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DXに繋がるCX(顧客体験価値)戦略の立て方のポイント

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

DXに繋がるCX(顧客体験価値)戦略の立て方のポイント

 

「買うこと」自体が楽しくなるCX戦略

「きれいな陳列棚にならんだ様々なケーキ。そして選んだ品を、笑顔の店員さんが綺麗な箱に入れ、手渡してくれる店」
こんな店でケーキを買えば、食べる前にもう楽しさが溢れてしまいます。
車を買い替えようと、気になる車メーカーの公式サイトにアクセス。他社の車も含めた車種比較、価格比較、納期、買った人の体験談など盛りだくさんのページが溢れています。見ていると、「自分の選んだ車がやはりいい」と確信が出てきます。そして、実際に試乗できるディーラー名が掲載されている。早速にこの店に行ってみたくなります。
これらは、身近で体験したCX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)戦略を意識した販売の例です。
モノやサービスを買ってもらうには、相手が消費者であれ、企業であれ、購入プロセスの中で経験するCXの満足度が大切です。特にモノやサービス自体に差が少ない場合、CXは売上に対して決定的な力を持ちます。購入の際、そのCXにいい印象を持った人は、また購入する可能性が高まります。また、CXにいい印象を持った人は、他の人に影響を与え、口コミ等で新たな顧客を呼びこむことも期待できます。
CX戦略を立て、売上を増やすためのポイントを3つ紹介します。
1)CXUXCSの違いを理解する
2)顧客起点で考える
3)データを使う
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル改革)の必要性が叫ばれています。アナログからデジタルへ、そしてデジタルテクノロジーを使って、業務改革や事業改革、新規事業を起こすことが期待されています。そんなDXのプロセスの中で、CXは重要な視点です。CX戦略を立て、実現することが、DXに繋がります。

 

CXUXCSの違いを理解する

CX(カスタマーエクスペリエンス=Customer Experience)を直訳すると「顧客体験」ですが、むしろ顧客が体験することによってもたらされる「感情的な価値」です。そこで、CXを「顧客体験価値」という訳語が当てられることがあります。
モノやサービスなど商品を購入する際、商品の発見(認知)、店舗・サイトへのアクセス、購買、さらに購買後のアフターフォローといった複数のプロセスが存在します。(この一連の顧客体験の流れを「カスタマージャーニー」と言います)。その個々のプロセスでの顧客体験を通じて生じる、「また買ってみたい!」「このブランドのファンになった!」「このお店に入るとワクワクする!」などといった、企業やブランドに対するポジティブな心の動きが、「顧客が獲得する価値」、すなわちCXです。
CXと似た言葉にUX(ユーザーエクスペリエンス=User Experience)があります。UXとは、例えば「店が便利な所にある」「車のホームページの応答性が良く、検索し易い」といったモノやサービスの購入や使用における個別の顧客体験です。つまり、UXはCXの構成要素と言えます。
コンピュータシステムで言えば、CXは「利用できるサービス」であり、UXは「システムの操作性」に当たります。システムが今ほど発達していなかった頃は、メモリ―容量や応答速度などUXの部分に注目せざるを得ませんでしたが、今は「システムとして何ができるか」といった総合的なCXに関心が集まっています。
もう一つ、CXと混同されやすい言葉にCS(カスタマーサティスファクション=Customer Satisfaction:顧客満足度)があります。モノやサービスに対して顧客が抱く満足度を表すのがCSです。CSは、アンケートなどを通して指標化さます。質問の内容にもよりますが、CSは購入したモノやサービスに対する満足度(対価に対する価値感覚)を中心に評価されます。最近は、CSの調査の際、購入プロセスに関しての質問が入り、CXの調査を含むようになってきています。

 

CXは、顧客起点で考える

CXを考えるとき、顧客を起点として考えることが重要です。先に挙げた車を更新する例では、メーカーのホームページをアクセスするとき、お客様は様々な理由をもっています。「現行と同じ車種から選ぶ」、「家族構成からみてこんな車がいい」、「このメーカーなら適当な車があるだろうなど」と思いながら、ホームページを訪れます。そして、「外観」や「内装」写真をみながら、「他の車種やメーカーにもっといいのがないか?」「価格や納期は?」「購入者の反応は?」と次々に疑問が湧きます。そのたびに、ネット検索することもできますが、メーカーのホームページから次々にクリック一発で情報が入れば、どんどん気持ちは購入に傾いていきます。しかし、やはり現物を見たい、試乗したいということになるかもしれません。このような顧客がモノやサービスに関心をもってから実際に購入に至るプロセスを「カスタマージャーニー」と言います。このプロセスが、顧客にとって楽しい、速い、簡単など快適に感じるのであれば、CXとして成功です。
モノやサービスの提供側が、顧客起点で「カスタマージャーニー」を考え、顧客が購入する際の利便性や楽しさを感じることができれば、CX戦略として成功です。そして、それはDXに繋がります。

 

データを使ってDXに繋げる

CX戦略とは、顧客を起点として「カスタマージャーニー」をたどり、商品の購入プロセスにおける利便性や楽しさをより多く提供して売上を伸ばすことです。しかし、個々の顧客が、どんなルートを通って購入に至ったか、どんな気持ちを持ったかは、とても複雑で調べるのは容易ではありませんでした。しかし、近年は顧客の行動、ホームページへのアクセス状況、アクセスルート、購買記録等々を集める手段があり、これらをビックデータとして貯めることができます。

小規模の企業や商店では、顧客リストや売上データさえそろっていないところがありますが、工夫次第でいくらでも集めることができます。
小さな店でも顧客カードを発行し、来店のたびに記録するだけで、顧客のリピート状況、購買傾向がつかめます。Googleのサービスを活用するだけで、ネット経由の顧客来店状況やアクセス傾向が判ります。
データを分析し、顧客の気持ちを推測、仮説を立ててアクションをとることで、更なる発展が期待できます。
DXの目指すところは、「データ駆動型経営の実現」と言われています。データ駆動型とは、経験や勘だけにたよるのではなく、データによって最新状況を把握し、近未来を予想しながら行動するという考え方です。CX戦略を使うのは、DXへの第一歩です。貯まったデータを目的にそって分析すると見えてくるものがあり、ビジネスに活かせるはずです。


DXの教養 デジタル時代に求められる実践的知識

まとめ

CX(カスタマーエクスペリエンス=顧客体験)の戦略をたて、企業業績を上げるには、ポイントがあります。
1)CXUXCSの違いを理解する
2)顧客起点で考える
3)データを使う
これらの先には、DX(デジタル改革)があり、デジタルテクノロジーを使って、業務改革や事業改革、新規事業を起こすことが期待されます。

参考記事:日本企業が、DXを推進するために乗り越えるべき3つの壁

過小評価してはいけない! DXを進めないと既存企業が消滅する本当の理由

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