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アクティブラーニングを社内研修で使うときの3つのポイント

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

アクティブラーニングを社内研修で使うときの3つのポイント

 

アクティブラーニングを、企業の研修で使うときの3つのポイント

「4月は、新入社員研修」
「管理職昇格前後のマネジメント研修」
「コンプライアンス研修」等々
企業では、様々な研修が行われています。また、近年はコロナの影響でリモート研修も増えています。リモート研修は、リアル研修とは違い実際に講師や研修者と接することができず臨場感がないく、実際に現物を見たり触れたりできないデメリットがあります。しかし、リモートになって各個人の顔がモニター越しに良く見え一人ひとりの意見がじっくり聞けるなどメリットも明らかになってきました。

リモート研修か、リアル研修かに関わらず、研修には一方的に指導する方式から、受講者が参加し主体的に学ぶ「アクティブラーニング」を取り入れる動きが広がりつつあります。アクティブラーニングは、もともと米国の大学で始まった学習法ですが、日本の大学や小・中・高校まで広がっています。これは、「課題を見つける力」、「考える力」、「コミュニケーション力」を付けるのに効果的な学習法であるとされています。アクティブラーニングは、これまで日本の学校が苦手としていた部分を補うことが期待され、2012年から文部科学省が肝いりで導入を進めています。
企業においても社員の課題発見力、課題解決力、コミュニケーション力のレベルアップが必要とされ、従来の座学方式のみからアクティブラーニングの方法を加えて、研修成果を上げようとの試みがされています。しかしながら、日本の学校教育においても、企業の研修においてもアクティブラーニングを活用するには、いくつかのハードルがあります。このハードルを乗り越えて、アクティブラーニングを企業研修に活かすには、3つのポイントがあります。
1)研修の目的とゴールを明確にする
2)研修の準備を十分にする
3)研修の質が受講者の意欲や能力に依存する
この3つに注意してアクティブラーニングを取り入れた研修を実施することで、座学形式では得られない成果が期待できます。
ただし、受講者の「楽しかった」という感想で終わらせてはいけません。「学習内容が現場に活かされる」ことが最終目的であり、そのための工夫が必要です。

 

研修の目的とゴールを明確にする

企業研修には、目的とゴールがあります。アクティブラーニングはあくまで学習手法です。どんな研修であれ、目的とゴールを明確にせずして効果的な研修はできません。そもそも目標とゴールがなければ、成果も測定できません。
研修の目的とゴールが明確になり、研修対象者が決まると、アクティブラーニングを導入したときの期待効果が見えてきます。
例えば、新入社員に会社の規程やマニュアルを短時間で教育するとき、多くの時間は座学形式での研修が効率的だとわかります。しかし、応用部分になれば、マニュアルにないトラブルを想定して、グループで対応策をつくるなどのアクティブラーニングが活かせます。

 
革命はいつも、たった一人から始まる

研修の準備を十分にする

アクティブラーニングで研修をする場合、主体は受講者です。しかし、実際にアクティブラーニングで研修をしようとすると講師は、相当な準備が必要です。
例えば、講師が受講者に対して
「課題は○○で、解決策をグループ毎に考えてください」
とリードしたとします。この場合、
① 課題の背景の設定とその説明
② 受講者の能力などからみての受講者のグループ分け
③ 討議時間や発表時間設定などのスケジューリング
④ 必要な備品の準備
⑤ まとめコメントの準備
等々を講師はあらかじめ用意しておく必要があります。講師は、教えるというよりサポート役でありファシリテーターですが、準備には時間を要します。
実際に学校教育の場で、アクティブラーニングを導入した際の教師の負担増が問題になっています。

 

研修の質が受講者の意欲や能力に依存する

アクティブラーニングでは、受講者をチーム分けして、チームごとに学習を進めることが多くなります。その際、学習に積極的ではない受講者がいたり、前提知識が乏しい受講者がいたりすると、研修の質に影響します。
米国の大学でアクティブラーニングが始まりましたが、知識レベルや学習意欲のいずれも高い集団であったことでうまくいったようです。ところが、日本の小中学でアクティブラーニングを行うと生徒間の差が大きく、効果が出ないことがあります。
例えば、小学校の理科の実験をグループでやって、結果の発表をさせるようなアクティブラーニングを想像してください。グループ内で積極的な生徒A君が実験を一人でやってしまい、発表もその生徒がやってしまうことが起きてしまいます。周りの生徒は、ただ実験を見ているだけ。まとめもA君の指示で、他の生徒がポスターの絵を描かされています。後で実験結果のポスターが校内に張られ、校長が褒めたとのことです。A君にとっては、大変有意義な学習でしたが、他の生徒にとっては、さぞかし「面白くない」時間だったかと想像します。(これは、友人の教師から実際に聞いた話です。)
小学校の生徒には、遠慮がありませんから、積極的なA君のように取り仕切る者が現れます。ところが、会社の研修となると、他人を気にしてか、積極的にグループをリードする受講者が現れず、講師が苦労する場面が出てきます。講師が、あらかじめリーダーを指名したり細かく時間割を作ったりして、互いに遠慮して作業が遅れることを防ぐ必要があります。

社内研修の最終目的は、「学習内容が現場に活かされる」ことです。受講者が「楽しかった」という感想で終わらせてはいけません。各受講者が、自職場や自分自身の課題を意識して研修に参加することが、研修に対する積極性を高めます。
私自身、技術研修の講師をしています。研修前、事前質問として職場の課題、自分が知りたい技術を書いて提出してもらっています。講義内容を事前質問の回答内容に沿うように修正したり、グループ討議で回答事項をテーマにしたりしています。あるときの研修において、とても積極的な女性受講生がいて感心しました。彼女の話では、事前質問事項を上司と相談してきており、研修で検討した解決策を上司に報告することになっていたとのことでした。

 

まとめ

企業研修において、社員の課題発見力、課題解決力、コミュニケーション力のレベルアップの必要性から、従来の座学方式のみからアクティブラーニングの方法を加えることが試みられています。
アクティブラーニングを企業研修に活かすには、3つのポイントがあります。
1)研修の目的とゴールを明確にする
2)研修の準備を十分にする
3)研修の質が受講者の意欲や能力に依存する
この3つに注意してアクティブラーニングを取り入れた研修を実施することで、座学形式では得られない成果が期待できます。

参考記事:自己啓発本やノウハウ本、研修内容を必ず行動に結び付ける方法

コーポレートガバナンスを有効に働かす経営:コンプラ研修(その4)

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