周囲をイラつかせる「質問力」のない人の4つの質問パターン
周囲をイラつかせる「質問力」のない人の4つの質問パターン
周囲をイラつかせる「質問力」のない人の質問パターン
会議や講演会の質疑応答で、「質問」と称してダラダラと意見だか質問だかわからない発言で出席者がうんざりしたことがありませんか。もし組織内の人だけが出席する会議なら、
「君は、何が言いたいんだ!」
と上司が一喝しそうです。しかし、組織外の人や顧客の入った会議・説明会などでは、そんなことはできず、辛抱強く質問者の話が終わるのを待つことになります。
他にも、本人の個人的興味だけで質問する人、内容が一般的でせっかくの出席者でなくても答えられる質問など、「質問力」不足を感じる人々が、出席者の貴重な時間とエネルギーを奪い取っています。
ところで、「質問力」とは、質問する能力のことです。疑問点や不明点を問いかけて事実を正しく理解する能力のことを指しています。相手の意図や状況を把握し、会話を広げたり、疑問を解消したりするために質問を投げかける力です。これは、コミュニケーション能力の一つに分類され、生活やビジネス面において重要なスキルです。
講演会の後の質疑応答の優れた質問は、講演内容の理解を深めます。商談においては、相手の懸念点や背景を理解した上で、適切な提案ができるため受注を増やすことに繋がります。学会やアイデアを出す場では、優れた質問がきっかけとなって、更なるアイデアを生むきっかけを作ることもあります。
会議や講演会、説明会等で、出席者の時間と集中力を奪ってしまう「質問力」の欠如した人によくある質問パターンを以下にご紹介します。
1)自分で調べられること、差しさわりのない質問
2)前提条件が不明な質問
3)論点がわからない質問
4)自分の価値観や経験による質問
これらの質問は、質問者個人の自己満足を得られても、質問された相手や出席した他の人には、ストレスを与えるだけということになります。これらのパターンを意識することで、質問力を高められることが期待できます。
自分で調べられること、差しさわりのない質問
司会者が
「会社について、何でも質問してください」
と言っても、前もって会社案内を見たり、ネットで少し調べたりすればすぐわかることを質問するのは、どうかと思います。
ある起業家の講演会で、「起業のきっかけ」「起業家のプロフィール」などを質問した人がいました。この起業家は、この手の質問を何度もされているのか、
「私のプロフィールや起業のきっかけは、私のホームページやネット記事にありますのでそちらを見て下さい」
と答えておられました。他にも、
「今後の計画は?」
「成功の秘訣は?」
といった定型的な質問で、深い洞察を求めることもなく、表面的な情報にとどまるような質問があります。もう一歩突っ込んで、
「なぜそうしたのか?」
「なぜその時行動したのか?」
などが加わると当事者に質問する意味が出てきます。
また、質問者の中には、質問のリスクを恐れて、挑戦的な質問や深い探求を避け、安全な質問を選びがちの人がいます。いわゆる「差しさわりのない質問」です。物議を醸す可能性のある質問や、相手を困惑させるかもしれない質問を避けた結果、より深い理解や洞察を得ることができないということが起きます。
前提条件が不明な質問
ある経済アナリストの講演会後
「今後、景気はどうなりますか?」
「投資をするとしたら、どんな商品を選んだらいいのですか?」
などと、一般的な質問をされてアナリストは困惑していました。「どのくらいの時間的スパンで、景気をみるのか」、「日本全体の景気なのか、業界別の景気なのか」、「どの程度の資金を持って投資するのか」、「リスクをどの程度とれるのか」等々、質問の前提が全く不明なので、答えようがありません。答えは、前提条件次第で全く異なります。前提条件を明確にしないと質問にはなりません。
また、特定のテーマに絞った質問やフォローアップの質問ではなく、
「他に何か話せることはありますか?」
「これまでの経験から何を学びましたか?」
といった質問も前提条件が不明で答えに困ります。これらは、いかにも時間を使うことが目的と思える質問に思えて、相手に失礼な印象をも与えます。
論点がわからない質問
いくつもの論点が含まれていいて、何を答えて欲しいのか分からない質問があります。
「お金のかかる地域振興券が年度末までの期限で発行されるとの話ですが、ポイント還元方式では利用者によっては不便である。特にお年寄りには仕組みが理解できにくい。また、金額も十分とは言えず、見直してはもらえないか。」
こんな質問が、市の行政説明会で出たことがあります。「地域振興券にお金がかかることを議論したいのか」、「期間限定が問題なのか」、「ポイント還元方式が問題なのか」、「一人当たりの金額が不足なのか」と、いろいろな論点が混在していて、何を質問したいのか、さっぱりわかりません。質問前に自分で論点を明確にしておくこと、1回の質問で1つの論点だけを話すことが大切です。
また、 専門的な会議では、その分野やテーマへの深い知識がないと、一般的な情報や見解に留まるような質問になりがちで、話題を深く掘り下げることが難しいということになります。
自分の価値観や経験による質問
講演会の質疑応答で、自分の価値観や経験をダラダラと述べる質問者がいます。自分の経験や意見を喋って、結局何を質問しているか分からないというケースです。発言前に、
「これは、質問ではなく意見ですが・・・」
と言って話を始めれば、出席者のストレスが軽減します。あるいは、
「私は、・・・と考えますが、どう考えられますか?」
と明確に意見を述べて、見解を尋ねることが賢明です。
同様なケースとして、質問する際に相手から「答えて欲しいことが決まっている」質問があります。
例えば、マスコミによる政治家の汚職についての街頭インタビュー、物価高についての質問は、回答者の答えが分かっています。あるいは、質問者の意図通りの回答をした人だけを放映しているのでしょう。
行政の行う公聴会などでは、「原発は危険であり、やめるべきである」、「役所は、何かを隠している、との持論をもとに質問する人がいます。こんな自分の主観に基づいて質問をする人は、回答が自分の意見と一致しない限り、同様な質問が繰り返されることになります。出席者が、「質問は合意を得る手段ではない」ということを共有していれば、会合を円満に終わることができますが、そうでなければ時間で強制的に打ち切るといったことになります。
俯瞰的に見ると、自分の価値観や経験に基づく質問をする人は、事実の理解ではなく、感情の共有を求めている場合が多いようです。満足できる具体的な回答が得られなくても、「誠意」「共感」が得られることで、質問者のある程度は満足することが出来ることがあります。
まとめ
会議や講演会などで、出席者の時間と集中力を奪ってしまう「質問力」の欠如した人によくある質問パターンを以下にご紹介します。
1)自分で調べられること、差しさわりのない質問
2)前提条件が不明な質問
3)論点がわからない質問
4)自分の価値観や経験による質問
これらのパターンを意識することで、質問力を高められることが期待できます。