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「結果論」で責められた時の対処法を結果論のメリットとデメリットから考える

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「結果論」で責められた時の対処法を結果論のメリットとデメリットから考える

 

結果論のメリットとデメリット

ノーアウト、ランナー1塁。バッタ―は、バントの構えからヒッティング。ところが、ダブルプレーで2アウト。
「何でバントしなかったんだ!」
リビングでテレビ観戦している「評論家」が叫びます。たぶん、ヒットを打ったら
「強気のみごとな作戦」
とでも言うのでしょうか。こんな風に結果が判明してから、作戦を評価するのが「結果論」です。
テレビを見ながら結果論で作戦失敗の責任追及をしている分には問題ないのですが、もしグランドで監督が選手に、あるいは職場で上司が部下に結果論で責任を追及されると、相手は、たまったものではありません。
結果論Outcome Biasは、ある意思決定や行動の評価が、その結果の良し悪しによって左右される論法です。意思決定のプロセスやその時点での情報に基づいて判断するのではなく、結果が良ければその意思決定や行動は正しかったとし、結果が悪ければそれは誤りだったとする考え方です。結果論に陥ると、過去の判断が結果の影響で不当に評価されることが起きます。あるいは、その逆に結果がよければ、すべて「良し」ということにもなります。
結果論で物事を論じることについて、批判的な意見が多いのですが、メリットもあります。メリットとデメリットを挙げてみると以下のようなものです。
1)メリット
① 結果の評価が明確になる
② 実績に基づく改善ができる
2)デメリット
① 過去の判断や行動の評価を誤る
② プロセスの重要性が軽視される
③ モチベーションの低下
結果論で論じるにあたり、「どの時点での結果」であるか。「何に対する結果」であるのかが重要です。その時点で、「失敗」でも長期的にみたら、1つの過程に過ぎないとも見ることができます。また、組織にとって失敗という結果であっても、個人にとっては「経験」という貴重な結果を得ていることにもなります。
この記事では、結果論で論じることに対するメリット、デメリットをご紹介し、結果論で責められたときの対処法を考えます。

 

結果論で論じるメリット

「仕事は、結果がすべてである」
などと豪語する組織や上司がいます。仕事を結果で評価すると宣言することです。結果をもとに論じるので、成功や失敗が明確になります。
結果による評価は、成果を挙げた個人やチームを明確に評価することになります。どんなプロセスがあったにせよ、結果を出すことが評価されます。例えば、
「自分の仕事が終われば、さっさと退社する」
「意味のない会議には出ない」
といった結果に繋がらないことはしないことを気兼ねなくできます。
また、成果をあげた人は、更なるモチベーションの向上につながります。プロ野球の監督が、
「打ちそこないでもヒットはヒット」
「エラーを連発したが勝てればいい」
などと試合後にコメントすることがあります。監督は、結果論で評価しているのですが、「結果」について、「ヒットを打つこと」、「試合に勝利する」ということが前提として語っています。もし、「ヒットはクリーンに打ったもの」とか、「エラーをしない試合運び」を「結果」として結果論を論じると、評価された側のモチベーションが大きく下がることになりかねません。

結果論で論じるデメリット

結果が出た後に判断を批判することは、当時の情報や状況を考慮せずに行われることが多いため、過去の判断や評価を誤ることがおきます。
歴史上の人物の評価は、評価する人、評価する時代で大きく変わることがあります。「軍事の天才」と言われている源義経も詳細にみると幸運の連続といった戦い方をしていて、結果として平家を滅ぼしたという結果論で「天才」と言われているだけという見方もあります。(海上知明著「義経愚直論」徳間書店より)同様に「お犬公方」と言われた5代将軍綱吉の評価も大きく変わっています。
結果論では、プロセスの重要性が軽視されるということが起きます。結果にばかり注目して、プロセスや過程での学びや改善点が見落とされることになります。特に良い結果が出た場合は、その過程での問題点が見過ごされることがあり、長期的な改善につながりにくくなります。プロ野球の元監督である野村克也氏は、
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
と言っていますが、結果論で論じることへの戒めとも言えます。
上司や先生が、部下や生徒を結果論だけで評価していくと、結果が悪かった場合、過度に批判されることで、モチベーションが低下することがあります。プロセスを重視しない文化では、努力や工夫が報われにくくなり、組織全体の士気が下がる可能性があります。
上司や指導者が、
「結果はダメだったけど、皆よく頑張った」
といった言葉を発するのは、モチベーションの低下を防ぐためです。

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結果論で責められた時の対処法

上司やマスコミなど社会から、結果論で責められた時に対処する方法があります。それは、
「長い時間的スパンで考えること」
です。失敗したとき
「いい勉強になった」
「この結果も、長い目で見たら過程の一部」
と考えることで、大いに救われます。ただし、この言葉を責める上司やマスコミに発すると益々相手の怒りをかうことになります。上司やマスコミに対して、その行動や判断に至った事情をいくら説明しても、相手は「言い訳」としか受け取られない可能性が高く、理解してもらうには、時間がかかることを覚悟することです。
普段から、
「仕事は、結果が全てだ」
と豪語していた上司を持ったことがあります。悪い結果が出て、いろいろ釈明するのですが、この上司からは、
「結果が全て。言い訳するな!」
と一喝され、結果に結び付かたなったことは、ことごとく批判されます。
あるとき、仕事で失敗したとき、「また結果論で責められる」と覚悟していたのですが、
「今回のことは、いい勉強になったな」
と思いがけず長い目でみた言葉で、大いに救われたことがあります。

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まとめ

結果論で物事を論じることについて、メリットとデメリットを挙げてみると以下のようなものです。
1)メリット
① 結果の評価が明確になる
② 実績に基づく改善ができる
2)デメリット
① 過去の判断や行動の評価を誤る
② プロセスの重要性が軽視される
③ モチベーションの低下
結果論で論じるにあたり、「どの時点での結果」であるか。「何に対する結果」であるのかが重要です。

参考記事:リーダーシップ能力の他に必要な日本の「出来る上司」の能力とは?

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