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「買いたいものがない」という消費者心理を突き崩すのに必要なこと

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「買いたいものがない」という消費者心理を突き崩すのに必要なこと

 

「買いたいものがない」日本人

日本では、長くモノが売れない時代が続いています。長く経済が低迷し、個人所得が下降線をたどっていることに大きな原因があります。しかし、それだけではないようです。
今の日本人には、
「買いたいものがない」
というのが、本音ではないかと思えます。コロナで配られた給付金も使われずに預貯金に回ったとの調査結果もあります。(「特別定額給付金10万円の使い道は?~コロナウイルスに関する消費者調査」

また、給付金だけでなく、ボーナスの主な使い道は、㈱ロイヤリティ マーケティングの調査「第53回 Ponta消費意識調査」によれば、預貯金が34.8%、宿泊付き旅行7.8%、食品6.4%、外食5.1%と続きます。車や家電、衣料品などは、ランク内に有りません。
ある程度年齢がいくと、住居も含め、大抵のものを所有していますので、「買いたいもの」が少なくなるのはわかります。ところが、若者でさえ、「買いたいもの」がないというのが実情です。
消費が低迷しているのは、人々に「お金を出して買いたいもの」がないことが、根本の問題ではないでしょうか。消費したくなる「モノ」「感情」をかきたてないと、いくらお金をバラまいても意味がありません。人々は、
「何が欲しいのだろうか?」
「どうしたら売れるのだろうか?」
こんな疑問について、2つのヒントが浮かびます。
1)プチ贅沢品
2)「損をしたくない気持ち」をくすぐる
欲しいものがなく、さらに収入も増えないとなれば、人々の心理は消費よりも節約に向かいます。今は見つからないけれど、「いつか欲しいものが見つかったらそのときに買えばいいので蓄えておく」との心理を突き崩す作戦が必要です。この2つのヒントが、それかも知れません。


こうすれば絶対よくなる! 日本経済

若者は何にお金を使っているの?

かつては、就職した若者がローンを組んででも車を買う、高級なオーディオ、カメラ、海外旅行とまとまった金額の買い物をしていました。20年前、30年前とほとんど給与が変わらなくても、大抵のものは当時より安く手に入ります。音楽(CD→配信)、パソコン、格安航空券、格安の衣類にファーストフード。消費はしているのですが、車やスマホ関連以外、かかる金額が下がり、若者が消費の原動力になっていません。

「若者が何を買っているか」のインタビュー記事にこんな声がありました。(「”モノを買わない若者”は一体何にお金を使うか」より)以下、記事の中にある若者が語った言葉です。
「高額なものを買ったり、外食したりすることはほとんどなく、コンビニではよく買い物しているから、小さな出費が積み重なって、気づいたら結構な額になっていることが多いです。」
どうも、何かを所有したいと思って、まとまったお金を使っているわけではなく、インフラである通信費、映画やライブといった「体験」に使う。そして普段は節約派だけどコンビニでは「チョコチョコ買い」をしているのが実態のようです。

節約派の人も買う「プチ贅沢品」

若者のインタビューに出てくる「チョコチョコ買い」に「売れるもの」のヒントがあります。

生活費を切り詰める人が多い中、不思議なことに小さな贅沢品が売れています。有名料理人やレストランが監修したプレミアム食品やプレミアムデザートです。少々値段は高めですが、「プチ贅沢」な商品が人気です。他にもプレミアム食パン、プレミアムビール、ちょっと贅沢なランチ等々が売れています。
一般的には、生活が苦しいと贅沢品を切り詰め、必需品に回すというやり方で生活水準を切り下げると考えられます。ところが、不況期に安価な贅沢品の消費が増大することもめずらしくありません。生活が苦しくなると、真に必要なものよりも、それを紛らわせるものに人はお金を使うかのようです。
米国には、「フードスタンプ」と言われる低所得者に対する食糧品に関する生活保護があります。今は、月100ドルほど支給されているとのことです。米国で生活していた頃、スーパーマーケットで、「フードスタンプ」を使う人を見かけました。(支払い時にチケットや専用カードを提示するのでわかります。)買い物カートには、生きるために必要な食品というより、肥満を増長させるだけの様々な炭酸飲料、スナック菓子、ケーキなどが山盛りです。これらも、彼ら(彼女ら)にとっての「プチ贅沢」かも知れません。
売れない時こそ、より安いものより、「プチ贅沢」なモノやサービスを提供することの方が、買わせる効果がある可能性があります。

「損をしたくない気持ち」をくすぐる

日本では、長い間デフレが続き、様々なモノやサービスに関して、
「安いことが当たり前」
になっています。その結果、これといった「買いたいもの」がなくなってしまいました。
「買いたいもの」がなく、更に直近のコロナ禍や物価高で節約モードも強まる中、どうすればモノやサービスを売ることができるか、各企業は悪戦苦闘しています。
1つのヒントは、「損をしたくない気持ちをくすぐる」ことです。
「買わないと自分だけ損をする」
「今買えばトクだ」
と思わせるコマーシャルが流れ、それなりに売れています。欲しいモノがなくても、
「今回ご購入の方に限り、2つ目はタダ!」
「今月は、お買い物ポイント10倍!」
と聞くと、人は「買わなければ!」と落ち着かなくなるものです。それが欲しいから・必要だからという理由ではなく、その損得の権利を享受するために、さほど必要がなくても無理やり買おうとする心理です。
もらえるポイントが増え、更にポイントに期限があれば、付与されたポイントを消費するために再度購入する人がでてきます。その際の支払いにもポイントが付くと、ポイントの無限ループで、もはや失効しても構わないと諦めない限り、永遠に消費を促せます。
「GoToトラベル」の期間中、「旅行に行きたい」というより、
「ほかの人がトクをしていると聞いたから、自分も行かないと損だ」
という心理を突いて、多くの旅行者を呼び込みました。
インフレの時代、「今買わないとそのうち値上がりする」という心理が働き、不動産を始め多くのモノが売れました。同じ値上げでも、突然ではなく、3か月先、6か月先の値段を予告することで、「損をしたくない気持ち」をくすぐります。
「買いたいものがない」消費者の心理が強い中、商品を変えるより、買うきっかけを探す方が重要です。買わざるを得ない状況、買わないと損をする心理を引き出すことです。

 

まとめ

消費が低迷しているのは、「お金を出して買いたいもの」がないことが、根底にあります。消費したくなる「モノ」「感情」をかきたてる、2つのヒントがあります。
1)プチ贅沢品
2)「損をしたくない気持ち」をくすぐる
欲しいものがなく、さらに収入も増えないとなれば、人の心は、消費よりも節約に向かいます。今は見つからないけれど、「いつか欲しいものが見つかったらそのときに買えばいいので蓄えておく」との心理を突き崩すことが必要です。

参考記事:「プライミング効果」を利用したマーケティングと目標達成

最強の差別化戦略とは、マーケティングの4Pのうち「プレイス戦略」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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