職場にいる「怒りっぽい人」に対処するための3つのポイント
職場にいる「怒りっぽい人」に対処するための3つのポイント
職場にいる「怒りっぽい人」に対処するための3つのポイント
「ちょっとしたことでキレる人」
「いつも怒っていて部下を萎縮させている上司」
職場にこんな人がいませんか。「怒りっぽい」と言われる人です。周囲は、いつもハラハラ、ドキドキで、腫物に触るような接し方をするのですが、一向に改まることもありません。
かつて私の職場に、こんな「怒りっぽい班長(グループリーダー)」がいました。部下に対して、何かと文句をつけては、怒鳴ります。彼が、怒ることは一々ごもっともなことで誰も反発できません。部下達は、班長に対して萎縮してか、普段から元気がありません。見かねた上司である課長が、班長に
「もう少し優しく部下に接するように」
と注意しました。しかし、
「現場のことは、現場に任せてください!」
と言われ、課長も「そんなものか」と、班長を放置していました。ところが、この班長の下にいた若手社員が、次々に会社を辞めていく事態が起きました。退職理由を聞くと、
「やりたいことがある」
などと言っていたのですが、真相は「班長との人間関係」、つまり「怒りをぶつけてくる上司の下では働きたくない」ということが判明しました。怒りっぽい班長を放置したことで、大切な若手社員を精神的に追い込み、退職までさせてしまった例です。
「怒ること」は、周囲に対して不快感を与え、大きな精神的圧力をかけます。時には物理的にモノを壊したり、人を傷つけたりすることもあります。しかし、一方で「怒り」は、行動のエネルギーを生み出すこともあります。
「怒り」に関しては、アンガーマネジメントと言われる怒りをコントロールする手法があります。アンガーマネジメントは、心理療法の一つとされ「怒り」のコントロール方法を示してくれますが、「怒りっぽい人」にどう対処するかは、「冷静に対処する」「話し合う」「避ける」等々のアドバイスに留まっています。
職場にいる「怒りっぽい人」への対処法として3つのポイントがあります。
1)怒りっぽい人のタイプを知る
2)怒りっぽい人のストレス原因を探る
3)組織として対応する
この記事は、ある企業のパワハラ・セクハラ相談室に持ち込まれた案件を解決していく中で経験したことをベースに「怒りっぽい人」の対処法をご紹介します。
怒りっぽい人のタイプを知る
怒る人には、パターンがあります。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会が公表している「アンガーマネジメント診断」では、怒りのタイプを6つに分類しています。この中で、しょっちゅう怒っている「怒りっぽい人」は、公明正大タイプや博学多彩タイプが多いようです。このタイプの「怒りっぽい人」は、いつも「怒る理由」を探しているかのようです。慢性的に仕事のやり方、組織、特定の個人などに対して、その正義観や向上心から不満やストレスを感じていて、何か「理由」を見つけると怒るといったパターンです。
以下、参考までに日本アンカーマネジメント協会による分類を紹介します。あなた自身、あるいは周囲にいる「怒りっぽい人」は、どのタイプなのか当てはめてみてくだい。
1)公明正大タイプ(熱血柴犬)
正義感が強く、曲がったことが許せないタイプ。マナー違反や社会の規範から外れたことを見聞きすると怒りを感じやすく、人をジャッジしようとしたり、常に正そうとしたりして、物事に介入しすぎる面がある。
2)博学多才タイプ(白黒パンダ)
向上心があり、完璧主義な点があるため、物事に白黒をつけないと気が済まないタイプ。はっきりしないことや人に対してイライラしてストレスを溜めやすく、自分にも周りにも厳しくなってしまう傾向がある。
3)威風堂々タイプ(俺様ライオン)
自尊心が高く、自分の価値観や考え方に対して誇りを持っている。そのため、軽んじられたり、ネガティブな評価を受けたり、自分の思いどおりにならないことがあると不満を抱えてしまう。
4)外柔内剛タイプ(頑固ヒツジ)
表向きの穏やかな印象とは裏腹に、自分の意思や決めたルールを重んじるため、ほかの意見や価値観には目を向けない傾向がある。我慢強い一面があるが、度が過ぎたり自分のルールに反している物事と出会うとささいなことでストレスを感じることがある。
5)用心堅固タイプ(慎重ウサギ)
とても慎重派なので、人とも距離をとって、時間をかけて吟味し、交遊するタイプ。プライベートな領域にズカズカと無断で他人が踏み込むとストレスや怒りを感じる。
6)天真爛漫タイプ(自由ネコ)
自分の考えや感情を素直に伝えることができ、しがらみなく自由に行動したいタイプ。
意思表示をはっきりできない人や思いどおりに行動できない人に対してイライラしやすく、渋滞など他人によって行動が制限されるとストレスを感じる。
(以上、日本アンガーマネジメント協会「アンガーマネジメント診断」から作成)
怒りっぽい人のストレス原因を探る
「怒りっぽい人」は、何らかのストレスがあり、そこから「怒る」理由を見つけます。
ベースとして、「Aさんが嫌い」「自職場はなってない」「日本はダメだ」というような思いがあります。そして、ベースとして思っていることが、具体的な事例として現れると、「待っていました!」とばかりに「怒り」モードになります。
こんな人は、自分の中に「○○すべき」といった理想や価値観へのこだわりが強くあります。「こうあるべき」「こうするべき」はあくまで個人の理想やこだわりであって、すべての人に通用するものではないのですが、それが分かっていないということです。
ストレスの原因としてある「○○すべき」との思いは、怒りっぽい人自身も把握していないこともあります。アンガーマネジメントのプログラムでは、個人の理想やこだわりを探ることが行われます。
怒りっぽい人が「怒っていること」の後ろにあるストレスの原因を掴むことができれば、その対応もできるかもしれません。
組織として対応する
「怒りっぽい人」の対処法として、「距離を置く」とか「避ける」という手段もありますが、職場に同僚や上司としていたら、逃げようがありません。組織として対応することが、必要になります。「怒りっぽい人」や「怒りの対象者」に対するケアをすることになります。
「怒りっぽい人」のベースにあるストレスの正体が分かれば、対応できます。ところが、「女性が、この職場で仕事すること自体ムリ」などと思い込んでしまっているような例では、会社の方針と真っ向から対立してしまいます。個人として持っている「こうあるべき」「こうするべき」と国や企業の方針との差を修正してもらう必要があります。
「怒りっぽい人」のタイプが、公明正大タイプや博学多才タイプならば、案外自分の主張を修正することができることもあるようです。
「怒りっぽい人」の心理は、そう簡単ではないことが多いもの。場合によっては、プロフェッショナルなサポートを求めることも検討することです。カウンセリングやメンタルヘルスの専門家に相談することで、より具体的なアドバイスや支援を受けることができます。
「怒りっぽい人」に変化がなく、その対象者が大きなプレシャーを受け続けるなら、「怒りっぽい人」を他の職場に異動させる、あるいは怒りの対象者を異動させるといった最終手段があります。ただし、大切なのは、一方的に「怒りっぽい人」を攻撃したり、感情的になったりせず、冷静で理性的な対応を心がけることです。その為には、組織としての対応が求められます。
まとめ
職場にいる「怒りっぽい人」への対処法として3つのポイントがあります。
1)怒りっぽい人のタイプを知る
2)怒りっぽい人のストレス原因を探る
3)組織として対応する
「怒りっぽい人」は、何らかのストレスがベースにあり、怒る理由を探しています。このストレスを見つけることが重要です。