「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

野球やゴルフの練習、仕事の技能訓練を効率化する5つのステップ

2021/09/12
 
野球練習のイラスト
記事一覧

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

野球やゴルフの練習、仕事の技能訓練を効率化する5つのステップ

 

野球やゴルフの非効率な長時間練習と、練習を効率化する5つのステップ

「泥と汗にまみれた千本ノック」
「炎天下での200球投げ込み」
「1日1000球の打ちっぱなしのゴルフ練習」
かつて野球やゴルフで成功するには、こんな練習が必要と言われていました。スポ根アニメそのものです。仕事の訓練も同様。一流の職人、技術者になるには、何年もの苦しい修行が必要と信じられていました。現在、プロ野球やプロゴルフの世界では、より効果的で効率的な練習をすべきと考えられるようになっています。効率的な練習は、短期間で優秀な選手を育成すると同時に、過度な練習によるケガや故障を減らす効果があります。
「負けているチームほど、長時間の練習をしている」
日本ハムの元コーチ白井一幸氏が、著書:「神コーチング 人が育つ言葉」(日経BP)で述べています。
「野球は、瞬発力のスポーツ。長時間、守備練習や打撃練習していると、選手は必ず強度を下げている。結局『自分たちは練習しているんだ!』とマスコミやファンにアピールしているだけ」
とも言っています。

基本的に野球もゴルフも瞬発力のスポーツです。打者が球を打って、内野手に届くまで1秒以内です。ドライバーショットも構えてからインパクトまで2秒とかかりません。瞬発力を鍛えるのに長時間練習が無意味なことは、科学的に証明されています。これに気付いたのか、近年プロ野球選手やプロゴルフ選手の体は、年々マッチョ化しより瞬発力を高めています。

最も非効率な練習は、技術習得、再現性習得、瞬発力向上、持久力向上を区別せずに長時間続けることです。取得したい技術や習得したい体力など目的ごとに練習することが、効果的であり効率的です。

効率的にスポーツ練習、技能訓練をするには5つのステップがあります。
1)その種目(仕事)の特徴、技術を理解する
2)ゆっくり正しくやってみる(技能習得)
3)繰り返してやってみる(再現性習得)
4)スピードを上げる(瞬発力習得)
5)持久力をつける
私は、専門家ではありませんが、スポーツ練習や仕事の技能訓練には、上記のような共通の習得ステップがあることに気付き活用しています。

もしあなた自身が、何かスポーツや習い事をしているとしたら、これを適用してみてください。この5つのステップに従って練習することで、スポーツ成績の向上、習い事の腕前が効率よく向上することを期待します。


神コーチング 人が育つ言葉



その種目(仕事)の特徴、技術を理解する

野球やゴルフの競技時間は長いですか、実際には瞬発力系の競技です。溶接工やタイピストの仕事は、持久力系でしょうか。テニスやサッカーは、瞬発力と持久力の両方が求められます。習得しようとしている種目(仕事)の特報をまず理解することです。

種目(仕事)の特徴を理解したら、必要な技術を科学的に理解することが必要です。できるだけ具体的に、論理的に理解することです。野球やゴルフでは、打球の解析技術が進み、初速、回転数などが計測され、理想の打球やスウィング軌道が専門家の間で共有されるようになっています。仕事においても、カンと経験だよりだったワザも科学的にどうあるべきか明らかになってきています。これをまず理解することです。また、技量がある程度上がってからも繰り返し勉強すべきです。経験を積むことで、理解が深まります。

 

ゆっくり正しくやってみる(技能習得)

スポーツの種目ごとの理論、仕事の技術的知識に基づいて、自分の形を実現させるべく、ゆっくりと動作をします。決して急いではいけません。ゆっくり正しいフームで実行します。
「下手を固める」
という言葉があります。間違ったフォームを繰り返し練習することで、悪い癖がフォームとして固まることを言います。

動画を撮影してフォームを確認することは、スポーツでは当たり前になり効果を上げています。仕事の機能訓練でも、動画撮影は有効です。自職場の話ですが、技能研修中、溶接工の溶接棒の動きを動画で可視化したことがあります。再生してみると本人が気づかない作業中の動きが見えてきました。(遮光ガラス越しの撮影には苦労しますが。)

スポーツでも仕事でも、まず正しい動きを身に着けることに専心すべきです。ゆっくりでも「正しい動き」に集中することです。

この段階では、ゆっくりと「自分の体力」で動けるフォームを身につくまで練習します。持久力や筋力は、向上に時間がかかります。動きをつくることと、体力をつけることを一緒に頑張ってはダメです。習得しようとしているフォームが、その人が持っている以上の持久力や筋力を必要する動きではいけません。基礎体力がないのに、体力のある人と同じやり方やフォームを求めることは間違いです。ところが、フォームの習得と体力をつけることを一緒にやろうとしている練習が、見受けられます。基礎体力が異なるチーム員が、そろって同じフォームや動きの練習をするときは、要注意です。



繰り返してやってみる(再現性習得)

正しく動作ができるようになったら、その動きがどんな状況でも再現できることが次の目標です。これには、繰り返し練習、いわゆる反復練習が効果的です。ただし、正しい動作を繰り返すことに集中することに変わりはありません。再現性の習得とは、何度も同じことを繰り返すことで使用される神経系が反応しやすくなり、動作意識せずにその動きができるようになることです。いわゆる「体で覚えている」状態になることです。

昔、旧日本海軍の戦闘機パイロットの方から聞いた話が印象的で、何十年もたった今でも覚えているので紹介します。彼は、新米パイロットとして長く訓練を受けたのち、初めて出撃しました。「敵機を何機も撃墜する」と意気込んで隊長を含め10機ほどで出撃したのですが、敵機を見たとたんパニックになって頭が真っ白。撃墜するどころか、敵機に追われてオドオドするばかり。彼は、コックピット内で何もできず、ただただ操縦桿を握りしめていたとのこと。しかし、不思議なことにパニックになっている頭とは別に、手と足は隊長機の後ろをピタッと追いかけ続けるように期待を動かし続け、放心状態でも無事帰還したとのこと。結局、彼より訓練期間の短いパイロットの多くが墜落し、半分ほどしか帰還できなかったそうです。

「何も考えていないのに、隊長機の動きを追って操縦できる。『体で覚える』とは、このことだと初めて分かった」

と元パイロットは、言っていました。

再現性の究極は、無意識でも正しい動作ができることです。大切な試合など緊張した場面で実力が出せるのは、優れた再現性をもっているからです。再現性の習得には、練習量が必要です。また、本番を想定した緊張感のある練習が重要です。試合形式の実戦練習が重要視されるのは、このためです。また、再現性を習得するには、一度に長い時間をかけるより、短い時間の練習に分ける方が、効果的であるとのデータもあります。



スピードを上げる(瞬発力習得)

野球やゴルフで打球を遠くに飛ばすには、スイングスピードを上げる必要があります。ある程度のフォームができた後にスイングスピードを上げられるのは、筋力アップです。速いスイングを沢山やってもフォームを乱し、疲れやケガを生むだけです。

近年、スイングスピードを上げるには、筋力アップが有効であり、筋力アップにはウエートトレーニングが利くと練習に取り入れられています。ある高校の野球部では、時速150kmのボールを投げるのに必要な筋力を数値化し、投球練習より筋力トレーニングに力を入れて成果を上げている学校があります。

正しいフォームを身につけたのち、筋力トレーニングをする。筋力がついてきたら、それに合わせてフォームを見直すという練習法が、主流となっています。

持久力をつける

心肺機能を高めるような持久力練習は、陸上長距離や水泳には重要です。高地トレーニングなどもあります。野球やゴルフに必要なのは、やや違った持久力でしょう。

高校の野球部の練習に、
「下半身を鍛えるために走り込み練習が大事。練習の最後は、グランド5周走」
なんてメニューがありました。ただ5周走ることは、持久力を鍛えるのか、瞬発力を鍛えるのかわかりません。野球の特性を考えれば、全力に近い走りを何本か走るレピュテーショントレーニングが有効でしょう。

要は、種目の特性にあった持久力をつけることです。仕事そのものに、心肺機能を高めた持久力は不要でしょう。しかし、長時間にわたって正しい姿勢を保つこと、集中力を保つなど別の持久力が求められます。精神的な持久力がもっと大切かもしれません。

まとめ

最も非効率な練習は、技術習得、再現性習得、瞬発力向上、持久力向上を区別せずに長時間続けることです。取得したい技術や習得したい体力など目的ごとに練習することが、効果的であり効率的です。

効率的なスポーツ練習、技能習得には、
1)その種目(仕事)の特徴、技術を理解する
2)ゆっくり正しくやってみる(技能習得)
3)繰り返してやってみる(再現性習得)
4)スピードを上げる(瞬発力習得)
5)持久力をつける
の5つのステップがあります。このステップを意識して練習することで、スポーツ練習、技能訓練の効率を高めることが期待できます。

参考記事:同じ失敗を繰り返す人や組織の「経験しても成長しない」という共通点

「今更やめられない」という「サンクコストの呪縛」から逃れる3つのステップ

 

この記事を書いている人 - WRITER -
長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
スポンサーリンク




スポンサーリンク




Copyright© 改革志向のおっさんブログ , 2021 All Rights Reserved.