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「学生時代力を入れたこと」=「ガクチカ」で就活生が陥る3つの間違い

2021/09/14
 
ガクチカのイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

「学生時代力を入れたこと」=「ガクチカ」で就活生が陥る3つの間違い

「ガクチカ」で就活生が陥る3つの間違い

「学生時代に力を入れていたことは、何ですか?」

就活生の間で「ガクチカ」と呼ばれるこんな質問があります。採用側からみると就活対策が広まり、ガクチカやそれに類する質問に対して、驚く学生はいなくなりました。しかし、回答内容が採用側の意図とは違うものが多いようです。採用側からみた、ガクチカで就活生が陥る3つの間違いを紹介します。

① 「学生時代に長い時間をかけたこと」=「ガクチカ」と勘違いしている
② 成果の上がったことを「ガクチカ」にしている
③ それが、なぜ「ガクチカ」になったのか、理由がわからない

そもそも採用側がガクチカを聞くのは、就活生の何かに取り組むときの姿勢や考え方を知りたいからです。学生の能力や実績に関することは、別途「自己PR」で聞けます。ガクチカでは、何を取り上げてもいいのですが、この3点を注意してESを書き面接に望めば、採用側に自分のことがうまく伝えられます。

沢山のガクチカをESで読み、採用面接をした経験から、その対応のポイントを紹介します。



「学生時代に長い時間をかけたこと」=「ガクチカ」と勘違いしている

ガクチカというと部活、サークル、アルバイトなど自分が長い時間をかけたことを取り上げる例が多いようです。採用側からすると「どこかで聞いたような話題と展開」です。応募者の多い企業では、「その他大勢の応募者」に埋没してしまいます。

ガクチカでいう「力を入れた」は、時間をかけたことではありません。監督に強要されて運動部の長時間練習に耐えたことは、「力を入れた」とは言えません。「どうしようとしたか」がなければ、ガクチカになりません。目標があり、その達成に為に「力を入れた」ことが、ガクチカで強調すべき点です。本人の目標が、運動部の大会優勝であれば、練習に長時間をかけたことを取り上げてもいいでしょう。その際は、「どんな気持ちで優勝したかったか」の理由が必要です。

短時間でも、友達との絆をつなぐことに「力を入れた」というガクチカも有りです。昨年、コロナ禍のなか、Lineで友人達との連絡役に徹したという学生がいました。ガクチカとして、「教授、友人との繋がりを深めることに力をいれた」ことをエピソードとして紹介し、面接担当者に好感を与えていました。よく考えたら、教授と学友とをLineで連絡をしていただけの話なのですが、本人には、なぜそれをしているかの目的があることでで、立派なガクチカの話になっていました。

 

成果の上がったことを「ガクチカ」にしている

よく「ガクチカ」と「自己PR」とを勘違いする学生がいます。「力を入れた」こととして、例えば運動部で全国何位と言われても、スポーツ選手として採用するわけではありませんので、採用側は興味がありません。理系の学生、特に修士課程の人が、学会発表何回、論文発表何本と強調されることがありますが、これは専門技術の自己PRです。

採用側がガクチカで知りたいのは、どんな思いで研究していたかです。研究していることが「本当に好きで好きでしかたがなかったのか。」「世界で認められたかったのか。」「先生に背中を押されてやったのか。」そこが、知りたい点です。

成果ではなく、プロセス。どうして、そのプロセスに「力をいれたか」。これが、ガクチカを採用側が質問し、答えを得たいことです。

 

ラインで連絡する人のイラスト

それが、なぜ「ガクチカ」になったのか、理由がわからない

ガクチカとして取り上げることは、「長い時間をかけたこと」である必要はない。活動したことが、「成果を上げたこと」である必要がないと紹介しました。では、ガクチカとしてどんなことを伝えればいいのでしょか。それは、
1)「力を入れた」ことの目的
2)どのように「力をいれたか」
を示すことです。

先に上げたLineで友人達との連絡役に「力を入れた」学生の例では、ガクチカの質問に対して、
「他人が面倒がることを進んでやりました。そのこと自体はたいしたことではありませんが、毎回やっていると自分を認めてもらえると思ったからです。具体的には、毎週教授のスケジュールや予習など学生への希望を聞いて、皆にLineで連絡することでした。」
そんな内容の回答です。採用する方は、この学生が、「他人が面倒だと思うことをする、続ける」「教授や学生と繋がり信頼されることを大事にする」点を評価しました。この学生の価値観や誠実さを評価したのです。

修士研究をガクチカとして取り上げた学生は、研究の成果はあったのでしょうが、なぜ「力を入れたか」かがよくわかりませんでした。その学生は、工学部でリチウムイオン電池の電極の研究をしていました。研究テーマの選定理由や手法を尋ねると、先生から与えられたそうです。研究テーマ選定理由に「先生に勧められたことに加え『電気自動車ブーム』だからそれに乗ろうとしました」とか、「先生を信じていますから」と自分の考え方を添えてくれれば、印象が変わったはずです。結局分析技術者としての能力は分りましたが、修士研究を「ガクチカ」としての評価は高くありませんでした。企業の研究者や技術者として必要な、課題設定や取り組みに対する自分の考え方を持っていないとの判断です。

何をガクチカとして取り上げてもいいのですが、「力を入れた」理由と「どのように」をしっかり伝えることで評価されるガクチカになります。毎日していること、心がけていることを振り返れば、その中に「ガクチカ」としてアピールできることが潜んでいるはずです。



まとめ

日本の大手企業では、即戦力より将来活躍が期待されるポテンシャル重視の採用が行われています。企業が「学生時代に力を入れていたこと」=「ガクチカ」を問うのは、その学生の物事に取り組む姿勢や考え方を知りたいからです。1)時間をかけたこと 2)達成したことではありません。3)それが、なぜ「ガクチカ」としたのかの理由を採用側に伝えることが重要です。

参考記事:「失敗」と「挫折」の違いを判れば、就活での「挫折経験」がうまく伝えられる

就活面接で「成功体験」を聞かれて、面接官の心を動かす3つの回答ポイント

なぜ多くの企業が”ガクチカ”を重視するのか?|ガクチカ攻略

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