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リーダーが、部下に「当事者意識を持たせる」ための3つのポイント

 
当事者意識を指導する上司のイラスト
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

リーダーが、部下に「当事者意識を持たせる」ための3つのポイント

 

リーダーが、部下に「当事者意識を持たせる」ための3つのポイント

「『誰かやるのだろう』と、自分から進んで仕事をしない」
「会社の売上が減っていても、どこか他人事」
そんな部下のことを上司やリーダーは、
「当事者意識がない」
と嘆きます。これは、今に始まったことではありません。企業や組織の幹部は、いつの時代も「当事者意識のある人材」を求め続けています。そもそも企業や組織の幹部は、「当事者意識が強いゆえにその地位にいる」とも言えますし、「その地位」が当事者意識をつくっているのかも知れません。リーダーと部下の間では、立場が異なり当事者としての意識に差が生まれ易いことは、認めざるを得ません。
しかし、リーダーしか当事者意識がないとすれば、やることを全てリーダーが考え、指示していく状態に陥ります。次世代のリーダーが育つことも期待できません。組織が機能し成果を出すために、当事者意識は極めて重要で、避けて通ることはできません。それぞれのメンバーに「当事者意識」があるからこそ、組織が保たれ、組織の目標が達成されるのです。
そこで、リーダーが部下に当事者意識を持たそうと、
・会社の状況系状況の説明をする。
・職場の課題をグループでディスカッションする。
などといったことを働きかけると、普段から当事者意識の強い人は反応しますが、当事者意識がない人は何も反応もしません。
「当事者意識を持て!」
とイラ立って叫んでも、益々部下の心が離れていくだけです。
そこで、大切なのが無理やり当事者意識を持たせるのではなく、リーダーが
「自分に共感してくれる仲間を育てる」
という意識をもつことです。「部下が、リーダーに共感する」ということは、「リーダーの持っている当事者意識に共感する」ことでもあります。
「当事者意識」とは、
「リーダーや組織目標に共感すること」
と私は考えています。「共感」があるから、当事者意識が生まれるのです。
リーダーが、部下に「当事者意識を持たせる」ための3つのポイントがあります。
1)部下と体験や感情を共有する
2)問題の重要性を伝える
3)成果や影響を「見える化」する
ただし、当事者意識は、現在のリーダーと部下との関係だけで形成されるのではなく、部下の過去の経験や受けた躾や教育に影響されています。それでも、根気よくこれらのことを続けることで、次世代のリーダーとなり得る「当事者意識を持つ人材」、「当事者意識の強い組織」が育つことが期待できます。
この記事は、長年組織で仕事をし、人材育成の立場にいた経験をもとに書いたものです。


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部下と体験や感情を共有する

当事者意識とは、リーダーや組織活動に「共感」することです。共感は、リーダーと部下やチーム員同士で、体験や感情を共有することで生まれます。
感情を共有するには、対話などのコミュニケーションが重要です。「共感」を得るためには、まず相手に共感することです。共感することと、共感されることは、表裏一体です。リーダーは、部下に共感することで、共感を得ることができます。
共感を得るために最も簡単で有効なのが、「褒める」ことです。リーダーが、部下を褒めることで部下は、
「自分を見てくれている」
「リーダー自分を評価してくれている」
といったことに気付きます。褒められて悪い気がする人はいません。また、褒められると
「褒めてくれた相手」に関心が生まれ、ひいては共感も生まれます。
リーダーは、部下のいいところを見つけて「褒めまくる」ことも仕事の一つと考えることです。やがて部下は、自分がリーダーや組織に取って重要であることに気付きます。徹底して褒め続けることで、「自分から動く人材」が育っていきます。

問題の重要性を伝える

リーダーと部下とが互いに共感すると同時に、リーダーや組織が抱えている問題の重要性を部下に伝えることが大切です。ただし、抱えている問題の重要性ばかりを部下に伝えても、冒頭の例にあるように相手にとって、
「そんなの関係ない!」
ということに成りかねません。あくまでも、リーダーと部下とが、体験や感情を共有して、「共感」がなければ、伝えても意味がありません。
「共感」というベースの上に立って、組織が抱えている問題の重要性を伝えることです。
例えば、会社の経営状況を伝えても、部下にとってどれほど重要なことかピンときません。ところが、
「このままでは、この事業所がなくなる」
「給料が下がる」
といった伝え方で、部下は問題を身近に感じます。
問題を共有し共感があってはじめて、
「それ、私がなんとかしましょうか」
という当事者意識が生まれます。
ある分析会社の地方事業所で、仕事が減って閉鎖が囁かれたことがありました。そこで、事業所長が、10人ほどの部下に事業所の業績と閉鎖の可能性を部下の伝えると
「売上をあと3割増やせば、存続できるのですね」
との声があがりました。それまで、事業所の業績が悪くても全社は順調で、雇用も給料も保証されているせいか、部下の多くは、自部署の業績には無関心でした。
「事業所が閉鎖になれば、異動しなければならない」
ということから、一気に当事者意識が強くなりました。その後、部下達が自主的にお客様を回り営業活動をする、他の事業所の仕事を回してもらう、嫌な仕事を率先して引き受けるといったことが、功を奏して売上が回復。事業所閉鎖を免れたばかりではなく、今や全社で最も改善提案や自主活動の活発な事業所となっています。

成果や影響を「見える化」する

問題の重要性を伝える中で、その問題や組織やメンバーに与える影響や解決されたときの期待できる成果が、「見える化」されることが重要です。
「この問題で、一人当たりの労働時間が1日45分のロス、年間にして160時間が失われている」
などと数値で知らせることも大切です。自分達が、この問題を解決することで、これだけの成果があると分かれば、やる気になります。
更に、活動の途中で成果が見えれば、更にやる気が出ます。
やる気になって、自分達でやる→成果が見える→更にやる気がでる
という好循環が出来てきます。自分の活動が、組織の成果に直結することが実感できた時、強い当事者意識が生まれます。
先に挙げた分析会社の地方事業所では、リーダーが毎日、毎週、毎月と売上や受注予想を部下に知らせることで、成果の推移を全員がリアルタイムで共有していました。まさに、「成果が見えると益々やる気が出る」を実践した例です。

まとめ

リーダーが、部下に「当事者意識を持たせる」ための3つのポイントがあります。
1)部下と体験や感情を共有する
2)問題の重要性を伝える
3)成果や影響を「見える化」する
根気よくこれらを続けることで、次世代のリーダーとなり得る「当事者意識を持つ人材」「当事者意識の強い組織」が育つことが期待できます。

参考記事:「会社で、あるある」の「社会的手抜き」の原因と防止・利用方法

挑戦せずに「何もしない方が得」なのは、日本の制度や暗黙のルールのせい

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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