信頼さえ失いかねません。まず、
「何のためにそれをするのか」
「どんな意味があるのか」
「譲れないものは何か」
というMVPが、指導する側と指導される側で共有することです。共通のMVPがあるから、相手は「自分で考えたこと」の意味を自分で評価でき、「自分から行動できる人材」に育ちます。

 

成長ゴールを設定する

どんな教育でも目標(ゴール)が重要です。目標が具体的で測定可能ならば、教育の成果が見えます。成果が見えれば、指導者にとっても本人にとっても励みになり、更なる成長を促します。指導者にとっての「期待する人物像」、指導される者にとっては「成りたい自分像」が成長ゴールです。成長ゴールには、3種類あります。

1)知識、ノウハウのゴール(ナレッジ
製造部門であれば、製造原理や製造工程が理解できている。営業では、製品の説明ができる、関係取引先との業務の流れを理解しているといったところです。座学でも学ぶことができます。

2)実践のゴール(プラクティス)
実際に作業ができる。適切な報告ができるなどです。「自分一人で作業ができる」「○○の業務を3回以上経験する」などと定義している例があります。

3)価値観、態度のゴール(バリュー)
「自分の役割を理解して仕事ができる」、「仕事の振り返りができる」などです。達成度は、指導者の判定が必要です。指導者と指導される者とが、一致した内容をゴールとしておくことです。

これらのゴールを指導者と指導される者とが納得済みで設定し、ゴールを目指します。
品質管理のISO9000シリーズでは、作業者の技能レベルの評価と改善が求められています。私の経験した生産現場では、こんな5段階基準をもっていました。
レベル1:指示されて作業できる。「駆け出し」
レベル2:知識があり、補助者がいると自分で作業できる。「半人前」
レベル3:自分一人で作業ができる。「一人前」
レベル4:改善ができ、マニュアルが書ける。「ベテラン」
レベル5:指導ができる。他の部署と協業ができる。「マスター」
これを、溶接や組み立て、塗装などの作業に当てはめ、レベル3までをOJTで教育しています。レベル1では、ナレッジのゴールを目指し、知識やノウハウを身に着けるとレベル2です。レベル2では、プラクティスのゴールを目指します。実務経験を積むことでレベル3です。これで、「一人前」として認められます。レベル3に達すると、バリューのゴールを目指します。改善や指導ができる人材がゴールです。
営業や事務職では、達成レベルを明確に設定しにくいものです。それでも、「製品説明ができる」「お客様に提案ができる」「トラブル時、自分一人で判断・処置できる」などとゴールレベルを設定して、OJTの成果を上げている例があります。

 

PDCAを回すこと

OJTとは、指導者を見て、やってみて学ぶ「経験学習」です。経験学習理論では、以下のサイクルを回すことが推奨されています。
経験:具体的な経験をする
内省:行動の振り返り・フィードバック
教訓:経験を多面的にとらえ教訓にする
実践:行動を修正し、挑戦する
これは、良く知られたPDCAと同じです。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)が、そのまま経験学習としてのOJTのプロセスに一致します。仕事を計画して(P)、やってみる(D)、結果を振り返り、学びを引き出す(C)、行動を修正(A)するという順番です。
(参考記事:「仕事における経験学習サイクルとは」)
大切なのは、仕事の区切りごとに、指導者と被指導者とが、一緒にやった仕事を評価し、次の教訓とすることです。具体的に言えば、指導者が適切に褒めたり、叱ったりすることです。そして、
「次は、こうしよう」
と考えさせることが、OJTの核心です。その時、指導される側はもちろん、指導者も同時に成長します。


OJT完全マニュアル—部下を成長させる指導術

まとめ

新人や配転者の教育にOJTを用いるとき、成果を上げるために指導者がやるべき3つのポイントは、
1)自分達の仕事の持つMVP(使命・価値・誇り)を伝える
2)成長ゴールを設定する
3)PDCAを回すこと
これらによって、OJTを通して「期待する人物」、指導される者にとっては「成りたい自分」に到達できることが期待できます。

参考記事:自分から「行動しない」「報告しない」受け身な部下への指導方法

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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