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日本にあるある、過剰な「同調圧力」による「スパイト行動」などの弊害

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

日本にあるある、過剰な「同調圧力」による「スパイト行動」などの弊害

 

過剰な「同調圧力」による「スパイト行動」などの弊害

「私も買うのを我慢しているのだから、あなたも我慢すべき」
と出費を渋る親やパートナー(財布を握っている夫婦のどちらかの人)。
「皆頑張っているのに、お前だけが有給休暇をとる気が知れん」
といって休暇を許さない上司。これらの行動を「スパイト行動」と言います。スパイトとは英語で「意地悪」の意味です。
職場や学校から家族まで日本の社会は、「スパイト行動」が満ちています。その背景には、日本では同調圧力が強く、他の人と違った言動をすると攻撃されがちだからです。また、他の人と違った言動をすることで攻撃されるのを恐れ、「過度な同調行動」をすることもよくあります。日本では、「出る杭は打たれる」という「スパイト行動」が起きることもあれば、「出る杭になりたくない」ということから、他の人と同じような言動をとろうとする傾向が強くあります。
能登半島地震の被災地を支援する自衛隊やボランティアが、映像としてマスコミなどで流れます。ところが、彼ら(彼女ら)が、食事や休息をする映像を流すことは、ひかえていると聞いたことがあります。
「被災者が避難所で苦労しているのに、自衛隊や支援者が普段と変わらない食事や休息を取っていることはけしからん」
との声が挙がるのを恐れているとのことです。災害現場に視察に行った国会議員が、避難所で被災者と一緒に食事をする場面をSNSに投稿して、批判を浴びたこともありました。
背景に強い「同調圧力」がある「スパイト行動」ですが、同調圧力も適度なものであれば、
1)互いに協力し合う
2)公平性を生み出す
といったメリットがあります。コロナ禍の中、自主的に皆がマスクをする。災害時に、略奪などの犯罪が起きず、避難所での混乱が起きないなど、日本的な良さの背景には、同調圧力があります。
ところが、同調圧力が過度に強いと、「自粛警察」「出る杭は打たれる」といったことが起きます。「いじめ」「パワハラ」なども過度な同調圧力が、原因となっているケースが多いようです。
過度な同調圧力による弊害を以下に挙げます。
1)個人としての言動がなくなる
2)不正確な情報伝達が起きる
3)不正が容認される
これらのことが「同調圧力によって弊害が起きる」ということを理解していれば、影響を小さくすることができます。
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個人としての言動がなくなる

過度な同調圧力は、「出る杭は打たれる」という諺の「出る杭」さえ打たれる前に無くしてしまいます。職場や社会で過度な同調圧力を意識すると、
「他の人と違ったことは、一切考えない。行動しない。」
という状況を作りだします。過度な同調圧力がある環境では、個人が自分の意見や判断を犠牲にしてまで、集団の意見や期待に同調しようとする傾向が強まります。その結果、独自の意見やアイデンティティを表現することが難しくなります。個人は集団の中で異なる存在であることに対する恐れから、自分らしさを抑制してしまうことがあります。
管理職の中には、「問題解決力」がないのに、「調整力」だけで、その地位を保っている人がいます。同調圧力に過度に対応して、自分自身の問題解決力を失い、同調をベースとした「調整力」のみが能力として残った結果です。
管理職の中途採用に応募されてきた方で、
「私の強みは調整力です」
と言われる人がよくいます。こんな方を採用するとなると、難しい選択を迫れることになります。

不正確な情報伝達が起きる

同調圧力が強いと、情報の伝達が偏りがちになります。上司や同僚にとって好ましい情報のみが伝えられるからです。また、場合によっては、事実に基づかない共通の信念や意見によって、情報が選別されたり変質されたりして伝えられる可能性もあります。
よく言われるように、マスコミやSNSで流れる情報は、「視聴者(閲覧者)が、見たいもの」を優先しています。この優先順は、世間や発信する側の同調圧力によって決まります。
当然のことながら、情報の受け手は、発信側に同調圧力がかかっていて、情報が偏っていたり、編集されていたりすることを承知しておくべきです。しかし、SNSの投稿などでは、情報発信者の情報を鵜呑みにしたり、すべて拒否したりしたものが目に付きます。

不正が容認される

過度な同調圧力があると、組織内で不正行為や不道徳な行動が起き易くなります。個人が倫理的な懸念を抱きつつも、同調のために不正な行動に従うことあるからです。
不正なことであると分かっていても、
「これまで、職場でしてきたことだから」
「不正を告発すると、同僚を裏切ることになるから」
といったことで、不正が続けられるケースがあります。しばしばマスコミに公表される、大手企業の不正検査やデータの改ざん問題での「言い訳」は、同調圧力が「不正の正当化」に繋がっています。
企業内の不正は、「不正のトライアングル」と呼ばれる、動機、機会、正当化がそろった時に起きます。つまり不正は、動機があり不正出来る機会(環境)があり、正当化(言い訳)がそろったときに行われます。このうち、同調圧力は、正当化の条件を提供してくれるということです。
よく問題になる「いじめ」や「パワハラ」も容姿や言動が、多くの人と少し違った人に対して行われます。「他の人と同じにしろ」との同調圧力が、スパイト行動になったものです。

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まとめ

日本には、強い同調圧力があります。過度な同調圧力は、
1)個人としての言動がなくなる、
2)不正確な情報伝達が起きる、
3)不正が容認される、
といったことを起します。これらのことが、「同調圧力によって弊害が起きる」ということを理解していれば、影響を小さくすることができます。

参考記事:「コンプライアンス違反」の防止対策と発生時の対応:コンプラ研修対策(その2)

「忖度」(そんたく)という日本的な習慣の持つ3つの危険性

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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