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購入契約を取るためのクロージングにおける3つのポイント

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

購入契約を取るためのクロージングにおける3つのポイント

 

クロージングで、相手に決断をさせる3つのポイント

「何か月のお客様に通いつめても、なかなか受注できない」
「契約寸前で、いつも先延ばしされる」
相手が企業であれ、個人であれ、商談の最終段階(クロージング)が決まらないと、こんな風に商売になりません。
ある電子材料を販売する会社の営業に配属されたA君の話をご紹介します。A君は、お客様に頻繁に通っています。しかし、なかなか契約がとれません。落ち込むA君に対して、上司が、
「簡単に契約が取れるものではない。努力を続けなさい」
と励まされていましたが、いくら経っても結果が出ません。一方で、同期が次々と契約を取り、そのたびに焦りがつのります。彼は、上司に
「お客様に丁寧な商品説明を行い、商品を買うメリットも伝えているけど契約がとれません」
と報告しました。そこで、見かねた上司がA君に同行し分かったのは、「クロージングができていない」ということでした。
ビジネス用語としてのクロージング(closing)は、単に「終わり」や「締め」の意味ではなく、商談の最終段階で顧客と契約を締結するプロセスです。
一般に商談のプロセスは、4つのステップがあります。
1)信頼関係の構築
2)ニーズの正確な把握
3)自社のモノやサービスの提案
4)クロージング
クロージングの最終目標は、買ってもらう(契約を取る)ということです。
例に挙げたA君には、そもそもクロージングのステップがありませんでした。彼は、自社の商品を十分説明したら、お客様が自然に契約の決断をしてくれるものと思っていたようです。クロージングがないために、
1)お客様の契約に対するモチベーションが下がる
2)うやむやになって、忘れられる
3)競合他社を選ばれてしまう
といったことが起きていました。お客様に、自社のモノやサービスの提案と説明をした後、適切なクロージングを行なうことで、お客様に購入(契約)の決断をしてもらえます。
クロージングには、3つのポイントがあります。
1)相手に決定権があること
2)購入する理由を提供する
3)期限を意識させる
これらは、人が決断する条件です。「決断しなければならない」「選択したことが正しいと確信する」「決断期限がある」ことで、人は決断せざるを得なくなります。クロージングの過程で、これらのポイントを意識することで、お客様に購入(契約締結)の決断をしていただけることが期待できます。

 

相手に決定権があること

お客様が相手の商談ならば、その場で購入を決断してもらえます。この場合でも、
「家族に相談してから」
といった状況もあります。決定者とは、お金を持っている人でもあります。子供用の自転車購入や習い事の決定権は親が持っています。
企業相手の商談では、商談している相手が、実は決定権を持っていないことが、よくあります。クロージングの場面で、是非決定権を持っている方に出席をお願いしたいところです。それが出来ないとき、どう決定権のある方に繋がっているかを確認することが大切です。
「この購入案で、上司の決裁を受け決まる」
「この案で稟議書を回して決まる」
「経営会議に出して決まる」
といったことを相手に確認し対応することです。
また、会社等の組織では、購入金額によって決裁権が変わることが一般的です。課長クラス、部長クラス、役員クラスでは、決裁できる金額に差があります。相手にどの程度の金額なら決定権があり、それ以上は、「誰が決めるのか」を知って対応することが大切です。
もっとも、決裁権があっても原資となる予算枠を持っていなければ、クロージングできません。相手側に金があるかどうかは、商談に入る前の見極めが必要です。最後になって、お客様にお金がなく、契約不成立となるケースもあり要注意です。

購入する理由を提供する

人が、購入を決断する場合、その決断が正しいかどうか不安がつきまといます。
「この選択は、正しい決断である」
と確信が持てる理由を提供することです。
また、クロージングの段階にきて、お客様に
「いかがですか?」
「どうですか?」
「もしよかったら.」
「考えておいてください」
こんな言葉を決断しようとするお客様に使ってはいけません。買うかどうか迷っている相手に、こうした言葉を使うと一気に不安にさせ商談プロセスを逆戻りさせます。最悪、買うこと自体をやめてしまうことが起きかねません。クロージングの段階では、相手に不安を持たれないように、自信をもって提案を言い切ることが大切です。
また、企業相手の商談では、交渉相手の方が社内で説明できる「決断(選択)理由」を提供することが大切です。特に従来から付き合いのある会社からの切り替えをお願いする場合には、社内の誰しもが納得する理由が必要です。
「今度契約する会社は、価格や納期で優位性があります」
といった理由ぐらいでは、社内から
「その位の差なら、既存の契約企業と交渉すれば、応じてくれる」
という反論がでかねません。これに耐えるだけの理由を提供する必要があります。
また、契約を決断される方は、
「新規の企業から購入しようとするとき、『個人的利益につながる何かがないか』と疑われたくない」
との防衛本能が強く働きます。その結果
「自分の判断は、社内の誰がみても合理的である」
との思いが強くあります。自分が、「交渉相手の立場で、どう社内説明をするか」をイメージして購入理由を提供することが有効です。

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期限を意識させる

人は、明確な期限がないと決断しにくいものです。商談において、
「いつ決めてもらえますか?」
と迫りたくなります。テクニックとして、相手の決断しなければならない重要なイベントを聞き出すことが重要です。
「予算が失効するので、今年度中に購入したい」
「子供の運動会までに買いたい」
といった相手の都合が分かれば、交渉を進め易くなります。
企業との商談では、部内会議、経営会議、取締役会など重要な決定権のある会議の日程を訊ねることです。これらの会議は、定例会議としてあらかじめスケジューリングされています。
「次の経営会議が、来月初めにあるので、それに合わせて進めましょう」
などと、暗に相手に期限を設定させる提案をして効果を上げた経験があります。
ダイレクトに
「○○月末をもって、キャンペーンが終了します。」
のように、期限によって価格や契約条件が変わることを示すことは、良く使われるテクニックです。
手段は様々ありますが、クロージングでは、お客様に決断の期限を意識してもらうことが大切です。

まとめ

お客様に、自社のモノやサービスの提案をした後、適切なクロージングを行なうことで、お客様に購入(契約)の決断が得られます。
クロージングのポイントは、3つあります。
1)相手に決定権があること
2)購入する理由を提供する
3)期限を意識させる
これらは、人が決断する条件です。「決断しなければならない」「選択したことが正しいと確信する」「決断期限がある」ことで、人は決断せざるを得なくなります。

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