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DXを進める時に陥る「コンウェイの法則」から逃れる3つのポイント

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

DXを進める時に陥る「コンウェイの法則」から逃れる3つのポイント

 

組織文化がシステム構造をつくるという「コンウェイの法則」

「コロナ禍で明らかになったDXが遅れた日本!」
「自社でどうDXを進めるべきか?」
今、DX(デジタルとランスフォーメション)を進める必要性が叫ばれています。しかし、システム化はしたものの、企業改革に繋がるような本当にDXのレベルに達していない例が多く見受けられます。これは、単に既存の仕事のやり方を電子化、システム化しただけに留まっていることが原因の一つです。
英国のコンピューター科学者メルヴィン・コンウェイが見出した「コンウェイの法則というのがあります。
「システムを設計する組織は、そのコミュニケーション構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう」
というものです。更に「逆コンウェイの法則」と言われるものもあります。つまり、「システム化した仕事が、その組織のコミュニケーション構造(考え方)を作ってしまう」というものです。DXを進めるにあたり、この法則の罠にかからないように自社の企業文化や考え方を見直すことが大切です。「コンウェイの法則」に陥らないで、DXを進める3つのポイントをご紹介します。
1)「コンウェイの法則」を理解する
2)「タテ割り思考」をやめる
3)DXを「階層思考」で考える

現状の仕事をシステム化する。すべての部署の要望を聞き入れてシステム化するのは、DXと少し違います。DXには、思想があるべきで、その一歩は思考法を変えることだと考えます。

 

「コンウェイの法則」を理解する

「コンウェイの法則」では、「・・組織のコミュニケーション構造をまねる」と表現されています。一番わかり易い例が、システム化するときその組織の従来からのやり方を踏襲するということです。「脱ハンコ」を目指して、決裁をシステム化したのに、「上司のハンコ」「上司のクリック」に変わっただけという例があります。決裁のやり方、伝票の処理ルートをそのままにして、システムの載せても効果を十分発揮することができません。そのコミュニケーション(決裁ルート)が、「何のためか」を良く理解していないとDXにはなりません。脱ハンコの例では、ハンコのもつ「本人(本物)確認」「内容を認めて認証」などの役目をシステムが効率的に果たすようになっていることが重要です。
一方、「良かれ」と考えて作ったシステムが、組織の考え方に影響を与えることもあります。これは「逆コンウェイの法則」と呼ばれます。
私の知るA社は、受注生産で顧客の問題を解析・対策を実施するというソリューションビジネスをしている企業です。この会社は、役所や企業を相手にした典型的なB to Bビジネスです。いろいろビジネスを受けるのですが、案件により大きな利益を得たり損失を出したりで業績が安定しません。そこでA社は、案件ごとに厳格に収益を管理しようとシステムを導入しました。元になったのは、工場などのプラントを作っているエンジニアリング会社のシステムです。受注した案件ごとにかかった資材費、人件費、固定費などを記録することで原価が計算されます。本社の経費など共通コストは、年初の予定受注額に応じて配分されます。このシステムにより、収益の良い受注、悪い受注が良く分かります。このシステムができて採算の悪い案件が淘汰され、収益の改善が図られました。ところが、数年が経過すると収益の改善は停滞、売上高は景気要因もありのでしょうが下落傾向です。気が付くと社員が極めて保守的になっていました。(これは、コンサルに指摘されたこと)社員が何か考えるとき、採算を先に考えるため挑戦的なことはしません。年初の予定受注額で共通コストが配分されるため、配分が増えるような高い受注予定を立てません。案件ごとの採算管理が、いつの間にか個人や各部署の採算管理になり、売上を増やすよりコストの配分ばかり気にするような体質になっていました。まさに「逆コンウェイの法則」を証明したような結果でした。

 

「タテ割り思考」をやめる

「脱ハンコ」システムの例のように、業務フローそのものを踏襲してしまう他に、考え方を踏襲してしまうことがあります。日本の役所や大企業においては、「タテ割り思考」というべき考え方が、しみ込んでいます。名刺には、「○○会社○○本部○○部○○室××係」が当然のように印刷され、思考法がそうなっています。営業は営業の立場と考え方、製造は製造の立場と考え方で動きたがります。会社全体の利益、顧客優先の考え方を持つのは、幹部の役目。一般社員は、自部署のことを優先する思想が染みついています。日本のDXとは、この「タテ割り思想」からの脱却といっても過言ではないと思います。
DXで行うシステム構築は、すべての部署に関わることを見つけ出し、課題として解決することです。例えばモノ作りでは、長年モノ作りをしてきた人の考え方が強いものです。しかし、そこにCADやシミュレーション技術、計測技術を持ち込む人が出てくると一つステップが上がります。さらに、お客様の情報が加わり、市場の情報が入るとDXと言える変化が生まれます。
社内にシステムを専門に扱う部署があると「システム室」まかせの仕事になりがちです。特に日本では、外部のシステム会社にそっくり委託することが多く、受けたシステム会社は、発注元から「タテ割り思考」の指示を受けてシステム構築します。役所では、システムはすべて外部の会社に発注されます。結果は、役所の発注部署の思想、つまり「タテ割り思想」がそのまま反映されています。デジタル庁が出来ましたが、役所のデジタル改革は「デジタル庁」という「タテ割り思想」になることを危惧します。
大学には、理学部や工学部、医学部などがありこちらもタテ割りです。今や生物学でも生理学でも金属学でも、電子顕微鏡やNMR、質量分析など物理解析機器とコンピューターシミュレーション全盛時代です。横の繋がりが、成果を上げる時代です。

DXを「階層思考」で考える

DXを進める上で、基本となるハードウエアとソフトウエアがあります。ハードで言えば、クラウドを含めたサーバーや通信環境でしょう。また、ソフトでいえば、OSなどでしょうか。そして、その上に個人情報、顧客情報があります。Googleの地図情報もこれに当たります。つまり、基本的なシステム情報が共有されると、その上層に様々なシステムが構築されます。
例えば、日本ではマイナンバーカードの普及が遅れていることが問題になっていますが、いち早く個人とナンバーを結びつけた国々では、個人番号を活用して、納税、社会保障、各種申請などをオンライン化させ成果を上げています。インドでは、各種申請や給付金の配布の他、ドローンの飛行許可を飛行直前にオンラインで取得できるようになるとのこと。インドの階層思想を取り入れたDX改革は、「インディア・スタック」と呼ばれるオープンAPIがベースになっています。(参考記事:オープンAPI「インディア・スタックとは」
企業のDXを考えるとき、クラウド利用のハードや通信環境の上に、ベースとなる従業員情報、顧客情報、設備情報、原料・製品情報があり、更に市場情報や競合情報を重ねるような階層が考えられます。これらの階層構造を利用して、「顧客サービス」「コストダウン」等を目的としたシステムを効率良く構築する「階層思考」を実践することが期待されます。


DXの思考法 日本経済復活への最強戦略 (文春e-book)

まとめ

「システムを設計する組織は、そのコミュニケーション構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう」
という「コンウェイの法則」があります。DXを進めるにあたり、この法則の罠にかからないように自社の企業文化を見直すことが大切です。「コンウェイの法則」に陥らないで、DXを進める3つのポイントがあります。
1)「コンウェイの法則」を理解する
2)「タテ割り思考」をやめる
3)DXを「階層思考」で考える

現状の仕事をシステム化する。すべての部署の要望を聞き入れてシステム化するのは、DXと少し違います。DXには、思想があるべきで、その一歩は思考法を変えることだと考えます。

参考記事:労働生産性を妨げるハンコ文化。脱ハンコでクリック文化になった?

日本企業が、DXを推進するために乗り越えるべき3つの壁

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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