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意見の対立(コンフリクト)の解消には、利害の一致点を見つけること

 
コンフリクトのイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

意見の対立(コンフリクト)の解消には、利害の一致点を見つけること

 

コンフリクトの解消は、根本的に利害の一致があるかどうかによる

「経営者と労働組合が、給与額で対立」
「店舗を増やすかどうかについて、社内で意見が対立」
「離婚条件をめぐって意見が対立」
家庭、会社、社会において、様々な意見の対立があります。関係者の間での意見の対立や衝突のことをコンフリクト(Conflict と呼びます。様々な対立に対して日本人は、
「話し合いで解決すればいい」
と言いますが、「話し合い」は、残念ながら万能ではありません。ウクライナでの戦争、北朝鮮による拉致や核問題をみれば、「話し合いでの解決」が、難しいことを実感します。話し合いで解決するには、対立する双方で、根本的な利害の一致が必要です。いまのところ、ウクライナとロシア、北朝鮮と日本には、利害の一致点が見つかりません。それどころか、「話し合いをする」こと自体、一致していません。
コンフリクトの解決について、J・G・マーチ、H・A・サイモン著「オーガニゼーションズ」(ダイヤモンド社)には、以下のような4つの対処法がある旨を述べています。
両者が根本的に対立しているとき:
1)取引、2)政治的工作
両者が根本的に利害の一致があるとき:
3)問題解決、4)説得
いずれも、具体的には「話し合い」の形を取りますが、対立している内容について「利害の一致」があるかどうかで、コンフリクトの解消の形が変わります。
例えば、経営者と労働組合での賃金交渉では、組合は、「高い賃金」、経営者は、「安い賃金」を求めています。この場合の「話し合い」とは、妥協点を見つける「取引」です。どこまで、いっても利害は対立しています。ただし、取引を成立させることが、共通の利益になるので、賃金を決めることができます。ただし、どちらも「もっと・・・」という気持ちが残ります。
店舗を増やすかどうかは、「会社の利益を増やす」という共通の利害があり、「話し合い」でより良い案を見つけることができるかもしれせん。あるいは、どちらかのより良い案で、相手を説得することができます。結果として、両者は満足するはずです。
この記事では、コンフリクト解消の鍵である、「根本的な利害の一致」やコンフリクトマネジメントについて紹介します。


オーガニゼーションズ 第2版—現代組織論の原典

根本的に対立していても、利害の一致点が見いだせればコンフリクトは解消できる

賃金をめぐって対立する「経営者と労働組合」、領土をめぐって対立する「ウクライナとロシア」は、根本的に利害の一致がないように見えます。しかし、一致することを発見できれば、コンフリクトを解消できる可能性があります。
経営者と労働組合の間に、「雇用を守る」という一致点が見いだせれば、賃金について「取引」が成立するポイントがあります。終身雇用が慣例となっている日本では、経営者と労働組合が決定的に対立して、解雇やストライキに発展する例は稀です。
領土問題は、双方譲れないものです。しかし、「戦争は回避する」「これ以上戦争の犠牲者を増やさない」という一致点が見いだせれば、戦争回避や停戦の妥協ができます。
関係者が対立する場合において、しばしば「総論賛成、各論反対」が起きます。コンフリクトが生じたとき、ことさら「総論」を強調して、「取引」をしていくことが鍵です。
廃棄物処理場、自衛隊基地、公園などの建設に反対する声は、
「必要性は認めるが、ここに建設することに反対」
というものです。当局者の使う手法は、「総論」を強調することで解決を図ろうとします。総論を強調すると同時に、当事者間の「取引」であることを理解すべきです。総論を理解しない第3者が入ると、「取引」は成立しません。第3者は、しばしば「必要性を認めない」立場の人達だからです。各種建設問題で、こじれるのは、地元ではない人達が反対派に加わっているときが多いものです。「取引」に関わらない人達の間で、妥協点を見いだすことは困難です。

根本的利害の一致があるときは、コンフリクトマネジメントを活用する

「会社の経営方針をめぐる対立」
「離婚条件をめぐる対立」
このような対立があっても、「会社の利益を上げたい」「離婚しても子供の幸せを第一にしたい」といった根本的なところで一致していれば、「話し合い」で解決可能です。
コンフリクトが生じた場合、まず互いの「一致点」を確認することです。一致点が、確認できれば解決策を見いだすことができます。相手を納得させることもできます。
根本的利害の一致の状況があれば、コンフリクトマネジメントを実施して双方の関係をWin-Winとなるように進めることが可能です。
対立には、大きく3つの種類があります。
1)条件の対立
立場によって、重要視するものが違うことで対立が生まれる対立です。例えば、
コスト対品質、納期対品質、売上増対残業時間といったところです。
2)認知の対立
思考や価値観の違いが原因のコンフリクトです。同じ物事でも、人によって考え方、解釈が違います。これが原因で対立が生じることです。例えば、
理想対現実、印象対事実などです。
3)感情の対立
やっかいなのが、感情の対立です。表の対立点の裏側に隠れていて、対立している本人達も気づいていないことがあります。例えば、
表向きは、人事制度の改革に対する対立でも、その裏に、優越感対劣等感満足対後悔、愛情対無関心といった感情の対立が潜んでいることがあります。
コンフリクトマネジメントの解説では、コンフリクトの解消をする上で、対立を明確にすることが必要といわれています。そして、以下のような解消法があると紹介されています。参考記事:Senses Lab:「コンフリクトマネジメントとは?実現のための5つのステップや必要なスキル」
1)回避:コンフリクトの解消とは言えませんが、対立を棚上げ(回避)すること。
2)強制/服従:一方が力で相手を動かすこと。
3)妥協:取引。
4)協調:解決策を探す、説得すること。
この内、コンフリクトマネジメントで扱う(扱える)のは、「協調」というケースです。関係者の間に根本的な利害の一致がある場合です。
対立している内容を明確にし、互いに一致できることを確認できたら、コンフリクトの前向きな解消が期待できます。

まとめ

コンフリクト(対立)の解決について、J・G・マーチ、H・A・サイモンは、以下のような4つの対処法があると述べています。
両者が根本的に対立しているとき:
1)取引、2)政治的工作
両者が根本的に利害の一致があるとき:
3)問題解決、4)説得
ただし、両者が根本的に対立していても、なんらかの「利害の一致」があれば、取引や政治的工作で、コンフリクトの解消ができます。

参考記事:「同調圧力」がつくる、日本にあるある「世間のルール」の特徴と対処法

理想のリーダーは、万能選手ではなく、自分のスタイルを確立している人

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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