マーケティングにおけるトレンド(Trend)とファッド(Fad)の違いと注意点
マーケティングにおけるトレンド(Trend)とファッド(Fad)の違いと注意点
トレンド(Trend)とファッド(Fad)の違い
「トレンド」という言葉が良く使われます。X(旧ツイッター)では、ツイトレンドとして、ツイートしているキーワードのランキングを公開しています。
トレンド(Trend)は、名詞として使われると「傾向」「流行」「方向」という意味を持っています。(Weblio辞書より)Xで使われる「トレンド」は、とても短命で、むしろ「ファッド」という方がいいようです。ファッド(Fad)とは、一時的な流行で数か月の内に熱が冷めてしまうようなものです。Xでトレンドのランキングに登場するのは、大抵「ファッド」です。
マーケティングにおいて、流行を知り利用することで思わぬ成功があります。マーケティングとしては、ファッドではなく継続性のあるトレンドに乗ることが大切です。デジタル化や少子高齢化は、まぎれもないトレンドです。一方、物価高騰(インフレ)やサンマ不漁は、トレンドかファッドなのか判断が微妙です。
ちなみに、この何年かの流行語大賞をリストアップしてみます。ファッドというには、微妙なものもありますが、多くは紛れもないファッドです。
2022年 「村神様」 村上宗隆(東京ヤクルトスワローズ)
2021年 「リアル二刀流」「ショータイム」 大谷 翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)
2020年 「3密」 小池 百合子(東京都知事)
2018年 「そだねー」 ロコ・ソラーレ
2017年 「インスタ映え」
2016年 「神ってる」 鈴木 誠也(広島東洋カープ外野手)
2015年 「爆買い」
2014年 「ダメよ~ダメダメ」 日本エレキテル連合(お笑いコンビ)
これらを見ていると、マスコミやSNSは、ファッドにばかり注目することが分かります。
「人々は、直近で起きていることを過大評価し、ゆっくり起きていることを過少評価する」(アップルの創業者スティーブ・ジョブスの言葉との話ですが不明)
という傾向があります。
今起きていること、流行っていることに対して、マーケティンを行う上で注意すべき点があります。
1)持続性の評価しトレンドを見極める
2)ターゲット市場との関係を理解する
3)リスク管理
「時代の波」に乗ることは、商売をする上で大切なことです。この「波」がトレンドです。上記の注意点を考慮して、トレンドに乗りたいものです。
持続性の評価しトレンドを見極める
マーケティング戦略を立てる際、トレンドとファッドを区別し、その持続性を評価することが重要です。
トレンドは、長期間にわたって持続的に成長し、市場や消費者の行動に影響を与える方向性を示しています。この展望を見越しビジネスプランを策定することが大切です。
ファッドがトレンドに変化する場合
ファッドとして見ていたものが、トレンドに変化することがあります。以下のその理由を挙げてみます。
1)付加価値の追加と継続
ファッドと思われていたことに付加価値が追加されたり、社会から価値が見出されたりすると、流行が継続しトレンドに変化します。突然現れた歌手やお笑い芸人が、第2弾をうまく出したり「見た目派」から「実力派」に変わったりして、長く活躍するような例です。
また、ファッドが最初に登場した際には問題や不足があることがありますが、企業やイノベーターはそれを修正し改善することで、ファッドが顧客の要望に合致するように調整されると、それは持続可能なトレンドになる可能性があります。
2)拡散と普及
ファッドは、初期の段階でいわゆる「新しもの好き」に受け入れられ、その後口コミやSNSなどを通じて広まります。この拡散プロセスにより、ファッドが一般的なトレンドとなっていくことがあります。
3)産業や文化の変化
社会、経済、技術の変化に伴い、新しい需要や機会が生まれることがあります。ファッドがこれらの変化と連動している場合、トレンドに変わる可能性があります。たとえば、健康食品やフィットネスクラブは、健康志向の社会的な変化に合致して、トレンドになっています。
4)国や企業の支持
国や 企業の支持が、ファッドをトレンドに変える役割を果たすことがあります。SDGsやEVは、意図的につくられたトレンドです。「空飛ぶクルマ」が、トレンドになるかどうかは、国や企業の支持次第だと思われます。
ターゲット市場との関係を理解する
トレンドやファッドが、どんな市場セグメントに影響を与えるかを正確に把握し、それに応じた自社のターゲット市場を選定することが重要です。
ファッドは通常、一部の人々や一部の市場セグメントに現れ、一般的な価値や持続性が低いと見なされます。ところが、ファッドとしてみなされていた商品が、他の市場に移動することで継続し、トレンドになることがあります。
例えば、幼児向けの商品である「紙おむつ」は、市場を大人向け市場に拡大し、幼児向け以上に売れています。女性市場が主流であった「美白クリーム」や「日焼け止め」は、男性市場に進出しています。
リスク管理
ファッドは、短命です。トレンドのつもりで、ファッドに依存することは、ファッドが消えた場合、事業が困難に直面するリスクがあります。
流行しているものに対して、
1)ファッドかトレンドかの判断は正しいのか
2)ファッドがトレンドに変わる可能性があるのか
3)判断したファッドやトレンドが間違っていた時の対応
などの準備が必要です。
基本的には、「ファッドは無視」「乗れるトレンドには乗る」といった対応が無難な判断となります。
まとめ
ファッド(Fad)とは、一時的な流行で数か月の内に熱が冷めてしまうようなもの。トレンド(Trend)は、長く続く「傾向」や「方向」です。今起きていること、流行っていることに対して、マーケティンを行う上で注意すべき点があります。
1)持続性の評価しトレンドを見極める
2)ターゲット市場との関係を理解する
3)リスク管理
「時代の波」に乗ることは、商売をする上で大切なことです。この「波」がトレンドです。上記の注意点を考慮して、トレンドに乗りたいものです。