目標管理で達成度に一喜一憂するストレスから逃れる3つの方法
目標管理で達成度に一喜一憂するストレスから逃れる3つの方法
達成度に一喜一憂するストレスから逃れる3つの方法
ダイエットを始めたのに目標体重に近づかない
株式投資を始めたが、日々の値動きに一喜一憂してストレスがたまる
目標を立てて努力することは、好ましいことです。しかし、目標設定したことで、その結果に一喜一憂して「つらい」と感じることがありませんか。
例えば、3か月先の目標体重を決めて、毎日体重を測定してみると増加する日も減少する日もあります。前日との体重の増減をいちいち気にしていたら、ストレスがたまり「つらく」なります。
目標を立て、達成度に一喜一憂するストレスから逃れる3つの方法をご紹介します。
① 目標を達成度が下がらない「積み上げ目標」にする
② 目標達成度を長期スパンと短期スパンを併用して管理する
③ 目標の先の目的をみる
これは、実際に会社で目標管理をした経験に行動経済学を当てはめた方法です。個人の目標にも職場の目標にも使えます。個人や職場(会社)の目標の達成度管理で強い「つらい」などのプレシャーを感じている人は、この方法を試してみてください。この方法で、達成度を確認することが楽しくなり、実際の成果が出ることを期待します。
目標を達成度が下がらない「積み上げ目標」にする
行動経済学に「損失回避*」という言葉があります。「損失回避」とは、損失を利得より強く感じるという心理的バイアスです。これは、行動経済学分野において様々な実験により確かめられています。例えば、20万円の株式を保有している人がいて5万円値上がりし、その後5万円値下がりした場合。損得では、プラスマイナスゼロなのですが、損したような気がします。これは、損をしたことの方が心に響き、その後もよく覚えてるという「損失回避」の現れです。
よく「結果に一喜一憂するな!」といわれますが、「損失回避」の法則によれば、損失をより強く感じますので、「一喜一憂」では、「憂」の方が勝ってストレスを感じる結果になります。
目標を立てるとき、プラスマイナスが出る目標は、結果を見るたびに強いストレスを感じます。ある会社の機械の試作実験をする事業部門で、営業部員に引き合い(受注の問い合わせ)に対する契約率を目標にしたことがありました。お客様から電話やネットで問い合わせがあると、見積書を出します。そして、実際に契約が成立するのは、見積書を提出した20%程度でした。試作実験の見積書作成には、それなりのコストがかかります。契約率を5%でも上げることができれば、大きな収益改善になります。そこで、各営業部員の契約率を管理することにしました。目標は、25%です。毎週、毎月この数字を管理するのですが、契約率は変動します。3か月ぐらいの単位でみると、少しずつ上昇したのですが、各営業部員には相当なプレシャーがかかりました。そのうちに、受注見込みの低いお客様には見積書を出さない、そもそも引き合いがなかったことにする者まで現れ、成約率を目標とした管理をやめました。いろいろ模索した結果、契約数目標にすることでストレスが少なく皆頑張れることがわかりました。
野球のイチロー選手は、現役時代安打数を目標にしていたことは有名です。
「シーズン200本の安打が、最低目標です」
彼は、大リーグ開幕前に毎年語っていました。その理由を問われて
「打率は、上下しますが、安打数は減ることはありませんから」
と明確に答えています。これは、日本のプロ野球にいた時から一貫しています。彼が安打数を求めた結果、何度も首位打者に輝いたことは、ご承知のとおりです。
目標を積み上げ数にすることで、目標達成管理上ストレスを感じる度合いが減ります。
また、「結果目標」だけでなく、積み上げ数を目標にできる「行動目標」の併用が効果的です。月次の売上目標といった「結果目標」は、様々の要因で達成度が変化しますが、「結果目標」として顧客訪問数などの「行動目標」を併用すると、「積み上げ目標」となり、目標管理におけるストレスが軽減します。
参考記事:意味のある目標設定にするには、「結果目標」に「行動目標」を付けること
*「損失回避」について、Wikipedia:「プロスペクト理論」より
目標達成度を長期スパンと短期スパンを併用して管理する
目標管理において、達成度が日々変化してストレスを感じないようにするには、目標達成度を長期と短期両方のスパンでみることをお勧めします。
株価や為替のチャートは、分単位から日単位、週単位、月単位のものまで用意されています。日々の大きな上下動も週単位や月単位でみると小さな変動であることがわかります。また、小さな上下動を繰り返しながら、週単位でみると上昇なのか、下降なのかを判断できます。
先ほどの例に上げた体重の例では、日々増減があっても週単位や月単位で増加しているのか、減少しているのかが重要です。週単位、月単位でみて目標体重に向かっていれば、安心できます。
売上目標も生産目標も同様です。管理のメッシュを細かくするほど管理した気になり、そこで対策を打つことは、即効性がありますが、必ずしも長期的に効果があるかどうかはわかりません。
短期と長期スパンの達成度をみていても、人はストレスを感じるものです。人には「損失回避」の心理が働いていることを意識してください。
目標の先の目的をみる
目標体重を決めてダイエットするのは、「美しくなる」「健康になる」ことが目的です。目標体重をクリアーしても、その目的にたどりつかないこともあります。
短期と長期スパンの達成度をみて、今実行していることで目的に近づいているのかを確認することで、安心できます。そうでないなら「必要なストレス」を感じて、方針の変更や実行の補強をすべきでしょう。
まとめ
目標を立て、達成度に一喜一憂するようなストレスから逃れる3つの方法をご紹介しました。
① 目標を達成度が下がらない「積み上げ目標」にする
② 目標達成度を長期スパンと短期スパンを併用して管理する
③ 目標の先の目的をみる
これは、実際に会社で目標管理をした経験に行動経済学を当てはめた方法です。個人や職場(会社)の目標達成度管理における強いプレシャーを回避できます。これで目標達成度を見ることが楽しくなり、実際の成果がでることを期待します。