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「自分は不幸だ」と思っている人へ、「幸福」と「成功」は違います!

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「自分は不幸だ」と思っている人へ、「幸福」と「成功」は違います!

 

「自分は不幸だ」と思っている人へ、「幸福」と「成功」は違います!

「受験に失敗する」
「仕事がうまく行かない」
「パートナーが見つからない」
そんなことが続いて、「自分は不幸だ」と思ってしまう人がいます。しかし、考えてみて下さい。
「受験に合格する」
「仕事がうまく行く」
「パートナーを見つけた」
ことは、「成功」と言えるような事でが、「幸福」であるかどうかは、分かりません。よく、
「金持ちだからといって幸福かどうかわからない」
と世間で言われます。これは、多くの人が納得していることです。その日の食費にも困窮するほどの貧乏暮らしでも、後に振り返ると「幸せだった」と思われることもあります。
三木清という哲学者が書いた古い本(初版1941年)に「人生論ノート」というのがあります。その中に、
「成功と幸福、不成功と不幸とを同一視するようになって以来、人は真の幸福がなんであるかを理解し得なくなった」
と書いています。つまり、世間で多くの人が、幸福と成功とを混同してしまい、幸福がわからなくなっていると指摘しているのです。大切なのは、
「幸福と成功とは違う」
ということを理解することです。
「自分は不幸だ」
と思ったとき、単に「不成功」(失敗)が続いていることを「不幸」と思い込んでいないかと疑うことが重要です。
私が、「幸福とは何か」ということを説明できるほどの者ではないことを承知の上で、幸福とは何かを理解する3つのヒントをご紹介します。
1)幸福と成功の違い
2)最新脳科学が教える幸福にかかわる3つの物質
3)未来を考え過ぎることで不幸な気分になる
幸福については、多くの名著があり、特に「三大幸福論」とも言われるヒルティ、ラッセル、アランの「幸福論」は有名です。ページをめくると、どれも時代を超えた説得力があります。ただし、数学や物理学のように公式になるような因果律が存在しないことも分かります。この3つは、幸福を考える切り口の一つとして考えました。
なお、この記事は、岸見一郎著「三木清『人生論ノート』を読む」と樺沢紫苑著「精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法」を参考にしています。

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三木清『人生論ノート』を読む

幸福と成功の違い

世界幸福度ランキングというのがあって、最近はフィンランドが1位を続けています。(参考記事:【2023年最新版】「世界幸福度ランキング」なぜ北欧がいつも上位?調査方法や基準を解説)これは、各国約1,000人に対して、最近の生活に対する総合的な満足度を「最悪の生活」を0点、「最高の生活」を10点として11段階で評価したものです。回答者は、戦争がない、福祉が充実している、生活が豊かといったことを念頭に回答していると思われます。2位のデンマーク以下、上位を北欧諸国の国が独占していることをみると、長寿で福祉が充実し、物的生活レベルが高いような国が上位に来ています。これは、成功度ランキングであって、幸福度ランキングではないと思えます。幸福と成功とを混同しているようです。
幸福と成功の違いについて、いくつかの事例を挙げてみます。
1)幸福は、質的なもの。成功は、量的なもの
成功は、計ることができます。出世して地位が上がる。社長になったとして、年間売上1億円なのか、1兆円なのか。日本一か世界一かといった具合です。
一方、幸福は計ることができません。精々、
「あなたは、いま幸福ですか」
とアンケートを取って、何%の人が「幸福」と感じているかが分かる位です。人によって幸福と感じるか否かが違うため定量化は困難です。
2)成功は他人に嫉妬されるが、幸福は嫉妬されない
成功した人に対しては、嫉妬の目が向けられがちです。特に今まで同じレベルと思っていた人が、金持ちになったり、有名になったりしたケースです。(あまりにレベルが違うと「憧れ」になりますが)
ところが、幸福は本人がそう思うもので、嫉妬の対象にはなりません。幸福は、本人が勝手に「そう思っている」からです。

最新脳科学が教える幸福にかかわる3つの物質

「困難を乗り越えて達成した時」
「ギャンブルを続けて、やっとツキが回ってきた時」
「酒や薬物で得られる快感」
こんなとき、「幸福感」を得ることができます。「努力」「我慢」の結果として得られる幸福感もあれば、酒や薬物のように「安直」に得られる幸福感もあります。努力して得られた「幸福感」と、安直に得られた「幸福感」とを区別したいところです。ところが、残念にことに、どちらもドーパミンと言われる物資が脳内で分泌されて起きることで、区別はありません。(中野信子著「脳内麻薬」幻冬舎新書より)
三木清は、
「幸福と幸福感とは違う。薬や酒で得られるのは幸福感」
と述べていますが、脳内物質からみると、快感を与えてくれる物質は同じです。
現在、幸福感を与えてくれる脳内物質が3つ知られています。ドーパミン、セロトニン、オキシトシンです。これらが、分泌されている状態で、私たちは「幸福感」を得ることができます。(樺沢紫苑著「精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法」より)
1)セロトニン
体調がいい」「気分がいい」という身心が健康な状態にあるとき、セロトニンが分泌され爽快な気分が得られます。「セロトニン的幸福感」とでも言える状態です。
散歩や入浴などで「清々しい」「癒やされる」「リラックスする」「ホッとする」「のんびりできる」「安心、やすらぎ」といった気分のときは、セロトニンが分泌されているとのことです。セロトニンが低下気味の人は、感情が不安定で、イライラする怒りっぽいキレやすい状態となります。
2)オキシトシン
誰かと一緒にいて「楽しい」「うれしい」「安らぐ」といった状態のとき、オキシトシンが分泌されています。他者との交流、関係によって幸福感が得られます。セロトニンによる幸福感は自分1人で感じる感覚ですが、オキシトシンでは相手との関係で得られる幸福感とのことです。男女間、家族などの関係で生まれる喜びがオキシトシン分泌の効果です。
3)ドーパミン
思わず手を上げてガッツポースをしたくなるような「喜び」「楽しさ」「達成感」といった状態のとき、ドーパミンが分泌されています。成功の高揚により幸福感が得られます。ドーパミンによって得られる幸福感は、「成功」で得られるものです。
ドーパミンは脳を興奮させるので、「高揚感」が伴います。ドーパミンが分泌されるのは、何かを得たり、達成したりしたときだけではありません。酒や薬物、セックスでもドーパミンが分泌されます。安直に幸福感が得られる代償として「依存症」というリスクがあります。
4)3つの物質の関係
セロトニン、オキシトシン、ドーパミンが分泌されると幸福感が得られます。そして、継続することで、幸福という状態になります。樺沢氏は、その順番が大切であると述べています。確かに、酒や薬物でいきなりドーパミンを分泌させれば、その瞬間は幸福感を得られますが、継続することはありません。また、ドーパミンを求めていくと「依存症」(中毒)が待っています。
セロトニン→オキシトシン→ドーパミン
が正しい幸福感の構築順だとしています。

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精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法

未来を考え過ぎることで不幸な気分になる

何かを達成するとドーパミンが分泌され幸福感が得られます。しかし、実際は成功の絶頂で得られる幸福感より、その過程で得られる幸福感の方が大きいということがあります。これは、幸福感が達成したレベルではなく、その時から未来を見た時にレベルが上がっていく傾向にあるとき、より幸福感が得られます。貧乏のどん底でも、将来収入が増えると思えると不幸には感じません。逆に金を持っていても収入が減り、持ち金が減ることが予想されると不安な気持ちになります。数学的に言えば、微分値がプラスのときは幸福感があり、微分値がマイナスなときは憂鬱になります。
例えば、高度成長期の日本は、絶対値として現在と比べる豊かとはいえませんが、経済が伸び収入が増え続けていた時期であり、幸福感は今よりはるかに高いレベルでした。
今がダメでも、将来良くなることを思うと楽しくなり幸福感が得られます。しかし、もっと先のことを考えると不安がよぎります。将来を思った時、不安にならない人はいません。人は、いつか死の時がきます。地球温暖化をいくら心配しても、地球そのものが、数十億年後には太陽と一緒に死の時を迎えます。宇宙でさえ学者たちが「終わり」を議論しています。
何かを楽しんでいる途中で、あまり先のことを考えると楽しめなくなります。ほとほとの将来まで考えることが、幸福を得るコツだと思いませんか。

まとめ

幸福とは何かを理解する上で、3つのヒントがあります。
1)幸福と成功の違い
2)最新脳科学が教える幸福にかかわる3つの物質
3)未来を考え過ぎることで不幸な気分になる
この3つは、幸福を考える切り口の一つです。

参考記事:「やる気」の出る職場は、従業員満足度ではなく、従業員幸福度を上げてつくる

仕事で幸福感を得るには、マズローの自己実現欲求の上位から満たすこと

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