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何もしないと破壊されるかも知れない!外部イノベーションの影響

2022/11/08
 
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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。

何もしないと破壊されるかも知れない!外部イノベーションの影響

 

何もしないと怖い外部イノベーションの影響

「イノベーションなんて縁がない」
「真面目に、地道に稼業を継続することが伝統」
そんな話をされる経営者の方がおられます。イノベーションなど、どこかのベンチャー企業や大企業の研究開発部門が担うことと考えているかのようです。
イノベーションは、世界のどこかで起きると、それは会社の規模に関わらず影響が広がります。世の中に全く変化がなければ、ガラパゴスの生き物たちのように自分のペースで生き、独自に進化していけます。しかし、世界は繋がっているのです。
かつて隆盛を誇ったブロックバスター(米国DVDレンタルチェーン)、ポラロイド(インスタントカメラ)、コダック(写真フィルム)は、外部のイノベーションで倒産や大幅な規模縮小に追い込まれました。
身近では、ブドウの「シャインマスカット」など甘くて種の無いブドウが広がり、従来の種有ブドウの消費が減っています。「シャインマスカット」や「とちおとめ」「あまおう」などの甘いイチゴの出現は、農業におけるイノベーションです。
外部で起きるイノベーションに対抗するには、イノベーションの特徴を知って対応することです。こちらもイノベーションを起こすことも有りですが、外部イノベーションをかわす手も必要です。
イノベーションの影響に注目すると3つのポイントがあります。
1)何もしない会社や業界を破壊する可能性がある
2)イノベーションには、時間がかかる
3)イノベーションの本質を見誤ると手遅れになる
外部で起きたイノベーションに対して、これらの点を考慮することが必要であり、対抗することで独自のイノベーションが生まれる可能性があります。
イノベーションというと「イノベーションをどう起こすか」に関心が集まりますが、この記事では、外部でイノベーションが起きたときの影響を考え、その対応について考えます。

 

イノベーションは、何もしない会社や業界を破壊する可能性がある

イノベーションを武器に競合他社や新規市場参入者に対して、何もしないと会社や業界が破壊されることがあります。
ポラロイドやコダックは、デジタルカメラなど銀塩フィルムレスの機器が普及して、業界そのものが消滅状態になりました。両社は、何もしなかったことで、ほぼ消滅状態です。(実際には、早めの店じまいや縮小という戦略を取りました。)一方、日本の富士フィルムは、持っていた技術で医療や化粧品などの分野に道を開き消滅を逃れ発展しています。
回転ずし店の登場は、イノベーションです。ただし、回転ずしチェーン店は、すし業界そのものを拡大させ、従来のすし店を消滅させるものではありませんでした。しかし、従来のすし店は、回転ずし店を意識した品ぞろえ、サービスを持たなければ、苦しい経営を強いられることになっています。

イノベーションには、時間がかかる

イノベーションは、「あっという間に起きる」という感覚がありますが、従来の形から変化するには、それなりの時間がかかります。
銀塩フィルムからデジタル画像への移行は、10年単位の時間がかかっています。当初現れたデジカメの画素数は、数千画素でした。35mm写真フィルムの1000万画素相当には遠く及びません。
「やはり写真フィルムにはかなわない」
「レントゲン写真、電子顕微鏡の写真がデジタル化するなんて無理」
そうタカを括っていたのが、デジタルの画素数が10万画素の到達しだしたころになって、急に世間が変わりはじめました。
「もしかしたら、デジカメの画素数が写真フィルムに追いつくかも知れない」
そう思い出したのは、2000年代になってからです。画素数は飛躍的に高まり今や1000万画素以上のものが登場しています。
実は、1990年代にデジカメは登場しています。ところが、当時もフィルムメーカーはコンパクトフィルムを使用するカメラを出すなど、相変わらず従来技術の延長上で新商品を出しています。デジタル化の兆候は、1980年代にはありました。実は、デジタル化に対応する時間はたっぷりあったはずです。
ネットを利用した通販、古民家を利用した宿泊施設、ICカードを利用した各種サービスなどのイノベーションを振り返ると、意外にゆっくりと既存のものと入れ替わっています。早めに変化の兆候をつかむことができるはずです。不幸にして、他社がイノベーションを起こしたとしても、対抗できる時間はあるものです。実際イノベーションの第1号が必ず成功してはいません。追いつく時間が、必ずあります。

 イノベーションの本質を見誤ると手遅れになる

初めてイノベーションを提唱したシュンペーターは、
「イノベーションとは、既存知と既存知の新結合である」
と定義しています。イノベーションの始まりは、目新しい技術が使われているわけではなく、つい本質を見落としてしまいます。本質とは、イノベーションによって変わる視点です。例えば、「駅ナカ」は、駅を一つの店舗と考えての発想です。自動改札機メーカーであるオムロンでは、駅を「鉄道の入口」と見ると同時に、「街への入口」と見てイノベーションを起こそうとしています。(竹林一著「たった1人からはじめるイノベーション」日本実業より)
冒頭に挙げたブロックバスターが、外部イノベーションで倒産した例をご紹介します。ブロックバスターは、米国のビデオ、DVDのレンタルチェーン店でした。私は、1990年代に米国で暮らしていて、よく利用したものです。全米に3000店舗を有し、主な都市には、大抵ブロックバスターの店がありました。そこに、Netflixが現れました。1997年の創業当時は、ネット注文を受けてDVDを会員家庭へ直接配送するレンタル事業でした。次にNetflixは会員の評価に基づき、各会員にお勧めの作品を提示する「レコメンド機能」を導入しました。会員数が増加の一途をたどります。2007年Netflixは、それまでのDVDレンタルサービスからビデオ・オン・デマンド方式によるストリーミング配信サービスに移行し、今日の繁栄に至っています。一方、ブロックバスターは、利用者が減り2013年に倒産しました。
実は、2000年Netflixは、ブロックバスターに5000万ドルで自社を売却するという旨の申し出を行っています。ところが、ブロックバスター側が断った経緯があります。どうもブロックバスターは、Netflixを「個人向けDVD配送業者」と見た節があります。
「お客様に作品をリコメンドして、直接家庭に届ける」
というNetflixがやったイノベーションの本質を見抜けなかったようです。「店に借りにいく」、「何を借りるか迷う」、「DVDを返却にまた店に行く」というお客様のストレスを解決したのが、このイノベーションの本質です。ストリーミング配信がNetflixの繁栄に大きく寄与していますが、本質は「家庭にいて、面白い作品選び届けてくれる」ということです。今や面白い作品がなければ、Netflixが作品を発掘することや作品そのもの制作までやっています。


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まとめ

外部で起きるイノベーションは、自社に大きな影響を及ぼします。イノベーションの特徴を知って対応することが大切です。
イノベーションの影響に注目すると3つのポイントがあります。
1)何もしない会社や業界を破壊する可能性がある
2)イノベーションによる変化には時間がかかる
3)イノベーションの本質を見誤ると手遅れになる
外部で起きたイノベーションに対して、これらの点を考慮することが必要であり、対抗することで独自のイノベーションが生まれる可能性があります。
参考記事:イノベーションの定義と中小企業における「イノベーション経営」

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長年、大手鉄鋼会社及び関連企業、米国鉄鋼会社に勤務。仕事のテーマは、一貫して生産性の向上。生産部門、開発部門、管理部門、経営部門において活動。何事につけても「改革しよう」が、口癖。日本経営士会会員。 趣味:市民レベルのレガッタ、ゴルフ。
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