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理系院生が、就活で失敗しやすい4つのパターンとその対策

2021/09/08
 
理系院生の就職面接イラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

理系院生が、就活で失敗しやすい4つのパターンとその対策

 

理系院生が、就活で失敗しやすい4つのパターン

 「あいつは、大手の内定を取っていた!」
「研究に追われて気がついたら就活遅れ!」
こんな風に慌てている理系のマスターが結構います。一般に理系大学院生は就活に有利といわれています。しかし、就活に出遅れ失敗続きで半分ヤケになって、「どうでもいい」と就活を投げ出す人がいることも事実です。

今や理系では、大学院への進学率がおおよそ4割。国立大学であれば6-7割、上位大学であれば9割以上が大学院に進学しています。製造や情報通信、開発・分析系の大手企業では、この20年の技術系採用者の8割近くが大学院(修士)修了で占められています。院生は、特別な存在ではありません。大手企業においては、大学院生と学部卒の競合ではなく、院生同士の就活競争となってます。

理系の院生就活で厄介なのは、大企業で失敗した後、中小企業の就活でもうまくいかないことがよくあることです。中小企業では院生と聞くと、採用を躊躇することがあります。「うちの会社では、大学院卒は雇えない」と敬遠されたり、「内のような中小企業に来る院生は、本人に何か問題があるのでは」と疑われたりするケースです。

理系院生が、就活で失敗するパターンがあります。
① 就活を甘くみている
② 自分の知識レベルを過大評価している
③ 説明力がない
④ 自分の将来を考えていない
これは、院生に限らず就活に失敗するパターンでもあります。とりわけ理系院生の場合、研究継続の意識と就活が両立せず、中途半端な気持ちで就活してこのパターンに陥ることが多いのではないかと思います。インターンシップの機会を逃すなど「出遅れた」と思っている理系院生就活生であっても、上記ポイントを押さえて就活に望み、大学院に進学した本来の力を発揮できれば成功のチャンスが広がります。

この記事では、これまで製造、分析系企業で多くの理系大学院生の採用をしてきた経験をもとに、理系院生が就活で失敗するパターンを紹介します。



就活を甘くみている

理系大学院生には、就活を甘く見ているとしか言いようのない人がいます。
1)全くインターンシップを経験していないどころか、調べたこともない
2)就活スケジュールに無頓着で、いろいろな機会を逃してしまう
3)エントリーシートをまともに書いていない
4)適正検査の回答で手を抜いている
こんな理系院生就活生が結構います。優秀な学生として大学院に進み、学会で発表するなど自分に自信があり、特に就活などせずとも、どこかの企業に入れると思っている人です。かつては、大学教授の推薦で大手企業に無条件で入れたのですが、今ではそんな企業は少数です。ところが、上位大学といわれるところでは、これまで苦も無く院生が就職しているせいか、先生方が就活を楽観している傾向があります。就職のエントリーが締め切られる頃になって、教授から教え子の就職を頼まれて困ったことが何度もあります。むしろ、ちょっと就職にハンデを感じる大学や大学院の方が就活情報収集に熱心で、学生に対する就職支援体制も整っています。

出遅れた、失敗したと思っている理系就活生でも、あきらめる必要はありません。理系院生がどんなにいても入社後本当に戦力となる人材は、決して多くありません。企業からみたらルールに沿わない形であっても、いい人材を見つけることが優先されることもあります。エントリー締め切り後や一時内定者を決めたあと、大学教授に頼み込まれて追加採用面接を行い入社に至った人もいます。

自信過剰からか、希望する企業のエントリーシート作成や適性検査に対して真面目に取り組んでいない理系院生をみかけます。大学のブランド、院生のブランドでなんとかなると勘違いしているのでしょうか。空欄だらけのエントリーシートをみて驚くことがあります。また、適正検査においては、回答が面倒になってたのでしょうか、空白だったり、同じ番号に適当にマークされたりしています。この結果、異様に偏った評価がでてしまいます。適正検査は、採用において参考程度の扱いなのですが、評価そのものより、適正検査に対する態度を問題視したことがあります。

とにかく、どんな学歴であろうと、誠実に就活の手順を踏むこと。土俵にさえのれば、本来実力がある人材は、会社が正しく認めます。

自分の知識レベルを過大評価している

大学院生といっても修士課程程度では、企業にとってたいしたレベルではありません。技術系社員の大半は、修士課程を修了しています。博士号を持つ社員もいます。そんな相手に対して、面接において専門家気取りで話をされても知識レベルは直ぐにバレてしまいます。学会で発表した経験を話す院生もいますが、たいてい先生の引いたレールの上を走っただけのことが多いようです。

理系院生が、よく大学院で専攻していること、研究していることを活かしたいと会社や職種を希望します。しかし、企業の求めている専門性と院生が学んでいることが一致することは稀です。また、運よく一致しても大学の研究と企業では、目的や規模、レベルの差が大きいものです。あまり、自分の専攻や研究にこだわると、就職先企業や職種を狭めてしまうことになります。

最近の大学の研究は、生物や化学といっても、実態は物理解析機器を使ったものが多いようです。機械系や材料系といっても、コンピューターシミュレーションが主役です。特にコンピューターシミュレーションは大学にとってみると金がかからず、創意工夫で研究成果が上げれるせいか最近大いに広がっています。それはいいのですが、院生の中には、コンピューターのプログラマーであっても、その分野の基礎的理解が不足している者を見かけます。科学の基本である仮説をたて検証することができない院生がいます。

企業側は、その院生を研究開発職にするか、技術総合職にするかは別として、どちらのケースでも理系院生就活生が持っているポテンシャルに期待しているのです。具体的にいえば、「課題の発見力」「理解力」「解決力」「一般化する力」などでしょうか。卒業論文、修士論文を仕上げると、課題の発見、目標設定、理解、計画、実行、まとめ、一般化なのプロセスを経験します。(就活時期では、まとめや一般化などは、未着手でしょうが)すると、他の課題に対しても同じアプローチが使えます。企業からみると、このあたりを大いに期待するところです。

「努力」「辛抱」は、院生の特権ではありません。体育会やアルバイトを沢山やった人の方が、経験の数では上回っているかもしれません。理系院生に期待するのは、論理的思考や研究プロセスの経験です。得た知識レベルではないことを理解することです。

説明力がない

就職の面接では、2次面接以降院生の研究課題について説明を求めることがあります。たとえ面接官が技術系の社員であっても、就活生の研究内容や専門用語を理解しているとは限りません。入社後に研究職に就こうが、操業や保全のエンジニアになろうが、専門外の人に技術説明をする力は、入社後とても大切です。説明力がないと
1)技術説明力がないと研究開発費、設備費を取れません。いやその前に、やりたいことを社内で認めてもらえません。
2)技術説明力がないと、顧客に評価されず、注文がもらえない、高くモノやサービスを買ってもらえません。
3)技術説明力がないと、自分自身が評価してもらえません。昇進や昇給に響きます。
技術者は、説明力があり、発信力が必要な時代になっています。研究開発も技術者も外に対して発信しなければ、存在が危ぶまれます。

採用面接では、ひとえに「説明力」を評価しているといっても過言ではありません。相手のレベル興味に合わせて、技術的なこと自分のことが説明できる人を求めています。

自分の将来を考えていない

採用面接に及んでも、将来について曖昧なままの人がいます。現在の研究継続と就職後の区別がついていない理系院生を見受けることがあります。

ある理系院生の就活生と面接したときの例です。
「私は、研究職を希望します。今、TEM(透過型電子顕微鏡)やNMR(核磁気共鳴)を使って研究しているので、それらを使うような仕事ができるといいのですが」
そう言った院生がいました。その院生は、入社後に希望通り配属されたら、TEMやNMRをずっと使い続けるつもりなのでしょうか。また、他の学生は、
「いわれたことをなんでもやります。」
頼もしいのですが、一方で不安を感じます。そんなことをいって入社した者に限って、配属先に不満が多いからです。

企業は、大学院修了の社員に対して、技術者や研究者を経て管理職になり経営にかかわる要職につくことを期待します。企業によっては、数年後に理系でも人事や営業に配置することもあります。

採用する企業からみると、就活生に入社後、どう会社に貢献したいのかを、エントリーシートや面接を通して知りたいのです。理系院生から専門知識や研究経験を通して得たものをどう活かしたいのかを知りたいのです。就活生が、自分の将来について考え、ある種の覚悟をもっていることは、採用担当の心を動かします。


理系のためのキャリアデザイン 戦略的就活術

まとめ

理系院生が就活で失敗するいくつかのパターンがあります。

① 就活を甘くみている
② 自分の知識レベルを過大評価している
③ 説明力がない
④ 自分の将来を考えていない

これらを変えることで、たとえ就活の出遅れていても挽回するチャンスがあります。本人が力を持っていて、正しくアピールできれば内定獲得ができます。運悪く希望の企業からの内定を逃しても、次のチャンスに活かせます。

参考記事:研究職を狙う理系就活生の面接対策は、説明力を磨くこと

「失敗」と「挫折」の違いがわかれば、就活での「挫折経験」がうまく伝わる

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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