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脱ハンコは、ワークフローシステムと電子契約から(日本の生産性24)

2021/09/18
 
ワークフローシステムのイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

脱ハンコは、ワークフローシステムと電子契約から(ハンコの役目)

 

脱ハンコは、ワークフローシステムと電子契約から

日本では、広くハンコが使われています。その役目は、大きく2つあります。

1.証拠としてのハンコ(本人確認)
ハンコを押した書類が本物、本人であることを示す証拠の役目。

2.承認を示すハンコ(意思確認)
文書の書式、内容を確認し、認めたこと、意思を示すハンコ。稟議書に押されるハンコが代表例。文書を電子化、脱ハンコに合わせワークフローシステム(承認システム)の利用が拡大しています。証拠としてのハンコの代表である契約については、記事「脱ハンコは、電子契約の普及から」に書きました。今回は、承認を示すハンコについて、取り上げます。他の関連記事:「生産性を上げる脱ハンコ、課題は『承認』作業」

 「承認」作業を行うワークフローシステム

ワークフローとは?

ワークフローとは、「業務の流れ」のことです。特に複数人の承認や決裁が必要な業務の流れと定義します。社外とのやり取りが入ると契約が含まれますが、ここでは、組織内のワークフローに注目します。
通常、担当者は紙の申請書を用意し、各承認者のところに書類を届け、承認ハンコを受け次の承認者、決裁者のところに書類を持っていくという流れです。

紙とハンコのワークフローで起こる問題として以下があります。
1.書類作成に時間がかかる
2.各種書類の処理手順が複雑
3.手順ごとにハンコが必要
3.書類の保管負担
4.書類資産の有効活用ができにくい
これらの課題を解決するツールとして、ワークフローシステムがあります。

ワークフローシステムとは?

ワークフローシステムとは、稟議の申請から承認、決裁、報告書の提出や確認など、一連のワークフローを管理するシステムです。
電子データ化された書類を用い、システム上で申請や承認が行われます。そのため、ペーパーレス、脱ハンコとなり、労働生産性の向上とコストの削減が期待されます。また、システム上では申請の承認状況をリアルタイムで把握することやデータの保存、検索が可能になります。

ワークフローシステムは、オリジナルで作るケース、既成品、無料のアプリまで様々な形で提供されています。紙とハンコが、そのままシステム化したものから、ワークフローそのものが革新的なシステムまで内容も様々で、システム化で期待したほど労働生産性が上がらない、新たな課題が生れるなどの例が見られます。

ワークフローシステムの導入メリット

1.業務プロセスの見える化
申請・承認・決裁業務に関わる人物や組織の範囲、情報とその流れがシステム上で見え化できます。申請書が、誰のところにあるのか、承認の進捗状況を常に確認できます。

2.承認作業のスピードアップ
パソコン上で手軽に申請・承認が可能で、外出先からも利用でき、テレワークにとって有力なツールとなります。

3.ペーパーレスでコスト削減
申請書の電子化により紙代、プリント代、メール・FAXの通信費、郵送費を削減できます。また、ファイリング・保管スペースも不要。システム検索で、過去の文書を見つけることができる。

4.内部統制の強化
申請フォームと承認ルートの一元管理、保管文書の厳格管理が可能で、文書の改ざん防止などコンプライアンスの強化ができる。

5.ミスの防止
過去データの利用や他システムとのデータ連携により、人為的ミスが減少します。

6.働き方改革
どこからでもアクセスできるため、時間や場所に囚われない働き方に貢献できます。

ワークフローシステム導入にあたっての課題

1.不適切な承認ルートや意味のない承認
システム化すると不要な承認ルート、抜けているルートなど、業務プロセスの改善点が見えてきます。また、何を確認して承認しているか、はっきりしてきます。システムの問題ではなく、業務フローとその業務そのもの問題が明らかになります。

2.脱ハンコなのにハンコ作業以上にクリックが増える
ワークフローシステムで脱ハンコをしても、クリックに代わっただけに陥らないこと。「常にクリック作業に追いまくられているようで、たまらない」と不満をもらす人が出るかもしれません。システムによっては、多くのステップごとに確認クリックを求めます。紙で保管しているとき、キャビネットにファイルを入れる、出すにあたって、本人確認や上司の承認はしません。しかし、システム化するとセキュリティ対策として、本人や上司の承認クリックが必要になるケースが増えます。

3.紙とハンコの隠れた効果をどう補う
かつて多くの会社が、就職希望者に対して手書きの履歴書の提出を求めていたのは、手書きの文字で本人の性格などを判断しようとしたためです。重要な稟議書を持って上司のハンコをもらいに回るなかで、アドバイスをもらったり、嫌みを言われたりします。システムにもコメント欄がありますが、「俺は、不安だが、お前を信じてハンコを押してやる」なんて声を掛けてくれる効果はないでしょう。これから、チャット世代が会社の主役になれば、心配はいらないかも知れませんが。

まとめ:脱ハンコの切り札、ワークフローシステム

脱ハンコの切り札は、申請から承認、決裁、報告書の提出や確認など、一連のワークフローを管理するワークフローシステムです。脱ハンコ、ペーパーレスなど多くのメリットがありますが、それ以上に業務内容や業務フローを見直す機会を与えてくれます。単に、ハンコがクリックに代わるだけには、したくないものです。


ゼロからわかる電子契約の実務

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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