「なりたい姿」に向かって変えていく「改革志向」の意見満載

ビジネスの問題解決は、「問題」と「課題」の違いと理解することから始まる

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

ビジネスの問題解決は、「問題」と「課題」の違いと理解することから始まる

 

「問題」と「課題」の違いを理解すること

「課題は、売上が増えないことです。」
営業会議の冒頭で、ある社員がこんな発言をしました。続けて、
「商品に魅力がないことが問題です。」
と発言。その後、この社員A君は、「問題」や「課題」という言葉を盛んに使い、いろいろと解決策を提案するのですが、参加者の同意を得られません。そのうちに、
「何を解決したいための策か!」
と上司に一喝されてしまいました。(一喝したのは、私ですが。)
A君は、「問題」「課題」の区別できておらず、その結果提案する解決策が、バラバラな印象を与え、参加者の賛同が得られなかったのです。

A君の意見を整理すると、
1)現状、売上額が目標に達していない。
2)問題は、売上目標に対して、現状70%であること。
3)課題は、「商品の魅力」を上げること。そのためには・・・
ということです。
もしA君が、「売上高不足」という現状から、30%の売上高不足を問題として取り上げ、その解決のための課題として「商品の魅力向上」とし、そのための方策を提案すれば、会議参加者は、すっきりと理解できたはずでした。
辞書に載っている「問題」「課題」は、一般的には同じような言葉とされ、補足的に問題は「問いかけ」、課題は「処理すべき仕事」と記述されています。ちなみに、Welio辞書の説明では、
「問題と課題はどちらも『処理しなくてはならない問いかけや仕事』を指す語。特に問題は『答えを出すべき問いかけ』を指し、課題は『解決するべき出来事』を指す。」
とあります。
辞書では、あまり明確でない「問題」と「課題」の区別ですが、ビジネスシーンで使われるときは、明確に違います。いや、明確に違いを出すことで、解決策の作成・実行において効果を上げることができます。

英語で「問題」は problem、「課題」はchallengesです。片仮名で、「チャレンジ」というと「挑戦」という意味が頭に浮かびます。課題をチャレンジと言い換えると、より鮮明に問題との意味の違いを理解できます。
問題解決にあたり3つのポイントがあります。
1)「問題」と「課題」の関係を理解すること
2)「あるべき姿」を描くことで「問題」が見える
3)「なりたい姿」を描くことで「課題」が見える
これらを考慮することで、効率的で有効な問題解決が期待できます。

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「問題」と「課題」の関係

ビジネスシーンで使われる「問題」とは、「あるべき姿」(目標)に対して、「現状」との差(ギャップ)です。この問題を解決するためにすべきことが「課題」です。これを図にすると以下のようになります。
問題と課題

problems and challenges 

冒頭に挙げたA君の例では、目標の売上額に対して、現状は70%。この差が、「問題」です。問題解決のためには、商品の魅力や販売方法、納期などの改善が考えられ、これらが課題となります。

「あるべき姿」を描くことで「問題」が見える

問題解決に当たって大事なことは、「あるべき姿」を描くかということです。売上目標を極端に低くして「あるべき姿」にすると、問題はないことになります。非現実なほど極端に高い目標を「あるべき姿」にすれば、問題が大き過ぎて、解決策の糸口さえ見えないことになります。
大切なのは、「あるべき姿」を当事者が自主的に決めるということです。親会社や幹部から一方的に押し付けられたものは、現実と「あるべき姿」のギャップを素直に問題として感じられないということが起きます。
また、注意が必要なのは、自分で決めた「あるべき姿」であっても、思い込みや固定観念から決めたものは、自分(自組織)では「問題」でも、外部からみると「問題」ではないということが起きます。
例えば、デフレに慣れ切っていると、価格のあるべき姿を「毎年の値下げ」と思い込んでしまっているといったことです。インフレに慣れた国の人からみれば、問題にならない程度の値上げを躊躇していることが不思議に思えるはずです。
また、パワハラで上司が訴えられたとき
「この位のこと、特別なものではない
と思ってしまうのは、部下との関係における「あるべき姿」を自分が若い時の経験などから作ってしまっていることによります。

 

「なりたい姿」を描くことで「課題」が見える

これまで、日本の社会や会社では、「あるべき姿」と現実のギャップを「問題」と捉えることが推奨されてきました。そして、問題に対して
「なぜなぜ」
を繰り返すことで、真の原因に迫り解決していくということがなされ、生産性や品質を向上させることに成功してきました。これは、「ギャップ・アプローチ」と呼ばれる問題解決手法です。「ギャップ・アプローチ」は、製造業を中心として、日本の会社で広く普及しています。
しかし、人や組織が絡むと、やり方によっては、
「誰が悪いのか」
といた犯人捜しに終始してしまい、社内の人間関係まで損なうことがあります。また、海外の事例や先行する企業があると、明確に「あるべき姿」を描くことができます。しかし、手本のない新規事業やイノベーションを起す場合などでは、「あるべき姿」は描きようがありません。
そこで、「あるべき姿」と現状の差を「問題」として追及する「ギャップ・アプローチ」より、「なりたい姿」に向かう未来志向の「ポジティブ・アプローチ」の方が有効なこともあります。「ポジティブ・アプローチ」とは、未来の「なりたい姿」を描き、そこに至る「課題」を解決するというアプローチ方法です。「なりたい姿」と「現状」との差は、問題ではなく「課題」です。英語で言えば、「challenges」です。
「あるべき姿」からスタートすると、固定観念や常識にとらわれてしまいがちな目標設定も、「なりたい姿」から始めると自由な目標設定がし易くなります。
工場の安全管理や不要率の管理は、「あるべき姿」からのアプローチが適しています。私の経験ではありますが、拡販や新規事業、商品開発においては、「なりたい姿」をまず描くアクティブ・アプローチの方が、チームに活気や一体感が生まれ、うまくいくことが多いように感じます。

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まとめ

ビジネスシーンでは、「問題」「課題」は違います。これを理解しないで、問題解決をしようとしてもうまく行きません。
問題解決にあたり3つのポイントがあります。
1)「問題」と「課題」の関係を理解すること
2)「あるべき姿」を作ることで「問題」が見える
3)「なりたい姿」を描くことで「課題」が見える
これらを考慮することで、効率的で有効な問題解決が期待できます。

参考記事:「なぜなぜ」のギャップ・アプローチの限界とポジティブ・アプローチ

「あるべき姿」を実現する「バックキャスティング」を使う3つのステップ

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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