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「リソースの有効利用」だけでない! マーケティングにおける「選択と集中」の効果

 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「リソースの有効利用」だけでない! マーケティングにおける「選択と集中」の効果

 

マーケティングにおける「選択と集中」の効果とは

経営者の間で「選択と集中」が、もてはやされた時期がありました。業績が伸び悩んでいたGE(ゼネラルエレクトリック)を再生させた当時の社長ジャック・ウェルチの経営手法が、「選択と集中」だったことで注目されました。彼は、
「業界で、1位か2位でない事業は撤退する」
と宣言して、大胆な事業再編と残った事業への集中投資で成功しました。
GEの成功した時期が、日本ではバブル崩壊直後だったこともあり、「選択と集中」をリストラの手法として多くの企業が取り入れました。経営者にとって、「選択と集中」という言葉は、不採算事業撤退の決断理由として都合良く使われました。
企業経営において、「選択と集中」は、
「限られたリソース(人、カネ、時間等)の有効利用」
と理解されています。しかし、効果はこれだけではありません。マーケティングという視点で考えると「選択と集中」は、リソースの有効利用だけでなく、顧客に対するブランド認知を高める効果など、「売るための戦略」として使うことができます。
マーケティングにおける「選択と集中」という戦略は、
1)商品の絞り込みによるブランド認知度の向上
2)ターゲット市場の絞り込みでブランド力を上げる
3)未来を選択する
といったことがあります。ブランドは、無形のリソースです。人、カネといった有形のリソースの有効活用に「選択と集中」が効果的であるように、無形リソースの有効活用にも効果があります。
この記事では、マーケティングにおける「選択と集中」という戦略の有効性を考えます。

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売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則

商品の絞り込みによるブランド認知度の向上

モノやサービスといった商品の種類は、時の経過と共に増加する傾向があります。何か1つの商品が売れると更に売り上げを増やそうと、その派生形、関連商品出したくなることが原因です。
ある和菓子店の例ですが、創業以来の販売している「きな粉味」のお菓子がありました。やがて、その派生形として「抹茶味」「チョコ味」「イチゴ味」等々次々に種類を増やしました。派生形のお菓子が、それなりに売れると毎年のように新商品を出し続けました。ところが、気が付くとチョコやイチゴといった甘い味が主流になっていました。若い層には人気なのですが、そのお菓子のさっぱりとした甘さや素朴さからくる和菓子らしさが失われ、本来のブランドのイメージが変化していることに店主が気づきました。そこで、店主はあえて商品の種類を「きな粉味」と「抹茶味」に絞り込み、チョコ味やイチゴ味は、別の菓子(ブランド)に分けました。心配していた売上は、さほど減少せず、むしろじわじわと増えています。店主は、商品を絞り込むことで、ブランドが明確になり、顧客の認知度が維持・向上したと理解しています。
味の種類を増やしたところで、使うリソースはさほど増えません。そんな中、あえて商品の種類を絞り込むのには、ちょっとした勇気が必要です。有形リソースの有効利用を考えると販売をやめる必要はありませんが、無形リソースの有効利用を考えると商品の絞り込みが必要なこともあります。
かつて、P&Gが不振であったころ、商品の種類やブランドを大幅に削減したことで、業績を大きく回復させたことが話題になりした。その際、P&Gは商品の種類を半分以下にしたと言われています。「種類が多いと売れる機会がそれだけ多い」との考え方から、「種類が多いと何がP&Gの商品か分からなくなる」との発想の転換が、売上回復になりました。P&Gの例は、「選択と集中」が、有形リソースの有効利用であったと同時に、「洗剤なら○○」「消臭剤なら△△」と自社ブランドの明確化をもたらしています。

ターゲット市場の絞り込みでブランド力を上げる

少しでも売上を増やそうと顧客の年齢、職業、性別などを無視して、膨大な費用を使って顧客全ての層に売り込みをかけても、対費用効果は期待しない方がいいかも知れません。
若者層、シルバー層といったターゲット市場を絞りこんで、「選択と集中」のマーケティングする方が、効果的なことがあります。
マーケティングにおいて、ターゲット顧客をイメージして、ペルソナをつくることが行われます。ペルソナをつくるとき、できるだけ具体的に設定することが推奨されます。年齢、性別、職業などを設定していくとターゲットとする顧客像が浮かび上がります。これが、顧客の「選択と集中」です。
顧客のある層だけをターゲットとして絞り込むことで、他の層の顧客を失う気がします。しかし、顧客の各層は互いに繋がっています。ハンバーガーチェーン店では、おまけにおもちゃを出すなど子供中心のマーケティングをしていますが、子供が来店すれば、親は付いてきます。若い女性に人気が出たことは、やがて高齢の女性も受け入れるようになります。
ターゲット市場を見つけ、そこに集中したアクションをかけることで、ブランドを確立すれば、やがて他の市場でも売れるようになります。

未来を選択する

時代と共に市場を取り巻く環境は変化します。その変化に対して、マーケティングの「選択と集中」が必要になります。
市場には、流行り廃りがあり、やみくもにこれを追いかける必要はありません。かつてのボーリングブーム、ゴルフブーム、スノボーブーム。食べ物では、タピオカにナタデココなども流行りました。SNSもフェイスブック、X(ツイッター)、インスタグラム、キックトックと次々に変化しています。これら流行に関連したモノやサービスは、短期的には利益をもたらすでしょうが、長期的という点では不透明でリスクがあります。
将来の社会的な変化をつかむことは困難ですが、将来の技術的な変化は、ある程度予想することができます。
かつて、シャープの町田社長は、
「自社のすべてのディスプレーは、液晶パネルとする」
と宣言しました。当時、ディスプレーは、ブラウン管が主流であり、次世代はプラズマか液晶かということになっていました。この宣言は、業界で驚きをもって迎えられました。シャープの思い切った液晶という「選択」は、大成功を収めました。パナソニックは、選択できずプラズマと液晶の両方式の工場を尼崎に建設しましたが、パネル業界をリードすることができませんでした。
液晶の選択で大成功を収めたシャープは、その後大阪堺に世界最大のパネル工場を建設しました。輸出中心の工場だったのですが、1ドル110円前後を想定していた為替が、1ドル70円台という極端な円高に見舞われ、競争力を失い台湾の鴻海精密工業の傘下になっています。技術の予想はできても、為替など社会的な環境変化の予想の難しさを感じます。
これらは、「変化を先取りする」か「あえて変化しない」という未来に対する「選択と集中」の難しさを示しているのかも知れません。
未来をどう「選択」していくかは、「自社の未来のブランドをどうするか」ということです。その選択には、経営者のビジョンとミッションがしっかりしていることが重要です。

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まとめ

マーケティングにおける「選択と集中」は、リソースの有効利用だけでなく、顧客に対するブランド認知を高めるなど、売るための戦略として使うことができます。マーケティングにおける「選択と集中」という戦略は、
1)商品の絞り込みによるブランド認知度の向上
2)ターゲット市場の絞り込みでブランド力を上げる
3)未来を選択する
といったことがあります。ブランドは、無形のリソースであり、この有効活用に「選択と集中」という戦略が役に立ちます。

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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