「部下の仕事を知らない」と言われないために、上司が部下の仕事について知っておくべきポイント
「部下の仕事を知らない」と言われないために、上司が部下の仕事で知っておくべきポイント
上司が部下の仕事で知っておくべき3つのポイント
「課長は、部下の仕事が分かってないし、分かろうともしない!」
「異動してきた上司は、1年以上経つけど、いまだに皆が何で忙しいのか分かっていない!」
そんな不満を漏らす部下たちがいます。上司が無能という訳ではありません。むしろ、「できる」と言われる上司の部下が、
「上司は分かっていない」
と話すケースが多くあります。そんな上司は、部下の仕事が分からないというより、関心がないのです。部下の仕事を知ろうとしないということです。
部下がする仕事には、定型業務と否定型業務があります。決まったパンーンを繰り返すのが定型業務。その都度、やり方を決めてする仕事が非定型業務です。定型業務は、決まった人が決まった仕事をするということで、上司が関与することなく進みます。一方、非定型業務は、上司が分担や仕事のやり方などを指示することが多くなります。
上司が部下の仕事に関心が薄いのは、定型業務です。部下にまかせっぱなし、関心があるのは、結果のみということになりがちです。定型業務を主にしている社員にとってみれば、
「課長は、仕事を分かっていない」
とぼやきたくなります。
仕事が面白いのは、非定型業務をうまく処理したときです。優秀な上司なら、当然こちらの方が面白いと感じます。しかし、チームの生産性を上げる鍵は、いかに定常業務を効率的に処理するかです。また、非定型業務を定常業務に変えていくことが重要です。
定常業務を部下に任せっぱなしにして、生産性を上げることは困難です。なぜなら、部下だけで「仕事をやめる」「やり方を変える」判断が、できないからです。
上司(チームリーダー)は、部下の仕事について知っておくべきポイントがあります。
1)部下のしている仕事の目的
2)仕事のプロセス
3)部下のレベル
上司には、2つの大きな役目があります。
一つは、「自部署の成果を上げること」。部下の仕事の生産性を上げること。そのために部下のしている仕事の目的を知り、仕事のプロセスを知る必要があります。
もう一つは、「部下を育成すること」。部下のレベル(能力や性格)を把握することで、成長のために必要な仕事の分担や指導方法を判断することができます。
部下のしている仕事の目的が分かっているか
その部署のたたき上げの上司なら、部下のやっている仕事の経験があり、詳細まで知っているでしょう。しかし、より地位の高い上司であったり、他部署から異動してきた上司だったりすると、部下している仕事について、経験も知識もないというのが実情です。
チームとして成果出す必要のある上司は、まず部下のしている仕事を把握する必要があります。そのとき、重要なことは、部下の仕事の目的を確認することです。
新任の上司が部下に
「何の仕事をしていますか?」
と訊ねるでしょう。部下は、定常業務については、
「○○に関する事務処理」
「他部署との調整業務」
などと、一般的な表現で答えてしまいます。これだけでは、不足です。
「その仕事は、何のためにしているのですか?」
と一歩突っ込んで聞くことです。
ある新任課長が、部下に仕事をききました。そのとき、毎月資料を作成しているという社員に対して、
「何の目的で使われる資料を作っているのですか?」
と質問しました。すると、
「毎月、本社の管理部に提出するためです。」
と返事が返ってきました。そこで、その上司が、本社の管理部に問い合わせると
「かつては、従業員の就労管理資料として、必要としていましたが、今は代替えのデータもあって、その資料あまり使われていません」
という返事です。この資料は、既に目的を失っていました。この上司は、即刻作業をやめるように指示しました。
部下の判断だけで、長く続けている業務をやめたり、簡素化したりすることはできません。それが、できるのが上司です。上司は、部下のすべての仕事について、目的を理解し、今も適切であるかをチェックし続ける必要があります。
部下の仕事のプロセスを理解しているか
上司は、部下が仕事をしてどんなアウトプット(成果物)があるかには、関心があります。チームとしてのアウトプットの質と量が、リーダーの成果であり実績だからです。
しかし、そのアウトプットがどのようなやり方(プロセス)でなされたかについては、関心が薄い傾向があります。特に定型業務や直接売上や生産に結びつかない間接業務では、更に関心がなく、仕事を知りません。
どんな複雑な業務であっても、基本的な仕事のパターンは、
1)インプット
2)加工・組立
3)アウトプット
のプロセスです。
仕事の「プロセスを理解する」とは、製造業であれば、原材料としてどんなものを集め、どんな加工組立をして、どんな製品を作っているかを知ることです。更に細かく、原料のこと、加工組み立ての具体的な方法まで知る必要はないですが、製品作りの流れは、知っておく必要があります。
資料作りであれば、どこからデータを集め、どんなまとめ方をして、どこに提出しいるかといったところです。
ある時、上司がベテランの女性社員が毎月作っていた資料の作り方を聞いて、ビックリしました。各部署から、メールやエクセルシート、中にはFaxで送られてくる生データから数字をエクセルシートに転記して作っていたのです。エクセルデータとしてのアウトプットだけを見ていた上司は、そんな手間と時間のかかる作業をしていることを知りませんでした。上司が、資料作りのプロセスを知って、すぐ改善が図られました。
定型業務は、長いあいだ同じやり方が続き、部下は仕事に疑問を持つことがなくなっています。一度にすべての仕事のプロセスを見直すのは、無理として、順次見直していくことが、生産性向上に直結します。
会話をして部下のレベルを把握する
部下が行っている定型業務について、担当者のレベル(能力や性格)に合っているか把握することが大切です。
部下の能力に対して、仕事が容易過ぎれば、「飽き」がきます。簡単な仕事でも量が多過ぎれば、部下の「フラストレーション」となります。
定型業務は、たとえ仕事のプロセスが固定化していても、マニュアルの整備状況やスキルにより、担当者に与える負荷が変わります。
生産性を上げ、同時に部下を成長させるには、上司と部下とのコミュニケーションが重要です。
「もっと楽にできる方法はないか?」
「もっと速く終わらせるには?」
そんな業務改善に関する上司からの問いかけが有効です。どう答えるかで、部下のレベルがわかります。
問いかけの回答で、スキルアップが必要と感じた部下には、時間(習熟機関)と機会(教育や訓練)を与えます。仕事のやり方を提案する部下には、それを考えさせます。会話とその後の行動で、部下が成長することを期待できます。
まとめ
上司(チームリーダー)は、部下の仕事に関して知っておくべきポイントがあります。
1)部下のしている仕事の目的
2)仕事のプロセス
3)部下のレベル
このポイントを押さえて、上司の仕事である、「自部署の成果を上げること」「部下を育成すること」の2つが達成できます。