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職場における「属人化」が起きる3つの理由とそのリスク対策

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

職場における「属人化」が起きる3つの理由とそのリスク対策

 

「属人化」が起きる理由とリスク対策

Aさんに聞かないと、何がどこに置いてあるかわからない」
Bさんが不在なので、顧客の問い合わせに答えられない」
職場で、しばしば出会う光景です。こんな状態は、「属人化」とか「属人的」と呼ばれます。特定の人がいなければ、業務が遂行できない状態です。また、仕事が「属人化」すると、担当した人により、仕事の質やスピードに差が生まれます。
「属人化」は、
1)業務効率の低下:ボトルネックの発生、労働負荷の偏り、ミスの発見遅れなど
2)仕事のバラつきの発生:質やスピードの差
3)離職による知識・技術の流出:技術継承問題
などのリスクがあります。
「属人化」は、企業が組織として活動する上で、避けたいことです。しかし、
「Cさんの職人技があるから、大手メーカーが試作を頼みにくる金属加工屋」
「おかみさんに合うことが目的の客で、繁盛している店」
といった場合もあります。その人ゆえの付加価値が出せている状態は、むしろ「属人化」によるメリットが出ているといえます。
「属人化」は、多くのリスクがあり基本的には、避けるべきことです。しかし、その人に他の人が到底及ばない技術や人間的魅力があれば、メリットとして活かすことも必要です。特に従業員の少ない中小企業では、「属人化」のメリットを活用することで商売が成り立っていることが多いようです。ただし、「属人化」のメリットがあっても、そのリスクは消えません。リスク対策をしておくことが大切です。
「属人化」が起きる理由は、3つあります。
1)業務の標準化が進んでいない
2)人員配置と業務分担が偏っている
3)スター人材で業務が成り立っている
これらの原因を除いて「属人化」を防止する。あるいは、「属人化」のメリットを享受しながら、リスクの低減策を講じることが重要です。

「属人化」するのは、業務の標準化が進んでいない

「属人化」する大きな原因は、業務の標準化がなされていないことにあります。標準化(ルール化)をしていない、あるいは不十分な職場では、
1)人によって業務のやり方が違う
2)顧客や仕事の進捗などの情報が共有されない
3)モノやデータの保管管理が個人任せ
などの問題が生じます。その結果、個人によって仕事の質やスピードにバラつきが発生します。
「属人化」を防ぐには、業務規程、作業標準、作業マニュアルなど様々な標準やルールの作成が有効です。しかし、標準作りには、手間と時間がかかり、従業員数が少ない企業・職場では、
「口で伝えた方が早い」
「自分でした方が早い」
という状況に陥りがちです。標準を作りは、出来るだけ簡素化し、先輩や上司からの指導や訓練を重視した方が、脱「属人化」の実行性があります。勿論、
「マネして覚えろ」
だけでは、ダメです。要点をルール化し、標準(メモ)を共有して、「マネ」させることです。
「属人化」の防止は、特定の人が、「自分でしなくて済む」状況をどうしたら作り出せるかです。そのための標準化であり、マニュアル作りであると考え行動することが重要です。

「属人化」を防ぐ人員配置と業務分担

「その仕事は、担当が一人だけ」
そんな状況なら、嫌でも仕事は「属人化」します。一人しか担当者がいない職場では、その人が休めば業務は停滞します。嫌な話ですが、もし、その一人が不正を働いたら、だれも気が付かないことにもなりかねません。(私が、実際に経験した話です。)大企業において1つの職場に複数人いても、業務分担を細分化してしまうと、一人職場と同じ状況が生まれます。
職場には、複数人配置が必要であり、配置された人は、複数の業務を担当させることです。これには、一人が複数の業務を遂行する能力が必要で、そのための教育がかかせません。(製造現場では、「多能工」と言われています。)
一人の人が他人の担当業務をしない「属人化」は、その仕事が「難しい」だけの理由ではありません。
「その仕事をしたことがないから、Aさんにしてもらう」
といった、その業務の経験がないから「属人化」していることがあります。
ある会社の総務課で、業務をすべて書き出してもらうと60項目ほどの仕事がありました。そして、総務課7人全員にその仕事について「経験あり」「経験なし」に区別してもらいました。その結果、1番長く総務部にいる人でも6割しか「経験あり」業務ではありませんでした。平均では、一人あたり、3割の業務しか「経験」がないことが判りました。「その業務をしたことがない」から、特定の人に業務を回しているという現実もありました。
かつて、私のいた製品開発部門で、
「2人2業務制」
を実施したことがあります。これは、2人が2つの開発業務を担当します。2名がペアで、2つのテーマを持っています。一人が休暇や不在でも、相棒がいますので、急な問い合わせなどにも対応できます。また、一人よがりな「属人的」な動きを防止できます。
ちなみに3人、4人のグループ制での開発を試したことがありますが、人数が増えると無責任になる者が出てきて、2人制が一番効率的でした。ただし、2人の相性など別の問題に配慮が必要です。

スター人材で業務が成り立っている「属人化」職場のリスク回避

マニュアルを作成し教育をしたとしても、個人の素質や経験年数により、「属人化」が避けられないケースがあります。プロスポーツのスター選手や売れっ子芸能人などの人材がいることで、興行(業務)が成り立っているような場合です。「属人化」防止として、「次世代のスター選手」「芸能人」を見つけ、育てるのは容易ではありません。
スター人材で成り立っている場合は、「属人化」を強みとして、そのメリットを活かすことです。サッカーでは、「エースストライカーに球を集める」作戦が取られます。高校野球の「エースで4番」は、よくある例です。
一人のスター人材で業務が成り立っている店や職場であっても、「属人化」のデメリットとしてのリスクは同じです。
Aさんのスケジュール・業務負荷の把握」
「他の人がAさんの代行をする時のやり方」
といったことを職場で準備しておく必要があり、ルール化しておくことです。

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チームの生産性をあげる。―――業務改善士が教える68の具体策
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まとめ

業務の「属人化」により、
1)業務効率の低下
2)仕事のバラつきの発生
3)離職による知識・技術の流出
などのリスクが生まれます。「属人化」するのは、
1)業務の標準化が進んでいない
2)人員配置と業務分担が偏っている
3)スター人材で業務が成り立っている
からで、これを回避することが必要です。

参考記事:仕事の価値マトリックスからの「ムダ」な仕事の見つけ方

「エリート社員」をつくっても「エリートコース」はつくるな!

 

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