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過小評価してはいけない! DXを進めないと既存企業が消滅する本当の理由

2021/10/15
 
DX怪獣のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

過小評価してはいけない! DXを進めないと既存企業が消滅する本当の理由

 

DXの影響を過小評価してはいけない本当の理由

アマゾンやウーバーなどDX(デジタル改革)を進めたIT企業が、シェアを伸ばし既存に企業に影響を与えています。ビデオ配信のネットフレックスは、米国のTV視聴時間で既存のTV局を上回っています。ネット広告の金額が、既存広告を上回っています。日本でもテレビを買うとリモコンにネットフレックスボタンがついています。下の写真は、我が家の2019年購入のTVリモコンですが、初めからネットフレックス直行ボタンがついています。

 

 そんなDXを進展させているIT企業を横目に
DXとは、一つの社会現象」
DXは、ネット企業の世界のこと、自社とは別」
そんな風に他人ごとのように考えるのか、DXに対してあまり危機感を持っていない経営者が多いように感じます。

かつてスーパーマーケットが登場し、町の八百屋、魚屋などは、壊滅状態になりました。家電量販店が台頭し、町の電気屋は数を減らしました。その家電量販店が、今やネット通販に追われる立場になっています。
新しいビジネスや商品が普及すると前時代の産業そのものが消滅します。DXによって生まれた新しいIT企業は、それまでの企業を消滅させる力を持っています。その破壊力は、従来の技術革新とは異なります。

DXが、既存企業を消滅させるほどの破壊力を持つ2つの理由があります。
1)DXは、新規需要を創出せず既存需要を食い尽くす。
2)DX企業は、初期投資後ほぼ無投資で無限に拡大できる。

これが、DXの本質的な怖さであり魅力です。これを理解すれば、DXを他人ごとと思うことはできません。DXを進めたIT企業は、今後じわじわと既存企業を消滅させていきます。これを、安易に規制することは、社会全体の利益を失います。DXという怪獣とどう付き合うかを全ての企業や組織が考え行動する必要があります。

 

DXは、新規需要を創出しない

DXで生まれているIT企業は、ほとんどがサービス産業です。製造業でDXが進められていることもカーシェアリングやIoTを活用したメンテナンスなど、製造業のサービス産業化です。DXによってサービスが充実し、利便性が高まっても需要そのものが増えるわけではありません。

かつて技術革新により自動車や家電の高性能化や価格低下があると、需要が拡大しました。ところが、アマゾンのネット通販が拡大しても、他のルートで売れていたものがアマゾン経由になるだけです。ネットフレックスが拡大しても、人の生活時間には限度があるので、他のメディアの視聴時間が減ります。かつてスーパーマーケットが、町の八百屋を消し去ったのと同じように、あらゆる依存のサービスがDXを進めたIT企業に食い尽くされる可能性があります。今、自分の商売、業界にアマゾンやグーグルがDXを武器に進出してきたらどうなるかを想像してみてください。「自社の既存のやり方では、とてもかなわない」と思うのではないかと思います。そして、共存することは、とても難しいDX怪獣だと思えるはずです。

 

DX企業は、初期投資後ほぼ無投資で無限に拡大できる

家電量販店が力を持っても、新たな出店をしなければ売上は伸びません。出店には、資金と労働力が必要です。これらには、限界があります。また、店舗数を増やしていくと、次第に好条件の場所がなくなり、投資効果が下がり出店が止まります。

ところが、DX企業は初期投資を終えるとその後は、ほとんど無投資で拡大できます。ネット通販を例にとれば、顧客が自分でPCやスマホを所有し、注文を拡大してくれます。もちろん注文が増えれば、システムや配送関連の追加投資が必要ですが、投資効率を下げるものではありません。(売上拡大投資で、投資効率が下がらないのを「DX」というべきかも知れません)

その結果、DX企業は、需要を食い尽くすまで拡大できます。その後は、DX企業間の争いです。世界のDXを進めたIT企業が、世界市場を寡占化していくことは、GAFAの例をみれば明らかです。

 

規制を続けてDXが進まなければ、日本のサービス業が、「農業」状態に陥る

かつてデパートが隆盛してくると百貨店法(1956年)、スーパーが出現すると大規模小売店舗法(1973年)そして、大規模小売店立地法(2000年)に形を変えて、市街地の商店街を守る法律が作られました。しかし、結果として各地にシャター商店街を防ぐことはできませんでした。いくら規制を作っても商売の合理性には勝てません。

商店街をシャッター街にしたスーパーと同様、DXを進めたIT企業は、小売業のみならずあらゆるサービス業に襲いかかります。ネット配信の影響で、テレビ放送も視聴率低下、広告の現象がおきています。日本のテレビ放送は、手厚い規制で守られていますが、確実にガラパゴス化の道を歩んでいます。英国のBBCは、番組制作会社と配信会社に分離され、配信会社はユーチューブやフェイスブックに成ろうとしています。ネット配信に参入し、個人との相互通信の道を探っています。

DXを進めたIT企業に対して、既存の企業や組織を守ろうと規制をより強固にしていくことは、日本全体が、農業と同じになることを意味します。戦後一貫して農業支援しても国際競争力は上がらず、農業収入は増えていません。食料自給率も低迷したままです。マスコミで、高級果物、和牛など輸出ができるほど輝くものもあると時折紹介されますが、農業全体として明るい未来は描けていません。同様に日本のGDPの72%を占めるサービス業(内閣府2018年度)が、「農業」状態に陥ります。

まとめ

DXを進めたIT企業は、既存企業を消滅させる力を持っています。その破壊力は、従来の技術革新とは異なります。
DXが、既存企業を消滅させるほどの破壊力を持つ2つの理由があります。
1)DXは、新規需要を創出せず既存需要を食い尽くす。
2)DX企業は、初期投資後ほぼ無投資で無限に拡大できる。
これが、DXの本質的な怖さであり魅力です。DXを進めたIT企業は、今後じわじわと既存企業を消滅させていきます。これを、安易に規制することは、社会全体の利益を失います。DXという怪獣とどう付き合うかを、全ての企業や組織で考え行動する必要があります。

参考記事:職場におけるDX推進方法と「2025年の崖」「レガシーシステム」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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