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仕事の指示トラブルは、「号令」「命令」「訓令」を理解することで解消

2022/02/03
 
ナポレオンのイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

仕事の指示トラブルは、「号令」「命令」「訓令」を理解することで解消

 

仕事の指示でトラブル起きる2つの理由

「指示した仕事をやっていない」
「指示したことと違うことをしている」
「どうするか、部下がいちいち尋ねてくる」
上司が部下に仕事を指示して、よく起きるトラブルの例です。「報連相」が悪い。「部下とのコミュニケーションが問題」などと言われます。広く言えばその通りですが、直接には「指示の仕方、指示の受け方」に問題があります。

仕事の指示でトラブルがおきる理由は、2つあります。
1)指示の様式に、「号令」「命令」「訓令」があることを理解していない。
2)指示内容を相手がどう受け取ったか確認していない
簡単にいえば、どこまで細かく指示したか、どこまで指示した相手が理解しているかを確認することです。ただ、細かく指示することが良いのではなく、指示を受ける人の能力、経験、性格などにより指示を変えるべきです。それが、「号令」「命令」「訓令」です。そして、指示したとき、指示された側が、この3つのどの様式の指示だったかを指示者と共有することが重要です。この記事は、管理職としての長年の経験と大橋武夫著「名将の演出」(マネジメント社)を元に書いています。


名将の演出―号令・命令・訓令をどう使い分けるか
 

指示の様式は、「号令」「命令」「訓令」

「これを午前中に郵便で送って下さい」
「これを明日夕方までに、先方に届けたいので頼みます」
A社から契約を取りたいので頼みます。これは契約書です」
これは、会社のある幹部が、部下に指示をした例です。1番目は、新入社員への指示。2番目は、2年目の社員への指示。3番目は、課長への指示です。1番目は、やるべきことを指示しています。2番目は、幹部の意思を伝えています。3番目は、目的を伝えています。

人を動かす指示には、3つの様式があります。

「号令」:
言われたことをそのまま実行すること。体育の授業で、「右向け右!」「全体止まれ!」が典型的です。
「この書類を午前中に郵便で送る」と具体的に指示する方法です。指示された側は、やったか、やらなかったかの責任を問われます。

「命令」:
指示者の意図を伝えて、指示すること。
「明日夕方までに、先方に届けたい」と指示者の意図があるので、いつまでに発送するか、郵便にするか他の方法にするか、速達にするかなど考える必要があります。結果は、相手に翌日夕方までに届いたかどうかです。

「訓令」:
指示者の目的を伝えて、行動を待つこと。
A社から契約を取りたい」いうのが、支持者の目的です。契約内容が相手の相手に受け入れられか、確実に届けられるか考えます。先方に持参する、書留にする、書類の追跡ができる方法でおくるなど考慮します。あるいは、相手の同意が取れれば、契約を電子契約にして、書類を送らない手もあります。

どの様式で指示するか、どの様式で指示されたか、指示者と被指示者とが理解する必要がります。映画やドラマで、動かない人物に
「これは、命令です」
とリーダーが、怖い顔で指示する場面があります。正確には、「号令」に近いものでしょう。受けた人物は、しぶしぶ指示に従うか、職を辞します。
指示者は、号令を出したのか、命令したのか、訓令したのか意識する。また、受け取り側は、どう指示をどう解釈したかが重要です。指示した当人は「命令」したつもりでも、受けた側は「訓令」と受けとめ、勝手に解釈した行動をしていることがあります。

ところで、指示するとき、「号令」にするか、「命令」にするか、「訓令」にするかは、相手の技量、経験、信頼等によります。経験のない新入社員に対して、「号令」が多いのは仕方のないことです。米国では、仕事を指示すると
「なんのためですか?」
とよく聞かれた経験があります。号令を嫌う文化があるのでしょう。逆に「指示待ち社員」は、号令思考です。部下のレベルを考え、「号令」から「命令」、「訓令」にかえていきたいものです。

先に上げた大橋武夫氏の著書では、無敵だったナポレオンが勝てなくなったのは、「訓令」が出来なかったからと述べています。高速で移動するナポレオン自身が率いる部隊は、最後まで勝ち続けます。ところが、彼の指示は「命令」であり、彼がいない部隊はうまく機能せず敗北していきます。もし彼が「訓令」で指示し、それに応える将軍がいたらフランスの最後は違っていただろうと述べています。「号令」で動く規模、「命令」で動く規模、「訓令」でしか動かない規模があることも述べています。



指示した内容を相手がどう受け止めたか確認する

指示するときに大切なのは、相手が指示した内容をどう受け止めたかを確認することです。指示をするとき、3つのステップがあります。
1) 言葉そのものが、相手に伝わったかの確認
相手に指示の反復をさせること。
「午前中に郵送すること承りました」等
2) 相手が、どう理解したかの確認
相手の理解したことを言わせる
「夕方までに相手に書類が届く必要があるのですね」
3) 相手が、どう行動するのかの確認
「いつまでに、どうします」と言わせること
あるいは、相手が行動できないことを確認する
「本日11時までに、郵便局に行き速達書留で送ります」
「本日他の業務で忙しく、どなたか他の方にお願いできませんか」等々

このステップは、号令、命令、訓令に共通するステップです。上司が訓令のつもりで、
「これを週末までに処理してくれ!」
と指示しても、部下が訓令であることを理解していないと「丸投げ」と感じます。部下が訓令と判断したら
「週末までに、こちらでやり方も含めお任せいただいたと理解してます」
などと、訓令であることを理解した返事を得ることが大切です。

 

まとめ

仕事の指示がうまくいかない理由は、2つあります。
1)指示の様式に、「号令」「命令」「訓令」があることを理解していない。
2)指示内容を相手がどう受け取ったか確認していない
簡単にいえば、どこまで細かく指示したか、どこまで指示した相手が理解しているかを確認することです。ただ細かく指示することが良いのではなく、指示を受ける人の能力、経験、性格などにより指示の様式を変えることが大切です。

参考記事:司が部下に仕事を丸投げする3つの理由とその対処法
リーダーと部下との間のコミュニケーションを改善する5つのポイント

 

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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