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中小企業における最強のDX人材は、「経営者自身」です!

2022/06/15
 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

中小企業における最強のDX人材は、「経営者自身」です!

 

DXが進まない理由は、「DXがわかってない」ことと「人材不足」

PCがあってもメールしか使うことがない経営者」
「リモート会議には参加できても、自分で主催・招待できない部長」
これが、日本の零細企業の実態かも知れません。DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル改革)を進めようと国を挙げて呼びかけても、中小企業・零細企業においては、IT技術がワープロレベルで止まっているような状態の会社が少なくありません。
日本企業のDXの取り組みについて、内閣府の調査があります。下記の表は、「令和3年経済財政報告書第2節」(内閣府)から引用したものです。

DX計画

DX situation in Japan

このように中小企業においては、DXを実践・検討中が3分の1程度です。しかも、内容は同資料よるとDXというより、アナログからデジタル化に移行する段階であるデジタイゼーションのレベルに留まっていると述べています。また、DXが進まない理由として、日本企業は、DXとはそもそも何かがわかっていない」「DX人材がいない」の2点が各種アンケート調査などから指摘されています。

中小企業、とりわけ小規模零細企業がデジタル化、そしてDXを進めるポイントがあります。
1)DXの人材は、経営者自身であると認識する
2)他社のDX事例から自社のDXを考える
規模に関係なく業務のデジタル化を進めDXに繋げることが、企業業績の低迷から抜け出す切り札になり得ます。この記事では、町工場がデジタル化・DXを進めた事例から得た内容を紹介します。

 

DXの人材は、経営者自身であると認識する

DXを進めようにも人材がいない」
そんな声を経営者から聞きます。DXで必要な人材とは、IT技術者であり、プログラマーであると勘違いしています。勿論DXには、IT技術者が必要です。しかし、DXとは、デジタル技術を使っての事業改革であり、IT技術者ではなく改革のプランナーが、まず必要です。DXでは、デジタル技術によって大きく仕事の効率を上げたり、新しいモノやサービスを生み出したりすることが期待されます。プログラマーなどIT技術者は、そのデジタル手法を知っているだけです。「なにをどう改革するか」は、事業そのものを知っている人、将来の会社ビジョンを持っている人がDXをプランニングします。中小企業で、事業を最も知り、将来を考えることができるのは、社長であり経営者です。つまり、「最強のDX人材は、経営者自身である」と認識することが大切です。
経営者がデジタル技術でどうしたいかハッキリすれば、IT技術はなんとかなります。社内の人材を教育に出したり、ネットからでも勉強させたりすることができます。漠然と教育するより、やりたいことが明確ですので、当事者は必要な技術を効率よく学べるものです。また、デジタル化をそっくり外注に出す手もあります。ただし、このときどんなIT企業を選ぶか注意が必要です。大きなIT企業の価格はバカ高いものです。パッケージソフトは、手ごろな価格で手に入りますが、そのあとの面倒をみてくれません。トラブルが発生すると大きな費用も必要です。

また、
「うちの会社には、DX人材がいる」
ということで、誰かにシステム導入、保守、ハード環境の管理を社内の特定の人に押し付けてしまうことにも注意が必要です。ある会社のシステム担当のAさんは、一人で仕事を抱え込み、そのせいか体調を崩し、そのまま退職してしまいました。その結果、システムを判る人が社内外におらず、トラブルに全く対応できないという事態に陥りました。これは、中小企業でよくある事例です。IT人材がいても、1、2名。それらの人に負担がかかり過ぎて、挙句の果ては退職されてニッチもサッチもいかなるという具合です。
内部技術者と外部のIT技術者をうまく組み合わせていくことが必要です。最近は、中小企業のDX、システムトラブル対策を定額のサブスク方式でサポートする会社も現れてきていますので、活用する手もあります。

 

他社のDX事例から自社のDXを考える

中小企業では、経営者自身が、DXのプランナーであると述べました。しかし、ITに必ずしも強くない経営者が、DXとして何をしたらいいのかわからないというのが本音ではないでしょうか。DXどころか、デジタル化に全く興味がなく、イラついている社員や社長後継者の方もおられます。そこで、お勧めは、他社のDX事例に触れ、経営者に提案をしていくことです。デジタル化で何ができるか、何が変わるかを実例で知ることです。
DX事例を参考にする3つのパターンがあります。
1)同業他社がやっているビジネスそのもの
2)同じデジタル技術が自社で使えないか
3)他社のDXを始めたきっかけが使えないか

同業他社がやっているビジネスそのもの

一番参考になるのは、同業他社が実現したDXです。ただし、これを経営者に紹介すると
「うちとは、○○が違う」
「資金状況が違う」
「うちには、人材がいない」
という話が返ってくるかもしれません。そこで、事例を活用するには、事例の会社との共通点を見つけることです。
「その会社も従業員数は同じぐらい、IT専門家はいませんでした。」
「その会社も地方の会社です」
「経営者は、わが社と同じ60代ですよ」
といった内容を並べてみてはどうでしょう。DX事例は、中小企業庁の白書などで紹介されています。参考になるのは、自社と同規模の会社がやっていることです。

 

同じデジタル技術が自社で使えないか

「ネット販売を初めて大いに売り上げを伸ばした。」
「顧客の分析をして、効率的なPR活動をした。」
といったDX事例は、業種が違っても自社で活かせる可能性のあるデジタル技術です。アマゾンのネット販売網やクラウドサービスAWSなど大規模で高度なデジタル技術は、すぐに模倣することは無理です。業種が違っても経営規模が同じなら、同じデジタル手法が使えないか検討できます。無料で手に入るデジタルサービスや公開されている技術は、大いに参考にできます。

 

他社のDXを始めたきっかけが使えないか

DX事例で、「きっかけ」は、意外に参考になります。
「2代目社長が、DXを進めた」
「補助金が使えるのでDXに取り組んだ」
「大学から声がかかった」
YouTubeで紹介していた」
DX事例やQCサークルの発表会では、ストーリーを成果に合わせて構成する傾向があり、本当の「きっかけ」がわからないことがよくあります。できれば、直接質問してでも「きっかけ」を知りたいところです。自社の周りにも同じような「きっかけ」があるものです。同じ「きっかけ」を求めて行動してみてはどうでしょうか。

 

まとめ

DXが進まない理由として、「DXとはそもそも何かがわかっていない」「DX人材がいない」があります。中小企業において、デジタル化・DXを進めるポイントは、
1)DXの人材は、経営者自身であると認識する
2)他社のDX事例から自社のDXを考える
ことです。規模に関係なく業務のデジタル化を進めDXに繋げることが、企業業績の低迷から抜け出す切り札になり得ます。

参考記事:過小評価してはいけない! DXを進めないと既存企業が消滅する本当の理由

職場におけるDX推進方法と「2025年の崖」「レガシーシステム」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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