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「ルールを守らない社員」が、ルールを守らない大きな3つの理由

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「ルールを守らない社員」が、ルールを守らない理由とは

 

「ルールを守らない社員」が、ルールを守らない理由とは

「営業日報を出すルールなのに守られない」
「事務処理を電子システム化したのに利用率が低い」
社内で、様々なルールやシステムを作っても、ルールを守らない、システムを利用しない人がいます。ルールというほどではないが、会社や各部署で「決めたこと」を守らない、やらない人がいます。社内で構築したシステムに様々な機能があっても、利用されているのは一部、従来通りメールや書類が使われているケースもあります。
組織のメンバーにルールや「決めたこと」を守らせるための基本ステップがあります。
1)ルールを周知する。
2)メンバーが周知された内容を理解する。
3)メンバーがルールをどう理解したか確認する。
4)ルールに従った行動をしているかチェックする。
5)ルールが守られていない場合は指導する。
6)不適切なルールは見直しする。
ある部署で「部下がルールを守らない」と嘆いている管理職がいました。部下の方にヒヤリングすると、
「いつも上司は、ルールを伝えるだけ」
とのこと。そして、
「新ルールに絶対従わなければいけないのか」
「できれば従うということでいいのか」
「そのルールを守ることに意味があるのか」
といった疑問が次々に出てくる始末です。この部署では、ルールを守らせる基本ステップの1で止まっていた例です。
組織のメンバーが、「ルール」や「決めたこと」を守らない3つの大きな理由があります。
1)「決めたこと」に納得していない
2)ルールを守らなくても問題ない
3)ルールの変更がなされない
これらは、メンバーのルールや「決めたこと」に対する受け取り方の問題です。あるルールに対して、
1)ルールを守ることが、自分のメリットになる。
2)守らなければ、ペナルティが課せられる。
のいずれか、または両方であるかをメンバーが理解することが、ルールを守らせる上での重要なポイントです。
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「決ったこと」に納得していない

「決まったこと」を知らなければ、これを「守ること」はできません。ルールや「決まったこと」をメンバーに知らせるのは、国や自治体では大変なことは容易に想像できますが、比較的小さな規模の会社でも「そんなこと知らなかった」との声が結構あるものです。様々な手段で、伝える努力が必要です。
そして、最も大切なことは、「決まったこと」を納得しているかどうかということです。ルール等(「ルール」や「決まったこと」)を納得したとは、
1)メンバーに対する行動の指示(禁止という行動も含む)
2)ルールが行動を指示する理由
3)ルールが指示する行動を守らなかった場合のペナルティ
を理解したということです。そしえ、リーダーはこれを確認することが大切です。ここまでやって、「ルール等を伝えた」ことになります。
戦争映画で、よく上官が部下に向かって、
「〇〇をしろ。これは、命令である。」
と念を押すシーンがあります。これは、言外に「指示にしたがわなければ、命令違反として裁く」との意味が含まれています。

ルールを守らなくても済む

「ルールを守らない」のは、「ルールを守らなくても済む」ということがあります。ルールで決められた行動(もしくは禁止行動)が、現在している行動と同じであればルールに従いますが、異なっていると人は「行動を変えること」をしたがりません。適切な強制力が必要です。
例えば、申請/決裁を電子システム化しても、従来通り書類での申請/決裁を受け付けていれば、なかなか電子決済を使ってくれません。システム担当者が
「なぜ電子決済を使わないのですか?」
と利用者に質問すると
「入力が面倒」
「応答が遅い」
などと理由を並べます。そこで、システムを改善するのですが、利用率は変わりません。
要するに「使わなくても済む」から現状のやり方を変えないのです。結局、
「書類での申請/決裁は、一切受け付けない」
ということにして、利用率100%達成となりました。
同様なことは、国でも起きています。マイナンバーカードの利用率が上がらないことに対して、
「紙の保険証を廃止して、マイナンバーカードに統一」
という強制力を発動することにしました。また、コロナ禍の中、民間の医療機関に患者の受け入れを要望しても拒否され、ベッド数はあるのに「医療崩壊」と言われる事態が発生しましたが、国や地方自治体に強制力があればと思った次第です。
日本では、法的な強制力が曖昧で、政府に従わないことが市民の権利のようになっている節があります。ルールを決めるまでは、議論を尽くすとして、決めたルールを守るのは絶対であるとの共通認識が必要です。
日本では、強制力を嫌ったり、曖昧にしたりする傾向があります。その結果、「空気」とか「ムード」といったもので、人が行動することになりがちです。コロナ禍の中、日本では人々が法的な強制力がなくても「自粛」しました。これが、美談として扱うマスコミもありましたが、法治国家として「国家が機能しているのか」との疑問も個人的には思います。更に「自粛警察」と呼ばれる人々まで現れました。
米国で母親が、レストランで騒ぐ子供に向かって
「静かにしなさい」
「それが、ルールよ!」(“It’s a rule!”)
と一喝するのを目撃したことがあります。ルールとして「決められたこと」は、守るのが当然であることが、「しつけ」の中に組み込まれているようです。

余談ですが、
「なぜ人を殺してはいけないの?」
という疑問をネット検索すると様々な意見が出てきて「意外に難しいものだ」との思いがします。ところが、キリスト教徒に言わせると
「それは、聖書に『殺してはならない』と書いてあるから」
だそうです。

 

ルールの変更がなされない

ルールが守れないのは、ルールが不適切なものがあります。
よくあるのが、ルールを決めた時と状況が変わったのに、ルールの変更がされていないケースです。
こうなると、ルールを守らないやり方が日常化すると、更にルールの拡大解釈が起こります。ルールの変更の変更を適切に行うポイントが2つあります。
1)「ルールは、変えられる」との意識を社内で共有する
ルールが、「決められたこと」という意識であると、「変えられない」と思いがちになります。ルールは、本来組織のメンバーが「決めたこと」です。変える必要性を感じたら、自ら速やかに変更する意識が大切です。
若い世代が、不満を持ちつつ「昔決めたこと」と不満を持ちつつ守る必要はありません。中には、
「なぜ、こんなことをしているのだろう?」
というルールがあったりするものです。
2)定期的にルールを見直す
ルールが時間と共に実情に合わなくなっていても、それに気づかないことがあります。定期的に「ルールの見直し」することがお勧めです。ルールが記載されている標準や規程、指示書を見直すと思わぬ発見もあります。ルールが作られた理由を知ることができたり、実態とのズレを発見したりすることができます。
ISO (International Organization for Standardization=「国際標準化機構」)では、社内のルール(規程)を3年毎に見直すことを義務化しています。たとえ、変更がなくても、内容を確認して「見直す」ことが求められています。これを怠るとISOの認証を取り消される可能性もあります。これほどまでに厳格化しているのは、「ルールと実態との乖離」が起きることを重大視している表れです。

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まとめ

組織のメンバーが、「ルール」や「決めたこと」を守らない3つの大きな理由があります。
1)「決めたこと」に納得していない
2)ルールを守らなくても問題ない
3)ルールの変更がなされない
これらは、メンバーのルールや「決めたこと」に対する受け取り方の問題です。チームリーダーは、ルール等を周知するだけでなく、メンバーがルールをどう受け止めたかを確認することが、「ルール」を守らせるのに重要です。

参考記事:仕事の指示トラブルは、「号令」「命令」「訓令」を理解することで解消

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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